東京第16回 2019.5

異例事態のまま再結審 判決言い渡しは6月26日(水)に指定

原裁判長、有無を言わさぬ事務的な口調で終結宣言


植村裁判東京訴訟(被告西岡力、文藝春秋)の口頭弁論は5月10日午後、東京地裁で再開され、原克也裁判長は審理の終結を宣言した。判決は6月26日午前11時30分から言い渡されることになった。

開廷は午後3時。冒頭、植村弁護団は「進行意見書」を提出し、神原元弁護士が7分間にわたって要旨を読み上げた。主張の要点は、被告側が結審後に追加提出した新証拠(朝日新聞社第三者委員会報告書全文)について植村側が反論するための期間を裁判所は設けよ、というもの。読み上げが終わると、原裁判長は被告側の喜田村洋一弁護士に意見を求めた。喜田村弁護士は「植村側は第三者委報告書の全文を精査して2016年にその抜粋版5ページ分を証拠提出しているのだから、全文が証拠採用されても不意打ちにはならないし、期間が延びるだけだから、本日結審が相当と考える」と述べた。これに対し、植村弁護団の穂積剛弁護士が、「読んだかどうかが問題なのではない。裁判所が重要だと考えたその部分はどこなのかを明らかにし、主張と立証を尽くさせるべきだ」と反論したが、裁判長は応じることなく、「それでは弁論を終結する」と述べた。有無を言わさぬ事務的な口調の再結審宣言だった。植村弁護団の梓澤和幸弁護士は「先ほどの主張に応答はないのか」と裁判長に迫った。裁判長は「何かおっしゃりたいことがあれば書面で」と述べて、やりとりを打ち切った。

閉廷は午後3時10分だった。 

この日の法廷はいつもよりも小さな706号が使われた。開廷前に傍聴抽選の整理券は発行されたが、整列者が定員にわずかに満たなかったため、抽選は行われなかった。48席の傍聴席はほぼ埋まった。植村弁護団は20人が席に着き、被告弁護団はいつものように2人だった。西岡氏の姿もいつものように、なかった。裁判官席の3人はこれまでと同じ顔ぶれだった。しかし、原裁判長と佐古陪席裁判官は4月1日付で東京地裁から転出している(東京高裁と鹿児島地裁へ)。にもかかわらず担当を続けているのは、裁判所内で特例措置がとられたためとみられる。

法廷では裁判官の入退廷時に全員が起立する慣例がある。しかし、この日、裁判官が立ち去る時に起立する人は少なく、表情を曇らせて座ったままの人が多かった。

昨年11月にいったん結審した後に再開され、証拠の追加提出、裁判官の忌避申し立て、弁論の中断、そして再開という展開をたどった東京訴訟は、異例事態が続く重苦しい空気の中で再結審した。

報告集会は午後5時から、参議院議員会館101会議室で開かれた。

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