-1 ジャズ

『パリコン』を聴いて、素直に「スゲー!」と思ったあなた!

おめでとう! 

あなたには、エリントンの音楽の中の、特に「ジャズ」っぽい要素を楽しめる感受性があります!

とはいったものの、正直なところ、管理人にはエリントンの音楽がジャズなのかどうなのかよくわかっていません。
それについて考えるためにこのようなサイトを作り始めたようなものなのです。
というか、加藤総夫氏が指摘するように、考えれば考えるほど「非ジャズ的な側面」が明らかになっていくし、
よくエリントンに関して言われる「ジャズの父」という表現からしても、やっぱりジャズとは少し違うのかな、
なんて、現時点では管理人は考えてるくらいです
(「ジャズ」の体現であるマイルスがエリントンを父のように敬愛していたことも象徴的ですね)。
エリントン自身、自分はジャズを演奏しているとは思っていない、と言ってますし。

ただ、そうは言っても、エリントンの音楽が「ジャズ的な要素」に満ちているのは確かなわけで、
「エリントンはジャズではない」というのも少し違うと思うんですよね。
ここでは、広く一般的に「ジャズ的な要素」として認識されている、
「4ビートのグルーヴ感」、「アドリブ・ソロの緊張感」が楽しめる録音を紹介します。

『パリコン』の後にはこの1枚を。年代的には遡ることになります。

Ellington At Newport 1956 


後期エリントンの快進撃の開始を高らかに告げる1枚です。
この前年、放蕩息子のホッジスがオケに戻り、エリントンはその10年続く「55年体制」を確立しました。
エリントン自身、この日の演奏が自分のキャリアにとって重要なものとなることがわかっていたのでしょう。
「ホッジスの乱」でオーケストラを離れたホッジスも復帰してサックスセクションは完璧、
当時流行の「バップ」要員としてウィリー・クックもいる。
ドラムにはサム・ウッドヤードを迎えており、万全の態勢でこの日のライブに臨んだはずです。
エリントンの期待通り、ライブは大成功!
ソロと同じくらい観衆の興奮が録音されている
ポール・ゴンザルヴェスのDiminuendo in Blue and Crescendo in Blue」での27コーラスソロはもはや伝説です
(ぶっちゃけて言っちゃうとこの曲、ブルースなので半分体力勝負みたいなところはあるし、
 フレーズにもあまり創造性は感じられないのですが、グルーヴがケタ違い! なのです)。
このポールのソロに興奮し、「黒いドレスを着たプラチナブロンドの娘」が
ボックス席で狂ったように踊りだすハプニングも伝説
(ライナーノーツにも、わざわざ数枚もの写真が収められている。フィフティーズ臭がすごいです)。
音楽(と娘)に熱狂する聴衆を鎮静化させるため、エリントンは予定外の「I Got It Bad」を演奏。
これ以後、ポールソロがあるクライマックス曲の後にはチルアウトの曲が演奏されることになりました。

管理人の考えでは、エリントンの音楽を前期・後期と分けた場合の分水嶺は55年体制の確立で、
これ以後エリントンは既存の様々なジャンル(自身が創り上げたものも含む)を利用した多産の時代に入ります。
55年体制以後のエリントンは、自分が創り上げた「とされる」ジャズという音楽もひとつのジャンルとして利用し始めるわけで、
その意味で、サム・ウッドヤードの獲得は非常に大きい。
ねちっこいグルーヴと、変態的なフィル・イン。
オケのダイナミクスを完全にコントロールしながらも、出しゃばりすぎないドラミング。
ジャズという形式を利用するにあたっては、この男のサウンドが欠かせませんでした。

また、実はこの作品、すべての演奏がライブ録音ではありません。
それはエリントンがライブ本番の演奏に満足できず、深夜に別テイクを録りなおしてそちらを採用したからです
(この経緯については、 中山康樹氏の解説 を。実に興味深いです)。

ジャズフェスのビッグバンド・ジャズとしても満足な1枚。ポールのソロもどうぞ。





First Time! The Count Meets the Duke、'61, 7/6



アドリブ・バトルはソリストだけのものではない。
大音量のステレオ・スピーカー、またはヘッドホンで聴くべき作品。
このアルバム、小西康陽氏のお気にい入りの1枚でもあります。
この作品と小西康陽氏については、別館で長々と書きました。

・The Blanton-Webster Band '40-'42





多くのエリントン・ナンバーはこの時期に生まれた。
また、ジャズという音楽は即興性、つまりは個人の力量が大きく影響する音楽であり、
初期のエリントンの音楽の中では、
スター・プレイヤーをフィーチャーした曲が多いこの時期の音楽にもっともジャズが感じられる。
残念なのは、録音技術の問題で、どの曲も演奏時間が短いこと。



・Jazz Party '59



このアルバム、大西順子がフェイバリットに挙げていた。

ジャケットにこだわらないのなら、このイギリス盤の方が手に入りやすいかもしれない。




襟の乱れや髪のほつれ具合など、エリントンのくたびれた様子がグッド。



そしてこの翌年、ガレスピーは『A Portrait of Duke Ellington』なる、
エリントン・カバー集を発表する。
フレンチ・ホルンやバスクラを使った耽美的なアレンジが素晴らしい。

他には、極論すれば60年代のライブ録音なんかは
どれをとってもジャズ臭がプンプンするので、どれを聴いても同じ、といってしまいたいところだけど、これなんかどうだろう。

・All Star Road Band
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