総合的な学習で取り組んだお米作りの記事を題材に、「自分たちが取材された記事の見出しを考え、実際に四国新聞社に掲載してもらう」という、本物とつながる課題を提示しました。児童は、単元の目標である「書き手の意図を読み取り、伝える」ことを、現実的なミッションとして捉えて学習を開始しました。
既存の四国新聞の記事を分析し、見出し作成のプロである新聞社のゲストティーチャーから直接「見出しづくりのこつ」を教わりました。さらに、同じ記事でも見出しが異なる新聞を比較し、本文と見出しから「伝えたいことの違い」を読み解く活動を実践。タブレットと紙媒体を併用しながら、グループで何度も見出し案の作成と修正を繰り返しました。
児童一人ひとりのレベルやペースに合わせ、タブレットと紙媒体のワークシートを数種類用意し選択できるようにしました。また、学習した「見出しづくりのこつ」を教室に掲示し、いつでも振り返られるように環境を整備。ゲストティーチャーには、見出しだけでなく国語科の目標である「要約の仕方」も併せて伝えていただくよう依頼し、単元目標の達成を目指しました。
実際に自分たちの考えた見出しや、見出しづくりに取り組む様子が新聞に掲載されるという成果を目の当たりにし、児童は意欲的に学習に取り組むようになりました。継続的な見出しづくりへの挑戦の結果、当初は難しさを感じていた児童もスキルを習得。また、見出しづくりが「要約力」の振り返りにも繋がり、国語の力を統合的に高めることができました。
4年生の「電流のはたらき」の単元で、児童はモーターカーの試走を通じて、乾電池の数やつなぎ方によって車の動きが変わるということに気づきました。この導入により、「乾電池の数を増やしたり、つなぎ方を変えるとどのような動きになるのか」という、理科的な比較という見方・考え方を生かすミッションが、児童の内側から生まれました。
児童は、単元内自由進度学習として、原理追究から入る「研究者コース」と、作成から入る「エンジニアコース」を選択し、自己調整しながら学習に取り組みました。乾電池の数を1個と2個で比較実験を行い、電流の大きさによってモーターの速さが異なることに気づきました。この活動を通じ、「条件制御」という理科の見方・考え方を実践的に学ぶことができました。
児童が自分のペースで探究を進められるよう、各実験の手順を動画やQRコードにして、実験場所に掲示・共有しました。これにより、教師の説明を待たずに、児童が自ら学習を進めることが可能となりました。また、基礎学習を終えた児童には発展的な学習の場を設けたほか、学習進度や振り返りをクラウドで共有することで、他者の学びを参考にできる環境を整え自己調整力の育成につなげました。
様々な学習環境や選択肢があったことで、児童は目を輝かせながら実験に取り組み、一人一実験を行ったことで、電流の働きについて体感的な理解を伴うことができました。その結果、教師に指示されるのを待つのではなく、自ら課題を設定し、進んで学習に取り組む姿が増えました。この実践は、理科の知識・技能を、主体的な学習に取り組む資質・能力へと昇華させました。
既習の「面積」の知識を、町内の4つの小学校の校舎や運動場など複雑な複合図形の面積算出というミッションに応用しました。単に公式を当てはめるのではなく、算数科の「見方・考え方」である「複雑な図形を既習の長方形や正方形に分解したり、不足を補ったりして考える」という視点の活用をねらいとしています。
児童はまず、自己選択した小学校の複合図形を、長方形や正方形に分解し、必要な面積を求めました(辺の長さは教師が設定)。その後、算出した面積を掲示された表にまとめ、町内4校の「広さランキング」を作成。単なる計算で終わらせず、その結果を整理・表現する活動を設定しました。
児童が主体的に学習を進められるよう、面積を求めたい対象を自己選択させ、活動への動機付けを行いました。また、前時までの既習事項(面積の求め方など)を常時掲示することで、児童は困った際に立ち返ることができ、自己調整学習(自ら学習サイクルを回す)を促す学習環境を整備しました。
複合図形の面積の計算という発展的な課題に対し、児童からはあきらめず粘り強く取り組む姿が見られました。また、算出した答えが正しいかどうかを、グループで協働しながら確認し合う姿が多く見られました。児童たちのこのような姿が表出するような取組を、今後も積み重ねていきたいと考えています。
