年賀状を元旦に出すと郵便局が休みのため4日以降に届く。でも、年末に出して「今年は・・・」と言うのは何か違和感があるので年賀状はいつも元旦以降に書くことにしている。
引越したことをあまり知らせていなかったので、久し振りにたくさん書いて、とても正月らしい一日だった。
今年も竹内先生が蝋梅を持ってきてくれた。甘い香りが部屋一面に広がって良い気分。
昨年3月、パスカルズ欧州ツアー先のスペインで地元の生絞りオレンジジュースを飲んでから、日本の100%オレンジジュースが気になって仕方がない。あれこれ買って飲んでみたけど日本のオレンジジュースは酸味が強いか又はみかんジュースという感じ。種類だろうか。そんな中で、記憶に近く美味しかったのは「めいらく」の100%オレンジジュース。最近買ったのは、みかん味だった。これはこれで美味しい。
夕暮れに染まる美しい紅色の富士を見ながら思う。春になれば私の苦手な忙しく落ちつかない日々が始まるであろう、それまでは、もう少し穏やかな日々を持ちたかったのだが計算を誤ってしまった。
例年通り、長い1月がまだ続いているけれど、そうして迎える2月は、あっという間に過ぎてしまうんだろうし、3月に入ればもう忙しい日々が待っている。その前にやっておきたい、あんな事やこんな事や・・・と、ひたすらに思う。
散歩の途中、歩道脇の鉄柱に大きなスイッチがあった。裏側を見ても何処にも電線が走っている様子はなく、摩訶不思議。スイッチONしてみたくなる衝動をおさえ写真だけ撮った。帰り道は案の定「あのスイッチを押したら、ひょっとして街中が真っ暗になったりして、あるいは地面が消えて街が宙に浮いていたりして」などと、いつもの私の果てしない空想は飛躍してしまうばかりだった。
あかねの運転する車で小ドライブの帰り、前を行くバイクがずいぶんヨロヨロと危なげな走行。ふと見ると富山ナンバー、荷台の古風なケース。富山の薬売りではないか。はるばる富山からバイクで来たのだろうか。荷台の薬を飲んだ方が良いかも。
などと話しながら、何だか自分たちの身体のことも気になって寄った店で「豆穀茶」を見つけ購入。豆の香ばしい風味が心地良い美味しい出会いだった。富山の薬売りのおじさんに感謝。
戸棚に残っていたホットケーキミックスを何とかしたいと思ったが、このまま普通に焼くのは何だかつまらない。レンヌやシャトーランで食べた塩バター風味豊かなクレープみたいにならないだろうかと思い、キャンディBOXに入っていたバタースカッチを溶かし入れてみる。
恐るべし、インスタント食品の底力で、純和風の微かに遠くで少しだけ塩バターキャラメル風味ホットケーキが完成。手のひらサイズのミニホットケーキにして、あっという間に完食。無駄な抵抗だったか。
近所の家の庭に咲いていた若い白梅。家主が居なくなり空家になってしまった庭で、誰にともなく春の香りを漂わせていた。
寂しくなった庭の、ここだけ賑やかで楽しそうで何だか私もどうにかして仲間に入れてもらえないかなと思い、とても羨ましく思った。それくらい平和で美しかった。
仏ポワティエのモンモリオンのマカロン。クラシックマカロンといえばナンシーかポワティエだが、Pascals欧州ツアーのきっかけを作ってくれたジェラールはナンシー。RUNプロダクションのフィリップはポワティエ。どちらもマカロンが取り持つ運命の出会い。
次回ツアーのための打ち合わせを終えて先日パリから帰国したマツさんが、フィリップから預かってきたお土産。賞味期限過ぎてもなお遠くで甘いリキュールの香りがしていて、焼きたてはさぞ美味しかったんだろなと思うと、次回はぜひともこの店に行かねばなるまいと強く心に誓った一日だった。
友人宅より初節句祝が届いた。ワレモノシールが貼ってあったので、慎重にそーっと箱を開ける。
開けたらびっくり。全長20cmほどの羊の形をしたパンとその足元に素朴なクッキー達と羊の顔のメレンゲ菓子が、紙で作られたオガクズに包まれてこちらを見ていた。
これを食べてしまうのはちょっと勇気がいるなぁと思いつつ、熱いコーヒーを入れ日当たりの良いベランダ越しにテーブルと椅子を持ってきてスイーツタイム。
あの見慣れた街に、こんなステキな店が出来ていたとは知らなかった。先週に続き、嬉しい美味しいプレゼント。おめでとう!ありがとう!
