Plaza Art Fair

カンザスシティーの週末

プラザ アート フェアー

2008年9月20日

カンザスシティーの週末

Isoko Durbin のブログ集

アメリカ人夫の一言

アメリカ生活録

アメリカで出会ったおいしい料理

 

 カンザスシティーには、「カントリークラブプラザ」というアメリカで最も古いショッピングモールがある。スペイン風の建物がとてもおしゃれで、ここには多くのレストランや服屋、家具屋などが店を構えている。カンザスシティを代表する観光地であるのに、今回まで全く紹介しなかったのは、なにもこの場所を嫌っているのではなく、いつもあまりにもたくさんの観光客がいるので、駐車場にたどり着くのが大変で、後進できない車に乗っている私にとっては、「車を押さなきゃいけない状況になったらどうしよう」という恐怖感から、倦厭しがちな場所なのである。(「アメリカ人夫の一言」の4月23日 "Are you sure?" や6月3日の "You have to do what you have to do" を読んでください。)しかし、「アートフェアー」が開催されているのを夫が見つけ、2人で出かけてみることにした。このアートフェアー、プラザで毎年行われているもので、アメリカ全土からアーティストが集まり、野外でのアートフェスティバルとしては、アメリカで最も規模の大きいものらしい。去年この祭を見に行こうと、一人でプラザまで繰り出したが、駐車することができず、諦めて何もせず家に帰った経験がある。それほどすごい人出になる。今回は夕方に出発したせいか、ビルの中の駐車場にスペースを確保した。これも夫の車で行ったからできることで、私の車ではそうそう容易ではない。

 一際人出が激しい歩行者天国になっている区域に行く。もうすぐ日が暮れようとする頃なのに、通りは人で溢れていた。たくさんのテントがあり、絵画やガラス細工、工芸品など、さまざまな芸術品が並べられていた。アーティストが直接店番をしているようで、熱心に作品の説明をしている場面もあった。しかし、中にはチョコレートを食べながら客を見ている、高校生のアルバイト店員のような芸術家もいた。一日中、一人で店番をするのは大変だろうと思った。なにしろ、トイレに行くのも必要だし、お腹が空けば、何か食べる必要もある。何十万円もする芸術品を残して店を離れるのは、できるだけ避けたいだろうと、チョコレートを食べていたアーティストを見ながら思った。とにかくすごい、人、人、人である。夫と一緒に適当に歩いていると、アメリカの「ダイナー」などを描いた絵画を売っているテントを見つけた。Mike Weltonという画家で、アメリカチックなところが良いと思った。彼の絵は大きいものであれば、40万円以上する。とても私の手に届く範囲の価格ではないので、鑑賞させてもらうだけにしたが、彼とは少し話しをした。最初に目に入った絵画が、夫と一緒に歩いたサンフランシスコの町並みに似ていたので、「あれはサンフランシスコ?」と聞けば、そうだと言う。調子に乗って、「あれはシティーマーケットの近くにあるダイナー?」と聞けば、「いや、あれはニューヨークだよ」と言った。そうだ、ここにいるのは地元の人じゃないんだ、と思い直した。

 夫がスターバックスに入って、コーヒーを購入する。スターバックスのトイレは、観光客が押し寄せるのを嫌ってか、トイレが一般に公開されていなかった。ということは、道端にある特設トイレに行かなければいけないのか、と少々憂鬱になった。工事現場にあるようなトイレは、きれいではない。しかし、幸いなことに、歩行者天国の各地に設けられた特設トイレは、意外にも水洗で、普通の店にあるトイレのように問題はなかった。

 フードコートになっていた一角で、点心で有名な中華料理店「Bo Lings]を見つけたので、夫と一緒に「コンボ」を注文することにした。「私が払うね」と言ったくせに、現金を持ち合わせていなかったので、結局夫に払わせた。なにせ、春巻き1本、鳥の串焼き1本、チャーハン少々、チーズの揚げ物1個だけで、9ドル50セントもするのである。これにもう一本春巻きをつけ、全部で12ドル夫は支払った。これまでアメリカで食べた中華で最も高い支払いだ。春巻きは、おいしいことはおいしいが、取り立てて他のレストランと変りはない。これで12ドルとは高すぎる。祭の屋台用の特別料金なのか、それとも有名店の傲慢さなのかはよく分からないが、その味には少しがっかりした。今度はレストランに行って餃子やシュウマイが食べてみたいが、期待はずれでないことを祈る。周りにはテーブルや椅子があったが、どこもいっぱいなので、川沿いの土手に座って食べることにした。橋の上には、赤い提灯がずらりと並んでいた。中国がテーマなのか、中国の戦士の像が2体、橋の前でいかめしく構えていた。川の上では、ゴンドラがカップルを乗せてゆっくりと流れていった。

 私たちが腰を下ろした土手近くに、コンサートを開いている会場があった。このアートフェアーでは、道の至る所で野外コンサートが行われていた。中には聞くに堪えられないような演奏もあったが、私たちが食事をした場所近くから聞こえてくる音楽は素晴らしかったので、夫と一緒に見に行くことにした。一際大きなステージで、バイオリンに合わせて歌が歌われていた。しかし、私たちが到着するとすぐに、演奏も終わってしまった。その代わりに私が見ている地元のニュース「NBC Action News」のキャスターの一人、Cynthia Newsome が挨拶をしていた。彼女が挨拶をし終わると、他の人と話しながら私たちがいる方に歩いてきた!一緒に写真を撮ってもらいたかったが、カメラを探しているうちに、彼女はどこかに消えてしまった。もう少し勇気を出して、声をかければよかったと後悔した。彼女は背も高く、スラリとしていて、とてもきれいで感じの良い人だった。

 この後、テント下のアートを見て回っている時、上や右の写真のような、超リアルな人間の模型を見つけた。あまりにも本物の人間に似ているので、気味が悪いほどだった。皮膚の皺といい、目の細部に至るまで、本物の人間そっくりで、今にも動き出しそうである。いったい、どんな人が買うのだろう。私はこのような物体を家に飾りたいとは思わない。しかし、このテントの周りでは、たくさんの人たちが写真を撮っていたので、私もその仲間入りをした。

 もう少し歩いていると、また違うフードコートがあり、そこにはプラザに店を構えるレストランが屋台を出していた。私たちがいつか行きたいね、と話し合っていたイタリアンレストラン「Brio」は、ラザニア等、典型的なイタリア料理を出していた。ビールを出している屋台もあるようで、立ちながらビールを飲んでいる人たちがたくさんいて、スポーツバーのような雰囲気だった。

 一本違う道を歩いているときに、偶然、今回のアートフェアーのパンフレットと記念のTシャツをデザインしたアーティスト、Jeff Condonのテントに遭遇した。遠くから見ていた時、「あーいう画風は好きだな」と思って近寄ってみると、右の写真にあるパンフレットが貼ってあった。「これはあなたのアート?」と聞くと、そうだ、という。それは、今回のアートフェアーの会場にもなっている「カントリークラブプラザ」の絵だった。パステル調の色と画風が気に入った。こちらは、小さい物であれば400ドルくらいからだったので、買えないことはないが、しかし、それでもまだ高い。やはり、一点物の絵画を買うのは高い物だ。しかし、一枚の絵画を完成させる時間と労力を考えれば、当たり前のことかもしれない。

 こうして、何も買いはしなかったが、お祭の雰囲気と芸術品が生で見れて、満足な一時だった。