Ethnic Festival

カンザスシティーの週末

多民族祭

2008年8月16日

カンザスシティーの週末

Isoko Durbin のブログ集

アメリカ人夫の一言

アメリカ生活録

アメリカで出会ったおいしい料理

 

 

 アメリカは、多民族国家である。この多民族性を祝って、カンザスシティーでは、一年に一回「Ethnic Enrichment Festival」という祭を行う。夫も私も休みが取れる土曜日の午後、このフェスティバルを見に、開催されていた「Swope Park」に行くことにした。Swope Park は、カンザスシティーで最も古く、そして最も大きい公園で、中には動物園、劇場、ゴルフコースなどがある。その敷地の広さゆえ、私たちはしばらくフェスティバルの開催場を見つけることができず、同じ場所を何度も迂回した。諦めかけた夫を、「Don't give up!」と私が渇を入れ、大きく方向転換して、「まさかこんな方には無いだろう」と思っていた動物園方面に車を走らせると、やっとフェスティバルの看板が見えてきた。

 会場には多くのテントが立ち並び、各国の出店がそれぞれ自慢の料理や郷土品などを販売していた。数多くある中から、私たちはインドのチキンカレーをまず食べた。夫がカレー好きなのと、普段なかなか食べられない物を食べようと思っていたので、インドのブースを見つけたときは、迷わずカレーを頼んだ。ご飯がちょっと乾燥しすぎていたのはいただけないが、カレー自体はおいしかった。周りには、各国の民族衣装を着た人がたくさんいた。一々「写真を撮ってもいいですか」と聞くのも面倒だったので、立ち話をするキルトを着たスコットランド人を、群衆にまみれながら取った。後で見ると、カメラマンを意識しながらポーズを取っている写真よりも、自然体で良いと思った。これから、人間が被写体の場合は、こうやって自然な写真を撮るよう心がけようと思う。

 

 実は、私はインドに住むある日本人女性のブログを、毎日楽しみに読んでいる。たまたま、インターネットで調べ物をしていたときに、偶然発見したのだが、彼女のブログを読むようになってから、インドに興味を持つようになった。インドの布製品は、とても美しいらしい。彼女がサリーを着ている写真も数多く掲載されているが、そんな写真を見るたび、「民族衣装がある国はいいな」と思う。アメリカと言えば、ジーンズが民族衣装のような国である。というわけで、インドのブースにたくさんの布製品を見つけたのは嬉しかった。現金しか受け付けないフェスティバルなのに、あまり現金を持ち合わせていなかった私は、布製品を買うことはできなかったが、店番をしていた女性2人の写真を撮らせてもらった。後日、このフェスティバルに行った友達の話を聞いたが、彼らはこの店で、ベリーダンス用のコスチュームを買ったそうだ。私が行ったとき、そんなものは目にしなかったが、美しい布製品は良いなと思った。 

 

 このフェスティバルに行くまで気付かなかったのだが、カンザスシティーには外国人による組織が数多くあるようだ。店を出していたテントには、例えば「イタリア友好会」などといったグループの名前が書かれていた。日本人の会がカンザスシティーに存在するのは知っていたが、このように多くの外国人クラブがあるのは知らなかった。

 なるべく普段食べられない物を食べようと思っていたのだが、夫がどこか東ヨーロッパの国のパイが食べたいと言い出したので、ラズベリーパイとアップルパイを食べた。何かしら違うことを期待していたのだが、やはりスーパーで買えるパイと大差なかった。この後、夫は中国のセクションで、魚の形が黒い紐についたネックレスを買った。これは中国らしいとはちっとも思わなかったが、なかなかかわいらしく、あとで私の物となった。タイのお店でココナッツジュースと串刺しの肉とコーヒーを購入した。「コーヒー」など、これまたどこにでもあるものを夫が注文したので、「なんでこんなものを」とは思ったが、どこか違うのかもしれない。ココナッツジュースは、ほのかに甘く、暑い日だったので、冷たいのが新鮮だった。翌日起きたとき、顔色が普段より良かったのだが、もしかしたらココナッツジュースを飲んだおかげかもしれない。ココナッツジュースには、何か特別な効力があるのだろうか。日本のブースでは、おにぎり、いなり寿司、枝豆などが売られていた。「こんな物は、自分で作れる」と、持ち合わせていた僅かな現金を、日本食に使うのはやめておいた。

 敷地内の中央にステージがあり、各国の民族ダンスが繰り広げられていた。私たちが各国のブースを歩いていた時に、東ヨーロッパやロシアのダンスを踊っている民族衣装を着たダンサー達を遠くから見た。これらもきっと「外国人クラブ」の人たちによる演技なのだろう。私たちがステージに近づいたときは、アジアの時間帯だったのか、中国人の子供達や、インド人のダンスを見た。プロのダンサーではないので、「わー、すごい」とは思わなかったが、こういう風に、外国の文化を学べるのは素晴らしいことである。アメリカの伝統的なダンスと言えば、カウボーイダンスといったところだろうか。

 敷地内を一巡した私たちは、今度は「パスポート」に各国のスタンプを押してもらうため、もう一巡することにした。この「パスポート」は、フェスティバルの委員会からもらえるもので、各テントが用意したスタンプを中に押してもらえるようになっていた。これは、なかなか良いアイデアだと思った。その日一日で、世界旅行をしたという設定である。スタンプを押してくれて人たちの中には、子供達が多く、チベット人の女の子が、水色の民族衣装を着ていたので、写真を撮らせてもらった。たくさんのビーズがついた衣装は美しく、素直に私の言葉に従ってカメラを見てくれた子供は、とても愛らしいと思った。

 

 その他にも多くの国の人々と話をした。中南米の国では、スタンプを押してくれた男の子(たぶん彼はアメリカで生まれているのだろうが)の横に、バナナの揚げ物が作られていて、とてもおいしそうな良い匂いがした。アフリカのセクションでは、象やキリン等、木でできた動物の置物が売られていた。インドネシアの日傘は美しいと思った。中国の点心を売っている店があった。カンザスシティーで有名な点心のレストラン「Bo Ling」のものだった。フランスのスタンプを押してくれた女性は、「ボンジュール」とフランス人らしく、フランス語で挨拶をしてくれた。ドイツのセクションで、夫はなにやらドイツ語の食べ物を購入した。どんなものだろうと期待したが、何のことはない、ただのホットドックだった。しかし、普段食べるホットドックより、ジューシーでおいしかった。私たちが半分に分け合ったホットドックを食べている時に、夫がホットドックをくれた女性のドイツ語のアクセントを真似しながら話した。「彼女はそんな話し方していなかったわよ」と私は言った。あまり彼女と話をしなかった私は、彼女をドイツ系アメリカ人だと思っていたのだ。しかし、夫は「いや彼女はドイツ人だね」と言った。思ったより多くの外国人と話をしていたようだ。後日、このフェスティバルに行った友達は、「あそこにいた人たちは、とてもフレンドリーで感じの良い人たちばかりだったわ。怖そうな人は、一人も見なかった」と言った。確かに、こうして外国の文化を学ぼうとやってきた人たちなのだから、外国に関心がある、心が開けた人たちなのかもしれない。他人の違いを受け入れ、共存するというのは、時によって難しいものである。しかし、違いを文化と受け止め、尊重することによって、平和が保たれるのだろう。それゆえ、こういった外国の文化を紹介する催し物は、高く評価されるべきである。