Garage Sale

カンザスシティーの週末

ガレージセール

2008年6月21日

カンザスシティーの週末

Isoko Durbin のブログ集

アメリカ人夫の一言

アメリカ生活録

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 昨日の金曜日、サンドイッチ屋「サブウエイ」で一緒にランチを取っていた夫が、「僕達もガレージセールに挑戦してみよう」と言い出した。私たちが住んでいるカンザスシティーの一角「グレースモア」は、毎年六月の一週末、この地域の恒例行事として、ガレージセールを行う。最初私は、このガレージセールを「見に行きたい」と言っていたのだが、いつの間にか、「私たちがガレージセールをする」に、話の内容が変っていた。ガレージセールとは、家庭で不要になった家具や服などを家の前に並べ、売ることである。本当にガラクタであるものも多いのだが、中には掘り出し物を破格値で見つけることができる。私たちが今の家に引っ越してきた最初の年は、この近所一帯に広がる即席のがらくた市場を珍しがり、夫と二人で何件か歩いて回ったものである。夫は昨日すでに、どこかの家庭で眠っていた皮の箱に入った双眼鏡を、たったの1ドルで買っていた。

 ガレージセールをするといっても、予め特に準備もしなかった私たちは、当日の朝、いつもの週末よりは少し早めに起きて、文字通りガレージに眠っていた要らない物を、家の前に引っ張り出した。ガレージにある要らない物を売るから「ガレージセール」というのだろうかと、またいつもの通り、手前勝手な語源を考えた。

 グレースモア一帯が、ガレージセールをするとはいえ、私たちが住んでいる通りで参加する家庭は少なく、そのためか客の足はあまりあったとは言えない。まず、車から私たちの「ガラクタ」を観察し、大抵の人たちは、そのまま走り去ってしまう。しかし、中にはちらほら立ち止まってくれる人がいて、徐々に売り上げ高を上げていった。

 人によって必要な物は違うのだなと、興味を示す物の違いを見ながら思った。最近引っ越したばかりという若い女性は、ナイフやフォークなどを買っていった。夫のミュージックプレーヤーに興味を示したティーンエージャーは、「うちのお父さんは、カラオケの機械を持っているんだ」と興奮しながら語った。また、テレビを買った母親と一緒に来た男の子は、「僕がテレビを見ていたら、突然、火事になったんだよ!テレビから、煙が出たんだ!」と、まるでマンがのような話をしてくれた。こうして、色々な人々と話をしながら、友好の輪を広げていくことは、楽しいことだと思った。しかし、私が一番嬉しかった「お買い上げ」は、葡萄の蔦を模った「ワインホルダー」である。夫が、我が家で眠っていたワインホルダーを引っ張り出してきた時、私はワインの空き瓶(きれいなので、私たちはいつもワインの空き瓶を捨てずに取ってある)をディスプレー用に飾ったら、客の目を引くのではないかと思った。それで、家の中に戻り、美しいラベルが貼られたブルーと黄色の瓶3本を持って、外に出た。そのワインホルダーは、壁にかけるタイプの物だったが、もちろん庭に壁は無い。そこで夫は、庭の木にスクリューでワインホルダーを打ち付けた。ワインのボトルと葡萄の蔦模様が木に溶け込み、フランスのピクニックの風景かと思うほど、美しかった。何人かの人々は「まあ、きれいね」と言うだけで、実際に買いはしなかったのだが、夫の音楽の機材を買った男性が、「旦那さんに、あのワインホルダーを5ドルで買うって言ってくれる?うちの母親が、今台所の飾りつけをしているんだ」と、一旦家に帰った後、また私たちのガレージセールまで戻ってきた。夫も、「あのワインボトルの飾りつけが良かったんだね」と、私の功績を認めてくれたので、よけい鼻高々だった。

 

 

 私の夫は、こういった行事には、やたらと張り切る人で、準備のほとんどは彼が取り仕切った。私は初め、使っていない洗濯機と乾燥機(親戚の叔母さんから無料で貰ったもの)を売るだけと考えていたのだが、いつの間にか、夫が物置小屋やガレージで眠っていた物を、次から次へと持ってきたので、いつの間にか前庭は、こんなに要らないものを今まで保存していたのか、とあきれるほど、ガラクタでいっぱいになった。そして彼は、やたらとテンションが高い。私などは、わざわざ「押し売り」する気などせず、あっさりと客を見逃してしまうのだが、彼は客が「もういい」というのに、やたらと色々なものを売ろうとする。いったいそのパワーはどこから来るのだろうか。やはり「お金儲け」というところだろうか。

 ガレージセールというと、なんとなく、夏のファミリー行事というイメージがある。それで、私は今まで着たことがなかったサンドレスを着た。木陰に座って、涼しい風に吹かれながら、レモネード片手に本を読むという、優雅な自分の姿を想像していたのだ。実際、一人で木陰に入って青空を見上げていた時間が、とても気持ちよかったのだが、知らず知らずのうちに日焼けをしていて、夜家に入ってから鏡で見ると、肩の辺りが赤くなっていた。「肩がひりひりする」と夫に言うと、「それくらい、たいしたことないよ。それより、日焼けできて良かったじゃない」と言う。アメリカでは、色白が美しいということはないようだ。

 夫を見ていると、アメリカ人はつくづく、おしゃべり好きな人種だなと思う。初めて会った人でも、まるで旧縁の仲のように、延々と話し続けるのである。今回のガレージセールでも、たくさんの人々が彼らの生活ストーリーを語り、夫も彼のストーリーを語る。こういう交流が楽しいのだと思う。夫のおしゃべり好きと、商魂のたくましさが利してか、今日一日だけで、100ドルほどの収益を上げた。家の中の要らない物が片付き、その上100ドルも臨時収入ができ、ガレージセールデビューにしては、上出来の一日だった。