Arabia Steamboat Museum

カンザスシティーの週末

アラビア蒸気船博物館

2008年8月3日

カンザスシティーの週末

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 私がよく週末に行くシティーマーケットには、農家直送の野菜や果物が売られるファーマーズマーケットの他に、「アラビア蒸気船博物館」というのがある。カンザスシティーにはミズーリ川が流れているのだが、この川で1856年、セントルイスから出発したアラビア蒸気船が沈没した。乗客は全員助かったのだが、この時積まれていた商品や乗客の持ち物は全て、船と共に水の底で眠ることになった。その後何度かこの船の発掘が試みられるが、掘る度に地面から水が噴き出し、発掘を断念せねばならなかった。

 しかしHawley家とその友人達が始めたプロジェクトは、違った。1988年、アラビア蒸気船が眠っているであろうと思われる土地の所有者からその土地を買い上げ、Hawley一家とその友人達は、それまで何度も断念されていた「アラビア蒸気船」の発掘に、再度挑戦する。彼らはポンプを使い、地面から噴き出した水を汲み上げる技術を使い、見事その残骸を捜し当てるのである。アラビア蒸気船は、客船であると共に、物を運ぶ船でもあったため、発掘地からは、船の残骸の他に、店に並べられる予定であった靴や皿など、その当時の生活必需品が、山のように掘り出されたのである。そして発掘者のBob Hawleyは、シティーマーケットの一角に、「アラビア蒸気船博物館」を設立する。私は、この博物館に夫と一緒に行ったことがある。シティーマーケットに行った時、「そうだ、この博物館のことを書いてみよう」と思い、この日は博物館周辺を写真に収めることにした。

 博物館は、シティーマーケット内にある土産物売り場から入場できる。一見ここが博物館の入り口だとは思えないのだが、チケットも土産物売り場で売られており、ここが正式で、且つ唯一の入り口なのだ。確か入場料は10ドル前後だったと思う。チケットを買い、入場のアナウンスが流されると、地下にある博物館に行くことになる。博物館の入り口では、最初にガイドが入場者を出迎え、私がここに書いたような歴史を説明し、ツアーが始まる。博物館内に展示されている船からの発掘物は、その当時の生活様式がうかがわれ興味深い。火薬や銃などは、アメリカの開拓時代を彷彿とさせるものである。ブーツ、帽子、皿等は大量に発掘されたらしく、店が1軒構えられるほどの量が展示されている。ミズーリ川は、何度もその様相と位置を変えたようで、その当時川であった場所は、現在のミズーリ川からはずれている。そのため地中で眠っていた品物は、丁度良い保存状態が保たれていたのだろうか。この博物館の展示物は、驚くほど新しく見え、大量にあるビーズなどは、おばあさんの屋根裏部屋から出てきたといっても、誰も疑わないだろう。展示物の中には、はるばる海を渡って輸入された香水などの高級品もある。そういったアメリカ開拓時代の様子を味わうのにピッタリの場所だ。

 しばらく展示物を自由に見学した後、ツアー参加者はビデオが映される小さな部屋に移動する。そこでさらにアラビア蒸気船の歴史や、発掘者たちの努力などを学んだ後、私達が見学した日には、その当事者Bob Hawleyが登場した。ビデオを見、彼の苦労を知った直後であったので、その登場は尚更感動的であった。たぶん毎回彼が登場するのではないと思うが、この日は参加者の質問に答えていた。私が一番知りたかったのは、多額の資金を投入して発掘作業をし、博物館を設立した今、収入はあるのだろうかということだった。夫の後の説明によると(私はその時、理解できなかったため)、「10年くらいは最初の支出が収入よりも高かったけど、それ以降は博物館の経営は黒字のようだよ」とのことだ。夢と信念を持って努力し続ければ、必ず結果が出るというアメリカンドリームの典型のような人生で、素晴らしいと思った。

 このビデオとBob Hawleyの質問会の後、ツアー参加者は船のエンジンや機械などが展示された場所に移る。そこにはその当時の生活や、船で旅する人たちの歴史が学べる。船の機械などは、まるで映画タイタニックの世界である。木製の大きな外輪は、博物館がある地下から、土産物店がある地上1階の吹き抜けまで突き出しており、その巨大さが分かるというものだ。たぶんこれは後に再生された物だろうが、見ているだけで、当時の船旅行の気分にさせてくれるものだ。

 ツアーが終われば、土産物店でアラビア蒸気船に関する本や、その当時の小物などを買うことができる。私が一番興味があるのが、その当時の料理本だ。アメリカ開拓時代の、物が無かった時代のレシピであるから、材料も少なく素朴なものが多い。この辺が妙にノスタルジックな気分にさせてくれるのだ。アメリカのお土産としてもいいと思うので、カンザスシティーを旅行されるなら、立ち寄ってみるといい。この土産物店の前には、アイスクリームやホットドックなどが食べられるフードコートもある。あまりお勧めの場所ではないが、一息入れるくらいにはいいだろう。しかし、シティーマーケットの周りには、たくさんのレストランがあるので、食事をするにはよそのレストランに行った方が良い。

 この日はただ単に、土産物店周辺の写真しか取れなかったので、詳しいことが知りたい方は、アラビア蒸気船博物館のホームページをどうぞ。ビデオもあり、かなり歴史が学べるホームページである。