第五回さくら杯アフターレポート

先日5月4日、さくら杯が開催されました。

目標のチーム数である定員には届きませんでしたが、16チーム48人の方々に参加してもらえました。

この48名の参加者が持ち込んだデッキレシピ、そして当日の戦績から分かること、推測できることは非常に多いです。

今回はアフターレポートという事で、これらを元にさくら杯当日のメタゲームを話していこうと思います。

※デッキ名・カード名には略称・俗称を使用しています。ご了承ください。

配置ごとのデッキ傾向

さくら杯では大将、中堅、先鋒によって勝敗の価値が異なりました。

勝ち数が同じになれば大将、中堅の順番で勝敗を参照するからです。

その為、席の配置は重要なメタゲームの一つとなったと思います。

この配置によるデッキタイプ予想は参加者はもちろんですが、実は運営もしていたりしています。

私が予想していたデッキタイプ予想は次の通りです。

・先鋒:ディンギル系、赤単など安定性に欠けるが速度が出たら相手に何もさせないデッキ

・中堅:種族系デッキ、コントロールなどの速度は一歩遅いが安定したゲームができるデッキ

・大将:コンボリーファーなどの環境を支配しているデッキ

さて、当日はどうなったでしょうか。これが当日のデッキタイプ一覧です。

このデッキ傾向から色々見れますね。

まず注目すべきは大将のコンボリーファー率です。5チームが大将にコンボリーファーを配置しています。

これは、参加チームの約3分の1の数です。単純に、大将は三回に一回はコンボリーファーと対戦することになります。

更に大将のデッキはリーファーを始めリソースを伸ばすデッキが非常に多い傾向があります。

ロックマンも入れると12チームの大将のデッキが、リソースを伸ばしてゲームをするデッキです。

他にも、コンボデッキが多いのも特徴の一つとも言えます。

コンボリーファーはもちろんですが、サンダルフォンやズィーガー、Wリンクを採用したビートダウンといったデッキです。

ここから考えられるのは、大将戦はコンボデッキの速度勝負が多かったと思われます。

純粋なビートダウンがあまりおらず、序盤の準備から中盤以降に一気に動くといったゲーム展開が多かったと考えます。

続いては中堅です。

中堅戦は大将戦と違い、素直なビートダウン勝負が多かったように見えます。

バトルドレスを始めディンギル、エアリンク、ミソスといった素直なビートダウンデッキが多かったです。

ビートダウン同士の試合の勝敗を分けるのは純粋な練度の要素がとても大きいです。

ベスト4の中堅は7-0-1の戦績を始め、6-2が二人と非常に高い勝率をキープしており、高いプレイレベルが伺えます。

今大会唯一の負けなしも、中堅から出ています。

最後は先鋒です。

先鋒もビートダウンが多いのですが、その中にミッドレンジデッキがいくつかあったことです。

また、先鋒に「Last Dance」を採用したデッキが集中しており、ビートダウン同士の試合でもこのカードでゲームテンポを取られる展開が多かったと思われます。

先鋒は他の配置と違い、デッキタイプが分散してたのも大きな特徴です。

似たデッキタイプはある程度まとめているのですが、先鋒は完全にデッキタイプがバラバラでした。

当日は、対戦相手が毎回違うデッキで実は一番楽しんでいたのではないでしょうか。

配置別の傾向としてはこのように感じました。

全体としてはリーファーに次いでバトルドレスが第二勢力になっています。

バトルドレスは事前にフリーカードによってその強さを体験することができる上に、デッキパーツが他と被ることが少ないので選択するプレイヤーが多かったと思われます。

この二つのデッキが突出して多く、それ以外は分散しています。

直前のCSで話題を呼んだヤシギ採用型のディンギル、赤単もそれぞれ3チームずつのみと、デッキタイプが分かれました。

特に話題になった「崩壊への序曲」を採用したデッキが全く見えなかったのも大きな特徴だと言えます。

デッキタイプによる勝率

続いては幾つかのデッキタイプをピックアップし、それらの勝率を見ていこうと思います。

今回ピックアップするデッキタイプはコンボリーファー系、ヤシギ入りディンギル、そしてバトルドレス系のデッキです。

このようになっていました。この戦績は、ミラーマッチを除いて計算しています。

注目すべきは話題になっているコンボリーファーの総勝率が思ったより奮ってないことです。

最大勢力である8チームが選択していますが、勝ち越しの結果となってるのは僅か3チームのみでした。

勝ち越しているプレイヤーも古くからコンボリーファーを使い込んでいるプレイヤーばかりで、デッキパワーのみでは勝てないことが分かります。

これはバトルドレス系にも同じことが言えます。バトルドレス系もコンボリーファーと並ぶ勢力でしたが、勝率はたったの4割程度です。

勝ち越しの結果となったプレイヤーは、たったの1チームのみでした。

