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150212確約書

以下の内容は、2015年2月12日に行われた団体交渉の中で学生担当理事副学長・杉万俊夫と結んだ確約である。


確約書

項目1

大学当局は吉田寮の運営について一方的な決定を行わず、吉田寮自治会と話し合い、合意の上決定する。また、吉田寮自治会が団体交渉を希望した場合は、それに応じる。


項目2

大学当局は、吉田寮の新寮・新規寮の建設と吉田寮現棟の老朽化対策について、吉田寮自治会と誠意をもって合意を形成する努力を行う。


項目3 吉田寮の入退寮者の決定について

大学当局は、現行の寄宿舎規程が現状に即しておらず、寄宿舎規程を変更してこなかった責任が当局にあることを認める。また、入退寮者の決定については、吉田寮現棟・吉田寮新棟ともに現行の方式を維持する。


項目4 情報公開・当事者との話し合いについて

大学当局は、過去に学生など当事者に情報を出さず話し合いを行わなかったことにより、学生など当事者が不利益を被ったことを認め、今後積極的に情報公開を行い当事者との話し合いの場を設けることで再発防止に努める。


4-1 公開する情報について

学生などに関わることについては、可能な限り早く学生など当事者に周知する。

大学組織やキャンパスの改組・再編については、学生など当事者の要求に沿って副学長が役員会・教育研究評議会・経営評議会・部局長会議・各種委員会をはじめとする各種会議の内容も含めて知りうる情報について決定以前に情報を公開する。新寮・新規寮の建設及び現在の寮に関しては、何らかの案が出た時点で公開する。


4-2 情報公開の手段について

副学長が参加し、情報公開を行う連絡会を公開の場で開く。また、この連絡会に限らず、さまざまな場・手段を用いて情報の公開に努める。情報公開において、意図的に情報を隠すようなことはしない。


4-3 当事者との話し合いについて

学生などに関わることについては学生など当事者と話し合うことなく一方的な決定を行わない。学生など当事者からの要求があれば、団体交渉などを行う。なお、話し合い・団体交渉は公開の場で行い、一方的な条件をつけない。

学生などに関わることについては、学生課は学生など当事者の要求に対し責任ある交渉窓口として誠実な対応を行う。また、学生課は学生など当事者が学内の各部局と交渉に当たる際、学生らの求めに応じて適切な仲介を行う。副学長は厚生補導担当の責任者としてこれらのことが行われるよう努力する。


項目5 西寮撤去について

西寮撤去の責任は学務部(旧名称学生部)を含む大学当局にあることを認める。1989年に設置したプレハブは、西寮代替スペースとしては不十分であることを認め、今後も寮機能の回復、維持、発展に努める。


項目6 吉田寮の新寮、新規寮について

6-1 吉田寮の新寮・新規寮について

大学当局は現在存在する学生寮だけでは学生の福利厚生を十分守ることが出来ないことを認め、学生の福利厚生の回復、維持、発展のため、吉田寮の新寮や、新規寮の建設に向けて努力する。また吉田寮を含む様々な寮の新寮・新規寮の内容に関しては既存の寮自治会などと協議を行う。


6-2 吉田寮の補修について

大学当局は吉田寮現棟にとって老朽化対策が早急に必要であることを認め、老朽化対策のための処置が完了するまでには、食堂をはじめとする共有スペースも含め、吉田寮の補修を継続して行う。また、処置完了後も、必要に応じて補修を行う。


6-3 他寮への影響について

吉田寮の補修・建て替え・新棟建設を理由に、他寮の寮費、負担区分の値上げや、管理強化を行わない。


項目7 1996年の火災による焼失について

1996年の火災による焼失部分の代替となる機能を回復する必要性があることを認め、今後とも協議する。


項目8 焼け跡について

吉田寮食堂の西側広場である「焼け跡」を何らかの形で利用しようとする場合には、吉田寮自治会がこれまで「焼け跡」の管理に携わってきた経緯を踏まえ、吉田寮自治会と相談し、その意向を十分に尊重する。


