Christmas Day

カンザスシティーの週末

クリスマス

2008年12月25日

カンザスシティーの週末

Isoko Durbinのブログ集

アメリカ人夫の一言

アメリカ生活録

アメリカで出会ったおいしい料理

 

 

 今年のクリスマスは、あまりクリスマスらしくなかった。夫の母はオクラホマにいる娘の所に行ったので、特に何もすることなく、普通の休日のような過ごし方をした。私がカンザスシティーに来たばかりの頃は、クリスマスイブに叔母の家に親戚全員が集まり、ディナーをした後、プレゼントを交換したものだ。確か去年まではそうしていた。そして翌日は夫の母の家でまたランチをし、前日と同じような食事をした。アメリカのクリスマスは、日本の正月のようなもので、親戚が一緒に食事をし、プレゼントを交換する日で、感謝祭のような食事をする。しかし、今年の感謝祭で張り切って料理したにもかかわらず、親戚が来なかったこともあり、それも感謝祭は、1ヶ月も前ではなく、私はあまり料理をする気になれなかった。それも12月24日は仕事が休みではない。わざわざ早退してまで、料理をする必要もない。と、あまり気合が入ったクリスマスではないので、ここに典型的な写真を載せられないのが残念。仕事から帰った後、スーパーに寄り道をし、シャンペンと、ベビーキャロット(小さな人参)、セロリ、ブロッコリー、ディップをカートに入れた。これらの野菜に、パーティーのようにディップをつけて食べれば、楽チンにクリスマス感覚が得られるのではないかと思ったからだ。そして、夫の食品会社が作っているクラッカーと、ワインに浸されたチーズも購入した。アメリカでは、チーズを載せたクラッカーがパーティーでよく食される。家に帰り、夫の父から貰ったハムを盛り分け、野菜もきれいに盛り付け、前日叔母がくれた(たぶんクリスマスプレゼントとして)ポテトとチーズのオーブン焼きを、テレビを見ながら夫と二人で食べた。「スパイダーマン」がテレビで見れたのは嬉しかった。スパイダーマンの2と3は見ていたのに、1を見ていなかったので、これまでのストーリーがすっきりとまとまり、私としては満足であった。

 テレビを見た後、ゴロゴロしていたが、私が以前買っておいた「ジンジャーブレッドハウス」セットを夫が開封しだし、これを作ろうと言う。ジンジャーブレッドハウスとは、要するに「お菓子の家」である。家の土台は「ジンジャーブレッドクッキー」と言って、生姜入りクッキーで作られている。私が買ったセットでは、この土台部分はすでに組み立てられていた。購入者は、この土台に砂糖を溶かしたフロスティングを、まるでセメントのように塗りつけ、色鮮やかなゼリーや小さなチョコレートチップなどを飾り付けるのである。先日見たテレビ番組では、壁を黄色のフロスティングで塗り、屋根は小さな茶色のチョコレート、窓枠も小さく切ったチョコレート、と本格的な家を作っていた。このセットはそこまで本格的ではないが、箱の写真はなかなかにかわいらしい。しかし、夫がするがままに任せた私が馬鹿だった。夫はフロスティングになる砂糖に水を入れすぎ、水っぽいフロスティングになったため、ポトポト滴り落ち、形を作ることができない。そのため、お菓子の箱にある写真のように窓を作ることができなかった。私が「もう!」と怒りだすと、ソファに退散し、「ごめんね~」とちっとも謝っていない笑顔で言う。「これ以上は、触ることは許可しないからね!」と、私。そういえば、2年前のクリスマスに焼いたハムも、レシピを無視した夫が、上に塗る砂糖を長く調理しすぎたので、オーブンから出てきた時は、蜂蜜のように甘いはずのハムが、焦げ焦げになっていた。

 さて、クリスマス当日の朝、ダラーッとテレビを見ながらシリアル(!)を食べていると、オクラホマにいる夫の母から電話がかかる。 

「みんな贈ってくれたプレゼント喜んでるわよ。ところでバスローブが入ってたけど、あれは誰のかしら?」

それは姉あてだ、と言うと、

「あら、そう。エイミーには丁度良い大きさだわ。ジューリー(夫の姪)もぬいぐるみのワンちゃん、喜んでるわよ。彼女のぬいぐるみ動物園に、また1名追加ね。私もデジタル写真アルバム、とても気に入ったわ。どうもありがとう。」

と、楽しそうな様子だった。ちなみに夫の姉の旦那さんには、部屋履き用の靴(要するにスリッパ)、夫の甥にはジャケット(私はこれで彼にガールフレンドができるのでないかと思う。若い女の子達は、こういったジャケットを着た男の子が好きなはずである。だから、彼にガールフレンドができたら、私の趣味のよさのおかげである)、そしてもう一人の姪には、腕時計を贈った。オクラホマに行く前の母に、これらのプレゼントを託しておいたのだ。これで、送料が節約できた。しかもクリスマス前に郵便局など、行かない方が良い。一年で一番忙しい時期なのだ。ちなみに夫の母は、私たちに「ヒーター」を贈ってくれるそうだ。いつも忙しい彼女は買い物に行く時間がないらしく、私たちにインターネットで調べ、どれが欲しいか教えて欲しいらしい。下の部屋が異常に寒いので、そのために買ってくれると言う。インターネットで調べてみると、どうやら、今私たちが使っているガスの暖房よりも、光熱費が安そうである。一日につき1ドル程度というのだ。それなら、自分達が半分負担してでも大きなのを購入し、ガスの暖房を使わなくすれば、光熱費大幅削減である。それに地球のためにも良いことに違いない。姉の家庭からのプレゼントは、母が帰宅してから届けられる予定である。楽しみである。

