露木 聡・准教授

こんなことを考えています

 森林のことを知ろうとするとき考えなくてはならないのは、森林は歴史を持っているということです。さらに、その森林はそれだけで存在しているのではなく、周囲の状況(物理的にも制度的にも)が影響を与えた結果として存在しています。つまり、現在の森林だけではなく、その森林がどのような変遷をたどってきたかを、その森林の周囲の状況を考え合わせながら見てゆく必要があります。
 ところが森林は広大です(農地だって都市域だって広いのですが、森林はもっと広くて行きにくい場所にたくさんあります)。 もちろん現地に自分で行って森林を五感で体験し詳しく調べることが一番大切です。でも一人(数人のグループでもかまいませんが)で調べることのできるのは、広い森林に比べるとほんのわずかな点に過ぎません。
 ですから、自分自身で調べた点が広い森林(地域)の中でどの部分に属しどの程度の代表性を持っているのかは、いつでも意識しておく必要があります。そんなに詳しくなくてもよいから丸ごと知りたい!という場合には、リモートセンシング(RS)技術を使って、現在と過去における面としての森林とその周辺のようすを一度に調べることができます。そして現地調査の点とRSの面を結ぶのはGNSSであり、GIS(地理情報システム)です。RSもGISもGNSSも空間情報解析技術と呼ばれたりしていますが、どれも空間情報を扱う技術です。
 森林と人間がこれからも共存してゆくために、これらの空間情報処理技術を道具としてどのように役立ててゆくことができるかを考えていきたいと思っています。

こんなことをやっています

 ひと言で言えば、「空間情報解析技術を利用した森林・緑地環境の把握」ということになりますが、もう少し具体的に言えば、
  • リモートセンシングとGISを利用した森林環境評価法の開発
  • 衛星リモートセンシングによる森林環境モニタリング
  • 森林におけるGNSS利用
  • REDD+に対応したアジア地域熱帯林計測技術の開発
  • ディジタル空中写真を利用した森林景観構造の把握
といった内容です。これまでは東南アジアや日本が主な研究対象地でしたが、最近になってシベリアの森林も対象地に加わることになりました。
 森林環境の把握のためには以下の図のような5つのツールを主に使います。それぞれのツールには得意不得意があるので、研究対象や目的に応じて、いかにうまく組み合わせて使いこなすかが肝要です。たとえば、リモートセンシングデータを利用すれば現地に行かなくてもよいかと言えば、まったくそのようなことはありません。少なくともリモートセンシング画像を見れば現地の森林がどのようなようすをしているかを想像できるようになるくらいになるまでその土地のことを知っておく必要があるので、現地観察は必要不可欠で重要なステップです。森林バイオマス推定や森林構造の把握が目的であれば、森林内にプロットを設けて毎木調査を行うことが必要な場合があります。そのためには、森林プロット調査の技術が必要です。また、海外の森林を対象としたケースでは、私たち日本人だけで調査はできないので、現地の研究者などと協力して行うことになります。その際には、英語(やできれば現地語)でのコミュニケーションが欠かせません。それぞれのツールを使いこなすためには、単なるツールのユーザとなるのではなく、バックグラウンドとなる学問分野や技術についての知識を持つことが重要です。学生の皆さんには、宇宙工学から森林生態系まで、必要に応じて学んでほしいと思っています。