久しぶりに良く晴れたので朝早く家を出て遠出。神社の境内をくぐると早くも桜が3分咲きに。しばし見上げてその美しさに見とれる。
お参りをしたあと御籤を引いたら大吉だった。私的には今かなりローな気分で、あまり素直に喜べなかった。
神社の中にある売店では、昔懐かしい紅色の糸で繋がれた色とりどりの飴が満開で、まだ肌寒い春の風に揺られてキラキラと桜に負けないくらい美しく咲いていた。
モノレールに乗ってRECスタジオへ。今日は高田渡さんの「ものもらい」という曲のレコーディング。私的には涙が出るほど懐かしい歌。これを演奏することになるなんて夢のようだと思いながら、車中でデモを聴いてイメージ練習。
到着後、控室で整えてスタジオ内へ。音色が重なっていくごとに世界が広がっていくのが面白く、パスカルズ恐るべしと何度も思い、それがとても嬉しくて。帰りは嵐になり帰宅は大変だったが心地良い一日だった。仕上がりが楽しみ。
春のお彼岸。父の月命日。墓参りの帰り、神社で花見。まだ早いかと思ったが、しだれ桜などはほぼ満開に近い咲きっぷりで花見客も多く出店も出ていてなかなかの賑わいだった。父もまた何処からか、この美しい花々を見て写真を撮っているだろうか。
初台にて、パスカルズ今年1回目のライブ。遠い道のりを約3時間かけてようやく店に到着すると、まだ誰もいないガランとした会場にPA小俣氏の声が響いていた。
急に寂しくなってしまう。
超有名ミュージシャンからパスカルズあてに頂いたという可愛い指人形を譜面台に飾って、何とか楽しくなろうと思うけれど孤独感は増すばかり。LIVE後も自分の至らなさばかりが気になって誰の顔も見られず声も聞けず、魂がだんだん小さくなり、このまま透明になって消えてしまうかと思った。
「私は猫が嫌いだが人間より100倍好き」という極端な人間嫌いだった遠い昔の自分(今は違う)をこれほどリアルに思い出した夜はない。
少し足をのばして山里の夜桜を堪能しに出掛けた。今年は何度も花見ができて嬉しい。満月の夜空に咲く花たちは、自ら発光しているため淡いピンク色の花びらもフラッシュに反応して真っ白に。
数日後、ケーキを沢山買ってきて部屋でもう一度、こちらは美味しい夜桜を堪能する。
小さな折りたたみ自転車を買った。昔はどこへ行くにも自転車で軽快に飛ばしていた私だったが、10数年前、交通事故に遭い大破。補償で買ってもらった新しい自転車も一年以内に今度は妹が交通事故に遭って大破。以来、我が家には自転車がなかった。
自転車のハンドルを握ると恐怖で身体が震えるほどだった私がこうしてまた自転車を購入したのは大きな進歩だと思う。
ただし事故で靭帯を損傷してしまった私の左足はあまり言うことをきかない。乗れるかどうかはまだわからない。
良く晴れたので少しだけ旅気分。
自転車ではなく、2両編成のローカル電車に乗って。
数駅先で降りて、強い日差しの中ひたすら北へと歩いてみる。いい具合に寂びれた商店街の街灯に括り付けられた国旗がヒラヒラと泳いで情緒たっぷり。こんな休日の過ごし方もいいなと思った。
雨のなか都内にてパスカルズin鹿児島のリハーサル。6月初旬にフランス盤CD 「dodesukaden」発売予定なのでレーベルとの契約書に早くサインしなければいけないが専門用語で書かれた、しかもフランス語なんて誰も読めない。
いつもツアーでお世話になっているフランス在住のHさん(日本人)に相談しようと思い電話したら私の携帯では繋がらなかった。国際電話サービスの登録が必要らしい。
日常的にフランス語の需要があるわけもなく、教室で習った言葉も発音も、もうあまり思い出せない。距離はなかなか縮まらない。
