惑星が太陽光のエネルギーを反射する割合は「惑星アルベド」と呼ばれています。地球のアルベドはおよそ0.3であり、入射する太陽の光のエネルギーのおよそ30%を反射しています。太陽光をよく反射するものは雲や雪氷などの白いものです。地球の表面を、どのような反射率のものが、どれだけカバーしているかによって、地球が受け取る太陽のエネルギーは変化し、気候は温暖になったり寒冷になったりするでしょう。一方、気候の変化によって、雪氷の面積が増減すれば、アルベドも変化して、地球が受け取る太陽のエネルギーも変化します。このように、アルベドと気候はお互いに影響を与える関係にあります。特にアルベドを介した雪氷と気候の相互作用は「アイス-アルベド フィードバック」と呼ばれています。ここでは、そのようなアルベドを介した気候のフィードバックに着目した2つの気候シミュレーション教材を提供します。
これらのコンテンツは、RとShinyを使って作られたウェブアプリです。
地球の大気の酸素濃度がなぜ21%なのか?それはとても難しい質問です。地球と生命の長い共進化の結果であり、人智の及ばない複雑な過程があったでしょう。さらに、その酸素の同位体比にも不思議な事実があることが、二人の科学者によって1935年頃に同時期に発見されました。ドール・森田効果(Dole-Morita Effect: DME)とは、地球大気の酸素(18O)の同位体比が海水の酸素の同位体比に対しておよそ24‰だけ高いという観測的事実です。これには、光合成や呼吸などの生態系のはたらきや、成層圏における化学反応などが関係していると考えられています。最近の研究によって、世界で初めて現代のDMEの変動が検出され、ボックスモデルを使ったシミュレーションによって詳しいメカニズムが明らかになりました。
この研究でも使われているDMEのボックスモデルをシミュレーション教材として公開しています。
複数の反応物が関係した化学反応は本質的に非線型であり、それぞれの反応物の濃度の時間変化は、非線形連立微分方程式で表すことができます。大気化学のモデリングの研究では、何百という化学成分の何百という反応を、全地球の大気を細かく分けたグリッドごとに計算します。つまり、大気中を流され混合するなかで、複雑な非線形連立微分方程式を解いていることになります。このような化学反応の非線形で不思議な様子を示す代表的な例がベロウソフ・ジャボチンスキー(B-Z)反応です。B-Z反応は自己触媒反応の一つとして知られており、一定の条件が整った場合、濃度が時間的に振動するような反応が起こり得ます。