 午後になって、映画に行くことにした。クリスマス封切の大物映画がたくさんある。ブラット・ピット主演の「The curious case of Benjamin Button」、トム・クルーズ主演「Valkyrie」、メリル・ストリープ主演「Doubt」、アダム・サンドラー主演「Bedtime Story」、ブラット・ピットの元妻ジェニファー・アニストンとオーエン・ウィルソンの「Marley & Me」、タイタニックのゴールデンコンビ、レオナルド・デカプリオとケート・ウィンスレット主演の「Revolutionary Road」等、これら全て、クリスマスに公開である。しかし私たちは、少し前に公開されていたウィル・スミスの最新映画「Seven Pounds」を見ることにした。トム・クルーズの映画は、血が流れるシーンが多そうだし、ブラット・ピットの映画は良いと聞いていたが、私にはイマイチぴんと来なかった。私はウィル・スミスが好きなので、じゃあウィル・スミスにしようという事になった。

 さて映画館は、以前「プラザ・アートフェアー」や「噴水の旅3」でも ご紹介したプラザ・カントリークラブにある。スペイン風の建物と噴水が美しいアメリカ最古のショッピング街であるが、ここは、クリスマスのシーズンになると、モール全体がイルミネーションで飾り付けられる。このクリスマス・ライト(英語ではクリスマス時期のイルミネーションは、クリスマス・ライトと言われる)が見たくて、プラザの映画館を選んだのだ。

 ウィル・スミスの映画「Seven Pounds」は、コマーシャルから予想していたストーリーとはかなり違っていた。私は、ウィル・スミスが超お金持ちで、7人の見知らぬ人たちの人生を変えていく話だと思っていたのだ。それは、間違ってはいないのだが、その理由というのが、コマーシャルからは想像できなかったからだ。映画を見れば、びっくり仰天である。私たちの前に座っていた人は、映画が終わって帰る時に、“Crazy movie"と言っていた。映画の初めでは、何が起こるのかよく分からない。実際、最後の5分くらいまで、本当のことは良く分からないというのが実感だ。あんまり書くと、見る価値がなくなってしまうので、内容はあまり書かないようにするが、一言申し上げたいのは、この映画のように、世の中には、並外れた自己犠牲の上で、見知らぬ人の役に立とうとする人がいる。それは他人からはあまり理解されない行為かもしれない。しかし、私はそういう人たちがなぜそこまで奉仕活動に固執するのかと言えば、「自分自身の価値を見出したいから」だと思う。例えば、イギリスのダイアナ王妃を思い出して欲しい。彼女は生前、数知れないほどのチャリティーやボランティア活動をした。彼女をそこまで駆り立てたのは、夫とうまくいかず、ノイローゼになるほど不幸せな私生活であったと私は思う。夫との関係に自分の価値を見出せなかった彼女は、他人に奉仕することで、誰かに自分の存在を認めてもらいたかったのだと思う。人の役に立つことで、自分の価値が創造される。自分が生きている意味ができる。それは、夫に否定された彼女にとって、とても重要であったに違いない。ウィル・スミスの映画を見て、そんな思いを描いた。

 

 

 映画館を出ると、すっかり日も暮れ、イルミネーションが美しかった。昼間見る様相とかなり違い、幻想的にさえ見える。世の中には、もっと派手なイルミネーションは無限に存在するが、このプラザのクリスマス・ライトは、「お菓子の家」のように、かわいらしく、私は気に入った。一番上の写真は、映画館の通路から撮ったものだが、いかにもクリスマスといった雰囲気だ。この上の噴水の写真も、実は「噴水の旅3」で違うアングルから撮っているが、同じ噴水には見えない。光の魔術である。

 夫が「チーズケーキ・ファクトリー」というレストランで食事がしたいというので、プラザの中を歩き出した。幸い前日までと比べると、春が来たのかと思うほど暖かい夜だったので、イルミネーションやウィンドーのディスプレーを楽しむ余裕があった。途中で、馬車が観光客を待っている。宝石屋の窓には、ダイアモンドのネックレスや指輪が飾られていた。洋服屋のウィンドーには、流行の服を着たマネキンが、ポーズを取っている。こうした華やかなウィンドーを見るのは楽しかったが、ほとんどの店は閉店している。私たちが向かった「チーズ・ファクトリー」も閉まっていた。仕方がないので、車に乗ることにした。

 カンザスシティーには、「市長のクリスマスツリー」というのがある。それをクラウンセンターというショッピングセンターの前に見に行った。あまり豪華なクリスマスツリーではなかったが、まあ、背は高い。いや、ツリーいっぱいにライトが飾られて、豪華といえば豪華かもしれないが、なんだかひょろ長く、あまり格好の良いツリーとは言えない。しかし、ツリーの前にある噴水と横の木並のイルミネーションは美しかった。駐車できる場所があれば、ベンチにでも座り、イルミネーションをもっと楽しめたであろうが、夫が車で待っていたので、ぱちぱちと数枚写真を撮るだけに終わった。しかし、幻想的な夜に満足であった。