パスカルズ鹿児島公演のため早朝の新幹線で羽田空港へ。じつは国内は神戸より西へ行ったことがなく、前日は夜中まで荷物の準備など興奮して眠れなかった。
トランクや楽器を持って空港に向かうと欧州ツアーがフラッシュバック。パスポートのチェックとか海外用電源の準備をしてしまう。行き先は日本だ。落ち着かなくちゃ。
鹿児島までは2時間。あっという間だった。空港を出るとバスが待っていた。楽器や機材を積んで鹿屋市へ。
翌朝。しとしと雨。肌寒い。かのやばら園は山の上にあり、晴れていればキラキラと光る海も望める素晴らしい景観と思うが、サウンドチェックの途中から激しい雨となり一時中断。
天候の様子をみて遅れて開演し、何とか無事演奏し終えたが、共演の友部さんは南国気分なアロハシャツを着て歌っていてとっても寒そうだった。
跳ねたり踊ったりしていた。
公演2日目の朝。雨が止んでいた。山間に霧が舞いあがっていく様子が美しい。このまま何とか降らないでいて欲しいと思いながら朝風呂へ。
昨日は散歩もできずに終わったが、今日は少し時間ができたので園内に広がるバラたちを眺めて歩く。
丘になった場所に咲く大量のバラに吹き寄せる風が色とりどりの甘い香りを運んできてクラクラした。その香りにつつまれながらバラのソフトクリームも食べる。美味しかった。
夜は、現地でお世話になった人達とともに打ち上げ夕食会。こちらもとても美味しかった。
帰る朝。ようやく晴れた。空港に向かう途中のドライブインで足湯につかりながら桜島を見る。
テッペンのギザギザから噴煙をあげたら迫力だろうなと思った。
洋菓子のお店「BonVivant」の方が、たくさんのお菓子を早朝のホテルまで届けてくれて感激。バスの中でみんなで食べる。
鹿屋は美味しいものもいっぱいあるしあんなに素敵な公園もあるが鹿児島空港からとても遠い。遠いところにあるのが桃源郷というものか。また来られるるだろうか。
父の月命日。墓参りから戻り玄関口の自転車を見たら、父が亡くなったばかりの頃見た夢を思い出した。通夜の席で寝ていた父が急に起き上がり「こんなことしている場合じゃない」と独り言を言って玄関口に立て掛けてあった自転車に乗ってパジャマのまま出かけていくという夢。
自転車を買ったものの怖くて漕ぎ出す勇気がなかったが、今日は乗ってみようと思った。
隣町を過ぎていつの間にか、小学生のころ父の自転車に乗せられて目医者に通っていた通りに来ていた。週に一度の、父と2人で行く病院が子供心に何だか恥ずかしく嬉しかった思い出の町。
その後、30分ほど走ったところで左足がシビレて動かなくなり限界。
公園までやっと歩いて、ベンチでしばらく休み帰宅。
横浜サムズアップにて、パスカルズ行ってきますLIVEの朝。昨夜泊まっていたホテルから歩いて行けるカフェでクレープを食べる。
二週間後にはフランスにいる自分がまだ想像できない。準備も全然できていない。今回は体調不良ぎみなのに常備薬があとわずかしかなく40日間という長期ツアーを乗り切れる自信がない。
飛行機やバス移動や食事の事など細かい心配ばかりしながら3時間程ぼぅーっと過ごす。
リハーサル中、椅子の下にお気に入りのケシゴムを落とす。どんなに捜しても、どうしても見つけられなかった。
急に心細くなってしまう。
いつもながら明け方まで準備に追われ寝る間もなく朝となる。
フランスは異常気象で猛暑らしいが、オフは避暑地で過ごすし北ドイツやイギリスにも行くので用心して長袖や上着も持った。梅干しも薬もたくさん持った。
雨の出発。飛行機揺れないといいなぁと思いつつ、成田までの車中でもうひと眠り。
