■植村弁護団、櫻井氏と一審判決を強く批判 本多裁判長、ていねいに審理尽くす姿勢 植村裁判札幌訴訟の控訴審第1回口頭弁論は2019年4月25日、札幌高裁(本多知成裁判長)で開かれた。植村弁護団は弁護士24人が出席し、控訴人の植村隆氏と小野寺信勝弁護士(事務局長)が、公正な判決を求める意見陳述を行った。櫻井よしこ氏側は弁護士6人が出廷した。被控訴人の櫻井氏は出席せず、意見陳述(朗読)もなかった。法廷では意見陳述と、「無過失の抗弁」をめぐるやりとりがあった後、本多裁判長は次回期日を7月2日(火)と決めた。
植村氏の意見陳述は18分、小野寺弁護士は11分に及んだ。 植村氏は、櫻井氏がかつて元慰安婦の強制連行体験や境遇に心を寄せた記事を書きながら、とつぜん明確な根拠を示さずに「人身売買説」を主張するようになったことを強く批判した。また、櫻井氏を免責した一審判決についても、裏付け取材をしなくても「捏造」と思い込むだけで許してしまうのはあまりにも公正さを欠き、歴史に残る不当判決だ、と訴えた。 続いて立った小野寺弁護士は、櫻井氏が植村氏ほか当事者への取材を怠り、また資料の引用や理解で誤りを繰り返したことを一審判決は看過した、と批判し、判決の「真実相当性」の判断はこれまでの最高裁判例や法理論にかけ離れている、と強調した。 「無過失の抗弁」をめぐるやりとりは、「櫻井氏は過失がないことを証明しなければならない」との植村氏側の主張(控訴理由書)に対して、櫻井氏側が「無過失責任」を持ち出して反論(控訴答弁書)していることについて、植村弁護団共同代表の伊藤誠一弁護士が櫻井氏側に説明を求めたもの。伊藤弁護士は、無過失の抗弁を無過失責任と混同することはおかしい、と質問を重ねたが、櫻井氏側は即答せず、書面でやりとりをすることになった。 植村氏側が求めた証人申請(梁順任さん=植村氏の義母、元韓国太平洋戦争犠牲者遺族の会役員)は、櫻井氏側が同意しなかったため、今回は決定が保留となった。 開廷直後に行った書面証拠類の確認手続きでは、植村側、櫻井側双方の書面の中の誤記や説明不備を細かく指摘して修正を求め、ていねいに審理を進める姿勢をうかがわせた。また次回期日の決定では、植村弁護団の要望を受け容れ、今後提出を予定している法律学者の意見書と弁護団の準備書面の作成に時間がかかることに理解を示した。 高裁の審理は通常、一審の審理が十分に尽くされていると判断される場合、初回の口頭弁論で即日結審することが少なくないが、次回期日が設定されたことで、高裁の審理に展望が開けたといえよう。小野寺弁護団事務局長は「次回期日を設定し、弁論が続行されることを高く評価している」と、口頭弁論終了後に開かれた報告集会で語った。 この日使われた高裁802号法廷の定員は75人。傍聴希望者が開廷前に列をつくったが、定員を1人下回り、抽選はなく74人全員が入廷できた。開廷は午後2時30分、閉廷は3時16分だった。 開廷に先立って午前10時過ぎ、植村さんと支援メンバーが「署名簿」を札幌高裁6階の事務局に提出した。道内各地から寄せられた「公正な判決を求める署名」は第1次分で1万3090筆に達している=写真下 |