バトルドレス系は相手への干渉が少なく、非常に精細なプレイングが要求されるデッキです。

プレイングはもちろんですが、相手の上振れに対する抵抗力もあまりないデッキなのでその弱さが出た結果だと思います。

半面、強い戦績を出しているのが使用者の少ないヤシギ入りディンギルです。

データ数は3チーム分と少ないですが、総てのプレイヤーが勝ち越しているという好成績でした。

既存のディンギルにヤシギという動きの幅を増やすカードが追加されたことにより対応力や積みにくさが上がり、どんな状況からも勝ち切れるデッキになってると考えます。

採用カードの傾向

デッキタイプ、勝率と来て、残るのは採用カードです。

プレイヤー分布、VBの採用枚数分布、IGOBの採用分布、特定カードの採用枚数を見ていこうと思います。

プレイヤー分布

バトルドレス系、「Last Dance」のあづみ、コンボリーファーの紗那とこの二人が四分の一を占めています。

ここに続いてディンギル、赤単で採用が多い出雲、緑を取るなら無理なく採用される相馬といった形です。

今回注目するところはエア、つまり始まりの竜の巫女が5人と非常に多かったことです。

エアのデッキはリソースリンクが色を持たないことから扱いが難しく、CSではあまり見ることがありませんでした。

エアのデッキをここまで見ることができたのは、チーム戦ならではなのか、もしくはメタの傾向かは計りかねます。

また、スタートカードが優秀なアサギを選択するプレイヤーが一定数いることも注目したい点です。

アサギはトラッシュ肥しと手札交換、移動と非常に優秀なスタートカードであり、ニッチな所で人気のカードでした。

このカードがここまで採用されているのも、面白い結果となりました。

採用されてるデッキはディンギル、ロックマン、妲己とどれもトラッシュが重要な要素のデッキでした。

VBの採用枚数分布

VBを4枚採用していないプレイヤーが半数以上居る結果となりました。

個人的には今回から追加されたIGOBが存在する場合に効果を発揮するVBにより、採用枚数が増えると見込んでいました。

しかし、結果としては半数は採用枚数を削るという結果となりました。

新弾が発売されても、現状では新システムを使ったギミックよりも既存の動きの方が好まれている傾向があると思われます。

事実、IGOBが存在する場合に効果を発揮するVB達の採用率はそれほど高くはなく、全体の10%程の採用でした。

IGOBの採用分布

()内は実際には使用されていないIGOBの数です。

採用率はやはり汎用が多く、プレイヤー指定は少ない傾向でした。

注目すべきは、公開されたときには話題になったマスティハを実際に使用しているプレイヤーが少ない事です。

8チームが選択していますが、実際に使用できるようにしていたのは僅か3チームのみです。

当初は「リトルガーディアン」の存在で使いやすさが注目されていましたが、実際にはチャージの溜まりにくさ、枠の少なさで採用されてないと考えます。

マスティハに比較して、非常に使用率の高いのがルートヴィヒです。なんと6チームが実際に使用しており、使用率は堂々の1位です。

ルートヴィヒは青のIGOBということで、今まで青単で使われていたリゲルの枠にすんなり入り、更に使用感が分かるというのが大きな要因となってると思います。

事実、ルードヴィヒを使用しているのはバトルドレス系のデッキばかりでした。

全体を通すと、やはり使用率はそれほど高くありません。

新システムであり、まだ慣れていない、強みを生かしきれないという点から採用があまりされてないと思います。

これからの環境の推移でどれだけこれらのカードの採用枚数が増えるか、注目していきたいと思います。

特定カードの採用枚数

これは正直に話すと、ヤシギの採用枚数です。

ヤシギは直前のCSで、62枚という驚異の採用枚数でした。単純計算しても、16人のプレイヤーが採用していることになります。

そんなヤシギですが、さくら杯では採用枚数は26枚と少ない結果でした。単純計算すると、7チームが選択したということになります。

これは採用枚数は多いのですが、直前のCSでヤシギを採用したデッキの結果が奮っていなかったのも原因の一つでしょう。

逆に、さくら杯ではヤシギを採用したデッキの戦績は非常に良く、そのカードパワーを存分に発揮する結果となりました。

結びに

さくら杯のレポートはこれにて終了とします。

当日、特に決勝トーナメントの最終戦は決勝戦、3位決定戦共に中堅に勝敗が委ねられるという非常にドラマチックな試合となりました。

決着後にはチームメイトで喜び合うシーンなど、チーム戦ならではの景色を見れたと思います。

最後に、参加された参加者の方々、SNSなどで宣伝を回してくださった方々、運営メンバー、その他関わった皆様へ謝辞を述べさせて頂きます。

次のさくら杯がいつになるか分かりませんが、その時にまたお会いしましょう。

立花