Westport

カンザスシティーの週末  

ウエストポート 

(2008年1月14日)

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Isoko Durbin のブログ

アメリカ人夫の一言

アメリカ生活録

 アメリカで出会ったおいしい料理

 

 2週間ぶりにシティーマーケットに行った。マーケットに着いたのが3時を過ぎていたのと、1月の寒さのためか、残っている業者はわずかだった。毎週通っていると、どの業者が何をいくらくらいで売っているのか、大体検討がつく。私はいつも、一番隅にいる人たちから人参を買う。彼らの人参はいつも新鮮で長持ちするからだ。同じ業者から、サツマイモとマッシュルームも各1ドルで買った。そしてもう少し通路を登って、アスパラガスとイエロースクワッシュと赤ピーマンを買った。こちらももちろん1ドルである。朝見たメキシカン料理番組でコリアンダーの調味料を使っていたのを思い出し、インド人のおじさんからコリアンダーパウダーを買った。そういえば土曜日に、Mistress of Spices という映画を見たばかりで、映画の主人公のように、インド人のおじさんが調味料を売っていたのは興味深かった。コリアンダーパウダーはとってもいいにおいがするので、これからは料理に頻繁に使うかもしれない。

 その後、スペイン風の建物が並ぶショッピング街、プラザに行こうと思い、ハイウェーにのって南に向かったが、いつの間にか道に迷い、カンザスシティーで最も古い地区であるウエストポートに着いてしまった。道を右に曲がったつもりが、そこはワールドマーケットという輸入雑貨を扱う店の駐車場で、まるで何かに導かれたかのように、そこまでたどり着いてしまったのだ。ワールドマーケットは以前住んでいたオマハにもあり、好きなお店でもあったので、車を降りて中に入ってみることにした。中は広く、輸入された家具、食器、インテリア雑貨がたくさん並んでいた。食料品は、ワイン、チーズ、クッキー、チョコレート等ヨーロッパ系の物が多く、日本の物は少なかった。私がよく行く中国食料品店も含め、こういった輸入品を扱う店に行くと、私はいつも名古屋にある明治屋を思い出す。アメリカやヨーロッパからのおしゃれなパッケージを眺め入るのが好きで、何も買うものがなくても立ち寄ったりしたのだが、店内には外人さんがいることが多かった。ここアメリカでは私が外人で、こういった店にいると何となく視線を感じることがある。きっと明治屋にいた外人さんたちも、視線を感じながらこんな気分で買い物をしていたのかなと思う。

 せっかくワールドマーケットまで来たのだから、夫のためにワインでも買おうかと思ったのだが、あまりにもたくさん種類があり、どれを選べばいいか分からなかった。黒いダイニングテーブルや椅子があり、きっと夫は気に入るだろうとも思ったが、家具は衝動買いするには高すぎる。一通り店の品物を確認してから、最後に食器コーナーに行き、日本の皿や茶碗を見つけた。日本の瀬戸物は美しい。本当にそう思う。今度日本に帰った時は、瀬戸物をたくさん買ってアメリカに持ち帰ろう。日本の食器の近くに、茶漉しが中に付いた中国製の湯のみを発見した。上には蓋も付いていて、急須とマグカップが一緒になった便利な代物だ。これがあれば手軽にお茶を入れることができる。興奮しながら、たくさんある種類の中から、青地に花柄が付いた物を2つ選んだ。夫のためにいいお土産ができたことがうれしかった。

 お腹が空いてきたこともあり、駐車場の向こうにあるぺネーラに行くことにした。ぺネーラも私がオマハに居た時からよく行く店の一つで、焼きたてのパンがおいしいフランスっぽいカフェだ。私はいつものようにシナモンクランチべーグルとアイスティーを頼んで席に着いた。私の席の前にはフランス語で話をしている中年の男女がいた。私はフランス語を勉強したことがあるので、彼らが話していた言葉がフランス語であることは解ったが、話している内容はあまりよくわからなかった。フランス語を耳にするたび、もう一度フランス語を勉強したいと思う。だが、なかなかある一定の枠を超えることができず、未だにフランス語が話せるとは言えない。いつか日常会話ができる位までフランス語が上達して欲しいものである。

 ぺネーラが好きな理由の一つに、店の雰囲気がある。全国チェーン店であるぺネーラは、アメリカ各地に見られるのだが、各店によって雰囲気は少しずつ違う。この店は少し小さいながら、オレンジ色の壁と黒いソファーがフランスっぽく気に入った。店の外側のガラスが大きく、外が見渡せるのもフランスのカフェっぽい。これから週末はここに来て、フランス語を勉強したり、本を読んだりしようか、窓辺でコンピューターに向かっている学生風の若い女の子二人を見ながら、そんなことを思った。大学を卒業し、夫と一緒に住むようになってから、そういった自分だけの時間を持たなくなっている。学生の頃は本を読むのが仕事であったので、こんな勉強ばかりしなければならない生活を早く終わらせたいと思っていたが、今はそんな時間が持てたらいいなと思う。

 ぺネーラを出た後、しばらく街を歩いてみることにした。ダウンタウンに来るたび、日々の忙しい生活の中で何か重要なことを忘れているような気がする。ここウエストポート地区は、19世紀の建物が立ち並び、私が普段生活している場所とはかなり違う雰囲気がある。外は風が冷たく、鼻が赤く凍ってしまいそうな程寒かったが、古いレンガ造りの建物一つ一つを対話するように見上げた。一際古くて、ほとんど崩れかけているような建物には、ピザ屋が店を構えていたが、それがカンザスシティーで最も古い建物であることを後に知った。歩道に残る雪を踏みしめながら、インド、タイ、中華など、外国料理のレストランが多いのに気付く。寿司バーも2軒あり、後で夫と一緒に来たいと思った。目抜き通りに出ると、若い人たちがワイワイと集まっているカフェがいくつかある。テーブルにコーヒーカップを載せながら、インターネットでもやっているのか、コンピューターを覗き込んでいる人たちがたくさんいた。これも後で知ったのであるが、このウエストポート地区は、アイルランド人のお祭り、セントパトリックの日に、カンザスシティーで最もたくさん人が集まる所であるそうだ。それだけ若い人が集まるバーが多いということかもしれない。寒い午後のひと時を、一人で歩き回ったウエストポートが、なんだか自分の中で特別な場所になった。