Parkville

カンザスシティーの週末

パークビル

2009年4月12日

カンザスシティーの週末

Isoko Durbin のブログ集

アメリカ人夫の一言

アメリカ生活録

アメリカで出会ったおいしい料理

 

 

 ヨーロッパのお城ではない。これはなんと、カンザスシティーの隣にあるパークビル市にある大学の校舎なのだ。ノース・カンザスシティーから続く岸辺の道を、パークビルのダウンタウンに向かって進むと、丘の上に、こんな豪華な建物が見えてくる。イースターサンデーなのに小雨が降る中、パークビルにあるイタリアンレストランに向かう途中で、こんな素敵な景色が見られるとは、思いもしなかった。それまでの雨で鬱陶しい気分が、一気に晴れ上がる。更に進むと、ヨーロッパのような小さな町並みがあった。私は、パークビルに行くのは今回が初めてだったのだが、カンザスシティーのすぐ近くに、こんなかわいらしい町があるのは、全く知らなかった。

「こんな素敵な場所があるのに、なんで今まで連れてきてくれなかったの!」

と、車を運転している夫に言う。彼は、私がこの町を、こんなに気に入るとは、思わなかったらしい。私のはしゃぎように、彼も嬉しそうだった。

 GPSを使い、目的地のイタリアンレストランに向かおうとするが、とんでもない指示を出すばかりで、どう見ても行き止まりにしか見えない所に行けと言う。しかし、道に迷ったおかげで、ダウンタウンの周辺も見ることができた。一旦GPS を切り、再度指示を待ったら、今度は全く違う方向を示し始めた。初めはどうやら勘違いしていたらしい。車を走らせる夫は、

「あっちの方に行くと、大邸宅がたくさんあるんだよ。」

と言う。そっちの方の見学もしたかったが、とりあえず、お腹も空いていた事だし、イタリアンレストランに向かう。しかし、せっかく到着しても、店は閉まっていた。仕方がないので、またダウンタウンに向かい、他のイタリアンレストランに入ろうとしたが、ちょうど閉店しているところだった。そのレストランは、日曜日は早く閉めてしまうらしい。雨が降る中、あまりついていない。仕方がないので、営業中の「Cafe Ceder」というレストランに入ってみることにする。このレストラン、駐車場の方から見ると、ミシシッピー川にでも走っている船のような形をしていて、なんだか陽気な南部人でも飛び出してきそうな雰囲気なのだが、中に入ってみると暗く、「営業しているのだろうか」と思うほどだった。実際、そこには他の客が無く、ウエイターとオーナーが店の奥で話しているのが見えた。店内には耳慣れない外国の曲が流れている。強いアクセントがあり、ぼそぼそと話す若いウエイターは、明らかにアメリカ人ではない。彼が持ってきたメニューには、ギリシア料理が載っていた。

「そうか、これはギリシア料理店だったんだ。」

と、そこで初めてわかる。イタリア料理を食べるつもりでいた私達は、あまり想像がつかないギリシア料理のメニューを前にし、少々戸惑ったが、どうせなら、思いっきりギリシア料理を楽しもうという気になった。それでウエイターが勧める本日のスペシャルのチキンと、以前料理番組で見たことがある、ひよこ豆が主体になった、ミートボールのような形のアピタイザーを頼んだ。チキンにはサラダが付いているらしかったが、ドレッシングも「ギリシアドレッシング」に挑戦してみることにした。夫はまず、ウエイターが運んできた「Wheat Beer」(直訳すれば、「小麦ビール」)を飲んで、やっと食事にありつけることに、感謝する。ひよこ豆のボールは、「Food Network」で何度か作り方を紹介していたのを、見たことがある。中東や地中海で人気のスナックらしい。ひよこ豆の中に色々なスパイスやハーブが入っており、これにランチドレッシングのようなものをつけて食べる。この店では、インドのナンのようなピタパンと一緒に出てきた。私は、ギリシア料理とは、「ヨーロッパの料理」の一種だと思っていたが、どちらかというと、「中東」に近いのではないかと思う。このひよこ豆ボールに入ったスパイスは、インドの香辛料と似ているような気がし、ちょっと意外だった。

  続いてメインディッシュのチキンが運ばれてくる。周りがパイ生地で覆われたチキンは、中に葡萄が入っていた。「ブドウ」と言うと、ギリシア料理らしい気がする。これは甘い味付けだった。黄色いライスと、パイ生地の上の赤いソース、緑のパセリのコントラストが美しい、目にもおいしい一品であった。サラダにかかった「ギリシアドレッシング」は、玉ねぎかニンニクのような、少しピリッとする刺激があったが、おいしかった。これは、オリーブオイルと、フェタチーズがたっぷりであった。

 このレストランのオーナーは、アメリカ人ではなく、トルコ等の「中東」出身者のように思えた。ずいぶんフレンドリーな方で、他に客がいなかったのも理由の一つであろうが、私達のテーブルまでやって来て、「料理はどうですか?」と聞くなど、気を使ってくれた。私達が、初めて食べるギリシア料理について、作り方などを質問すると、丁寧に教えてくれた。私が「このひよこ豆のボールは、Food Networkで見たことがあります」と言うと、「私もその番組を見ました」と答える。さすがにレストランのオーナーだけあって、料理番組を見ているらしい。私の夫ともすっかり意気投合して、ずいぶん楽しい一時を過ごさせてもらった。なので、チップをいつもより少し弾んで、店を出ることにした。

 この後、大学のキャンパスを車で通り抜けた。丘の上に立つ小さな大学であった。上の写真にもある通り、メインの校舎の屋根の上には大きな鐘があり、ヨーロッパのお城のような風情である。この大学、「パーク大学」という。この地方にヨーロッパ人が移民してきた頃、一番初めにこの土地を占領したのがイギリス人の「パーク氏」という人だったらしい。なので彼にちなんで、この辺は「Parkville」と呼ばれている。カンザスシティー近郊は、このように、最初に入植したヨーロッパ人の名前が、地名に残っている場合が多い。なんだか、「早い者勝ち」といった感じである。ネイティブアメリカンにとっては、ずいぶん迷惑な話である。余談であるが、去年の夏、夫と一緒に行った「多民族祭」の「ネイティブアメリカン」のお店で、夫はネイティブアメリカン達が武器を持っている写真がついたTシャツを見つけ、それを胸にかざしている彼を、私が写真に収めた。そのTシャツには「Homeland Security, Fighting Terrorism Since 1492」(国家安全保障、1492年以来、テロと戦い続ける)と書かれている。全くその通り、と思う。

 パークビルは、とてもお勧めの場所だ。また近いうちに、行きたいものである。