【2019年10月10日、札幌高裁】 第3回口頭弁論は午後2時半から札幌高裁で開かれ、植村隆氏と渡辺達生弁護士(札幌弁護団共同代表)が最終の意見陳述を行った。この後、櫻井よしこ氏側との意見のやりとりはなく、裁判長は「これで弁論を終結します」と宣言した。判決言い渡し期日は「来年2月6日午後2時半」と指定された。閉廷は午後3時ちょうどだった。 ■金学順さんの証言録音など新証拠を提出し、結審 植村氏は、意見陳述の中で、重要な証拠として2本の録音テープを提出したことを明らかにした。1本は1991年12月に金学順さんが日本政府を訴えた裁判の弁護団(高木健一弁護団長)の聞き取りに同席して録音したテープ。もう1本は前年の90年7月、植村氏が挺対協共同代表・尹貞玉氏をソウルでインタビューしたテープ。いずれも植村氏が録音したものだが、その後、ジャーナリスト臼杵敬子氏の手に渡り、このほど臼杵氏の自宅で発見された。 金学順さんのテープは、金さんが慰安婦とされた経緯を詳しく語る肉声が収められ、その証言を植村氏の記事が正確に再現したことがはっきりとわかる。尹氏のテープでは、挺身隊との呼称が当時韓国では一般化していた事情と、植村氏が早くから慰安婦取材をしていたことなどが詳しく語られている。 植村氏はこの2本の録音テープの内容などをふまえて、櫻井よしこ氏の言説は誤りと矛盾に満ち、「捏造」決めつけの合理的な根拠が示されていないこと、また、そのような櫻井氏を免責した一審判決も異常だと批判し、公正な控訴審判決を求めた。 渡辺弁護士は、9月17日に裁判所に提出した3通の準備書面(2)(3)(4)の概要を説明した。その上で、原判決の根本的な誤り、原判決が社会にもたらした影響、櫻井氏の政治的な言説についての見解を明らかにし、最後に櫻井氏の政治的立場を批判し、「原判決は、櫻井について真実相当性が認められないにも関わらず、そのハードルを下げて免責し、日韓関係の悪化にも事実上加担した。このような加担は司法の自殺行為であり、原判決は絶対に破棄されなければならない。裁判所の英断を期待する」と締めくくった。 この日の札幌は秋日和がまぶしく感じられる穏やかな天気で、正午の気温は22度。開廷前、傍聴のために整列した人は81人。805号法廷の傍聴席は80だが、1人が辞退したため抽選は行われず、希望者全員が入廷し傍聴した。 植村側弁護団席には、東京弁護団の2人を含め18人が着席。櫻井氏側は6人が並んだが、主任格の高池勝彦弁護士の姿はなかった。 植村さんと渡辺弁護士の意見陳述は控訴審を締めくくるにふさわしく、気迫に満ちたものとなり、終わるたびに法廷に拍手が響いた。 ※植村氏と渡辺弁護士の意見陳述 こちら 写真=控訴審結審の日 上段左=裁判所に向かう植村氏と弁護団、右=韓国から訪れた「植村隆を考える会」メンバーと日本の「支える会」メンバーが植村氏を囲んで裁判所前で記念撮影■中段=80人が参加した裁判報告集会と、映画「標的」監督の西嶋真司氏■下段=集会であいさつする植村氏と、「植村隆を考える会」メンバー(右端は任在慶氏=ハンギョレ新聞元副社長) |