児童に様々な三角形と四角形で作られた世界地図を提示し、国取り合戦ゲームを行いました。対戦後、「どちらの陣地が広いか勝敗を決めよう」というこの単元の最終課題を設定し、本単元で学習する内容の見通しや目的意識を持たせることで、児童の学習への意欲の向上につなげようと考えました。
三角形や平行四辺形の面積の求め方を一斉授業で行い、台形とひし形の面積の求め方を自由進度型の学習形態で追究しました。児童は、ワークシート、図形操作板、タブレットで操作できるワークシートなど、複数の学習方法の中から自分に合ったツールを選択し、主体的に面積の公式を導き出す活動に取り組みました。
主体的な学習を支えるため、基本的なツールに加え、早く学習を終えた児童向けに発展問題を用意しました。また、チェックテストも準備することで、単に公式を導くだけでなく、内容の確実な定着を促しました。この学習環境の整備が、児童の自己調整学習を後押しすると考えて取り組みました。
実践の結果、算数に苦手意識があった児童も、自分のペースで粘り強く課題に取り組む姿が見られました。また、理解が速い児童は、さらに学習への意欲を高め発展問題に挑戦し、学んだことを深く追究していました。これらの児童の姿から、今後の「探究」に向かう素地が築かれているという手応えを感じることができました。
「1年生に喜んでもらいたい」という明確なゴール設定が、子供たちの学習意欲の源となりました。去年の2年生の実践やおもちゃの素材からアイデアを出し合い、似たおもちゃを選んだ子供同士でグループを結成。おもちゃの製作だけでなく、説明の分かりやすさまでをグループ課題として設定しました。
子供たちは、どんなおもちゃを作るか考えた後、試行錯誤を繰り返しながら製作を進めました。作った後も、「性能」「見栄え」「ルール」の3つの視点から、「もっと楽しくなるにはどうするか」を追求し、何度も試しながら改良を重ねました。この活動を通じて、粘り強く工夫する主体的な態度が育成されました。
グループでの協働学習を深めるため、教師は二つの工夫を行いました。一つは、教室におもちゃの本を用意し、いつでもアイデアを広げられる環境を整えたことです。子供達は本を見ながら改良の方法を話し合っていました。もう一つは、完成前に他グループと交流し、感想や批判をもらう機会を設けたことです。このフィードバックの機会が、生活科の「他者と協働しながら自己の考えを深める力」を働かせることにつながりました。
最初に「1年生におもちゃまつりを開く」というゴールを共有し、自分たちで計画を立てたことで、子供たちはゴールに向かって自己調整しながら学習を進める姿が見られました。また、「自分が考えたおもちゃだから絶対にいいものにしたい」と考え、ルールについて「もっと面白くするには」と、向上を目指した学習サイクルを回す姿につながったと考えています。
「昔の桜川は美しかった」という事実と「今の川の汚さ」のギャップを導入で提示し、子供たちの当事者意識を喚起しました。この導入により、「桜川を昔の姿に戻したい」という強い地域の問いが子供たちの中から生まれ、解決したい課題を自ら設定することができました。グループは「ゴミを減らすための交渉」や「水質調査」など、具体的な行動につながる課題を設定しています。
設定したグループ課題に基づき、フィールドワークによる現状調査(ゴミ拾い、水質検査)と、専門家へのオンラインインタビューによる情報の収集を行いました。さらに、濾過器を作成する実験活動を通して、科学的な見方・考え方を働かせながら、課題解決の可能性を検証。これらの活動を通じて得られた知見は、学習発表会での協働的な発表(劇やスライド)へと結実しました。
グループでの協働的な学びを円滑に進めるため、教師はデジタルツールを活用した支援を行いました。具体的には、子供たちが自ら学習計画を立て、進捗状況をスプレッドシートで一元管理・共有する環境を設定。これにより、グループメンバー全員が学習の見通しを持つことができました。また、役場や外部機関との交渉が必要な際には、教師が事前に連携を取り、子供たちの探究をサポートしました。
実践を通して、子供たちは「探究のサイクル」を自ら回し、課題を設定し計画を立てて考える力を大きく伸ばしました。特に、自分の進捗状況やグループでの達成度をメタ認知し、学習を振り返る姿が見られるようになり、総合的な学習の時間で重視される「自己調整の能力」の確実な育成につながりました。