項目9

吉田寮新棟の建設及び吉田寮現棟の老朽化対策を,第二期重点事業実施計画の予算期限である20163月までに、早急に決定し、工事を着工するよう協議していく。


項目10

吉田寮現棟の耐震強度を十分なものとし,寮生の生命・財産を速やかに守るために,吉田寮現棟を補修することが有効な手段であることを認める。


項目11

大学当局は本確約末尾に示す「吉田寮現棟(管理棟・居住棟)の建築的意義」を認め,その意義をできるかぎり損なわない補修の実現に向けて,今後も協議を続けていく。


項目12

吉田寮新棟の運営は吉田寮自治会が行う。また、大学当局は継続中の協議事項について一方的な決定を行わず、吉田寮自治会と話し合い、合意の上決定する。また、吉田寮自治会が吉田寮新棟に関して団体交渉を希望した場合は、それに応じる。


項目13 吉田寮食堂の存廃について

吉田寮食堂には現存地において現在の姿を最大限残した形での耐震補修を行う。補修方法の詳細については今後も継続して協議を行う。


項目14 吉田寮新棟の構造について

吉田寮新棟の構造については、基本居住部分は木造2棟、そこに小規模な鉄筋コンクリート造の棟を組み合わせる混構造とする。また、吉田寮新棟には地下スペースを設ける。内部構造や地下スペースの使用方法など吉田寮新棟の構造の詳細については、防災等に配慮しつつ、今後も継続して協議を行う。


項目15 寮生の経済負担について

大学当局は、一般に学生寮は学生の福利厚生を守るために必要であることを認め、理想としてそこに居住する住人の経済負担はなるべく低廉であるべきだと認める。

吉田寮新棟の経済負担については協議中であり一方的な決定はしない。また吉田寮新棟の水光熱費の負担区分については、吉田寮自治会との合意に至るまで吉田寮現棟の現在の負担区分を適用する。


項目16 吉田寮新棟の寮内労働者について

吉田寮新棟における事務員の雇用・配置・業務内容等については、吉田寮自治会との合意に至るまで一方的な決定を行わず、継続議題として吉田寮自治会とこれからも協議していく。


項目17 引継ぎについて

吉田寮自治会と確認した本確約の全項目について、次期の副学長に責任をもって引き継ぐ。


注記

副学長:厚生補導担当副学長

吉田寮現棟:20152月現在存在する建物。

吉田寮新棟:1996年の火災により生じた焼け跡で20152月現在建設中である、寮生が生活するための建物。旧名称A棟。

新寮:既存の寮の建物の拡張施設。

新規寮:京都大学の新しい寮。


吉田寮現棟(管理棟・居住棟)の建築的意義

 第一に、吉田寮現棟は周辺環境とともに、建築として優れた価値を有する。吉田寮現棟には優良な木材が使われており、居室は全て南向きに配置されている。また、三棟ある居住棟それぞれの間には豊かな樹木群が生い茂る広い庭がある。そのため、日当たり・風通しが大変優れており、寮生の快適な生活を可能にしている。また、吉田寮現棟の庭には多種多様な生命がいきいきと根づいており、その庭は吉田寮生のみならず、広くその庭を訪れる人にとって憩いの場としても機能している。

 第二に、建築史から見た価値が吉田寮現棟には存在する。吉田寮現棟は明治・大正期に洋風建築が普及していくなかで建てられた和洋折衷の建築物である。この時代に建てられた西洋の建築意匠・技術によって建てられた学生寮や寄宿舎は多いが、それらのほとんどは建て替えられてしまった。したがって、吉田寮現棟は明治・大正の建築意匠・技術を今に伝える希少な建築物となっている。このように歴史を体現して今に伝える建築物は、過去の事実を知り、未来の新しい考えを生み出す拠り所として貴重なものである。なお、こうした価値はある建物単体としてではなく、吉田寮現棟と隣接する吉田寮食堂棟などと不可分の建築群として、はじめて形成されるものである。

 第三に、一世紀にわたり動態保存され続けてきたことによる価値を吉田寮は有している。このことは、自分たちの生活・活動の場をより良くしようとしてきた人びとの不断の試行錯誤の結果であり、またそうした結果を引き継ぎ、今後も絶え間ない努力を可能にする場として、吉田寮現棟が存在することを意味する。この価値は、たとえば吉田寮現棟の一部をモニュメントなどとして残すのではなく、使い続けることによってこそ受け継がれていくものである。この価値もまた、第二に挙げた価値と同様に、吉田寮現棟のみならず、それに隣接する吉田寮食堂などからなる建築群によって、体現されていると言える。

                                                           2015年2月12日 副学長 杉万 俊夫

                                                           2015年2月12日 吉田寮自治会(印)