Contact, Symplectic, Complex Geometry の最近の進展

日程: 2014年6月5日(木)14:00-18:45

場所:名古屋大学多元数理科学棟 555セミナー室

プログラム

14:00-15:00 小林 達彦 氏(名古屋大)

講演題目:Hyperbolic thermostat and Hamilton's Harnack inequality for the Ricci flow

概要:本講演では、双曲型熱浴の観点からハミルトンのハルナック不等式を再証明する。ペレルマンのリーマン幾何的(球面型)熱浴の構成にならい、リッチフローに沿って時間発展する多様体を双曲空間に埋め込み, それを一つの空間としてみなした時空と、その上のリッチ平坦なローレンツ計量との組である「双曲型熱浴」を構成する。ハミルトンのハルナック表現は、双曲型熱浴の曲率テンソルとして幾何学的な特徴付けが与えられる。

15:15-16:15 高橋 良輔 氏(名古屋大)

講演題目:Modified Kahler-Ricci flow on projective bundles

概要:Kahler-Ricci soliton の偏極多様体への一般化として,Guan の導入した Generalized Quasi-Einstein (GQE) 計量というものがある.これはスカラー曲率一定 Kahler 計量を一般化した計量でもある.GQE 計量の具体例は既にいくつか計算されているが,GQE 計量には安定性概念がない.そこで,本講演では,``Modified Kahler-Ricci flow''と呼ばれる時間発展方程式を用いて,GQE 計量の安定性の定式化を行う.ただし,多様体はある特別な射影束のみを考え,GQE 計量は何らかの対称性を持っていると仮定する.以上の設定のもとで,二木不変量がGQE 計量存在への障害として,どのように拡張されるかを見る.そして,特別な Kahler 類に対してはこの不変量が消え,初期計量を上手くとれば,Modified Kahler-Ricci flow は GQE 計量に収束することを見る.

16:30-17:30 野原 雄一 氏(香川大)

講演題目:On Non-torus fibers of the Gelfand-Cetlin system

概要:旗多様体上の完全可積分系である Gelfand-Cetlin系は"運動量多面体"の境界上にトーラスでない Lagrangeファイバーを持つ.この講演ではいくつかの低次元旗多様体の場合に, そのような Lagrange ファイバーの Floerコホモロジーの計算, およびそのミラー対称性との関係について述べたい.

17:45-18:45 小野 肇 氏(埼玉大)

講演題目:非ハミルトン体積最小なハミルトン安定ラグランジュトーラスについて

概要:Y. -G. Oh はケーラー多様体内のラグランジュ部分多様体について、ハミルトン変形のもとでの体積の極小性(ハミルトン安定性)や最小性(ハミルトン体積最小性)について考察した。例えば、複素ユークリッド空間内の標準的トーラスや複素射影空間のトーラス軌道などはハミルトン安定であることが知られていた。本講演では次の2つの結果について紹介する(東京電機大学のの入江博氏との共同研究):

1. 3次元以上の複素ベクトル空間のほとんどの標準的トーラスはハミルトン体積最小ではない。

2. 3次元以上の任意のコンパクトトーリックケーラー多様体のトーラス軌道にはハミルトン体積最小ではないものが多く存在する。