午後、成田空港に到着。湿気はあるが涼しい。日本語の看板を見てホッとする。
トイレに入ったら便座が低くて後ろにひっくり返りそうになった。(ヨーロッパでは便座が高く、便座がないトイレも少なくないので小柄な私はとても苦労した。)
トランクを送って身軽になり空港内のカフェでまったりする。気持ちは早くも次の渡仏に向いているが一方ではまだ帰国していない自分がふわふわとヨーロッパをさまよっている感じ。
時差ボケ解消のため実家近所の夏祭りに出かける。そういえば今回のパスカルズツアーはヨーロッパ各地の夏祭りに参加してまわるという感じだった。
欧州では決して見られない鮎の塩焼き、イカの丸焼き、ホタテ串焼きなど見てうっとり。平和も実感。
何を入れていたのか忘れたが、途中で空になったので、ホテルにあったキャンディやカフェでもらったシュガーなど入れて持ち帰ってきた。
帰国後2週間が過ぎ、ようやく深い時差ボケから少し立ち直ってきて、ふとケースのことを思い出し蓋を開けたら、フランスの匂いがして、あわてて蓋を閉じた。これもフランス土産か。
フランス土産といえばもうひとつ。後半のドイツやイギリスのために残しておいたお金を、強力スケジュールで時間が思うように取れず結局、食に走って終わったのが今になって急にプクプクと体重が増え始めている。
本来肉食でない私がドイツで毎日のように食べていた濃い肉片のことなど思い出す。
昨年、猛暑の日差しを避けるためテラスにゴーヤを植えて簾代わりにしたら、すくすく育ち、大きなゴーヤがたくさん採れた。その種を今年も植えたら時期が早すぎたのか異常気象のためか、今度はとても小さいかわいいゴーヤがなりはじめ今も毎日収穫している。
私の掌ほどの小さいゴーヤだが味はピリッと濃い。日本で良かったなぁと実感。このところほぼ毎日食卓に上っている。採りたては生も美味しい。
良く晴れた朝、ツアーの40日間をずっと持ち歩いていた衣裳の帽子を洗濯した。
洗ったら水が黒く濁ってびっくり。長旅お疲れさま。ツアー先ではすっかり定着したこの帽子。さすがファッションの国でメンバーの衣裳や帽子などよく見ていて、あとで声を掛けて下さったりするので、こちらも衣裳選びには自然と気合が入る。
お気に入りのこの帽子で覚えていてくれる人がいるというのはとても嬉しい。風通しの良いベランダに干して、また来年も一緒に行こうねと話しかける。
吉祥寺SPCにてパスカルズただいまライブ。長期ツアーで不在にしていた間の留守を守ってくれた人達と涙の再会、というと大袈裟かも知れないが、何だかとても久し振りに懐かしい場所に帰って来た気分になり、みんなに会って心がうるうるしてしまった。
打ち上げをやっているような感じでステージが進み、旅のエピソードなど語りあう。
ライブが終わって着替えると、明日のレコーディングのことや明後日の演奏のことなど急に心配になり、ふわふわ浮いていた足の裏がピタと地面に着いた。
都内某所にてコンピレーションアルバムのレコーディング。知らない国の知らない人の曲をここで演奏している不思議。
昨日は、まるで欧州ツアーを再現するかのように暑かったのが一変、とても涼しい雨降りで、スタジオ近くのお蕎麦屋さんで熱い山菜そばを食べ暖まる。
このところリコーダーの調子が今ひとつ。メンテナンスに出そうか迷っている。
横浜赤レンガ倉庫にて、NHK-BS「フォークの達人」に出演する友部正人さんの公開録画ライブ。パスカルズで数曲バック演奏する。
友部さんと一緒だといつも楽しく平和な気持ちになれるのは何故だろう。
昨日の涼しいRECから一転してまた暑い横浜の日差しと海のにおいのする街を歩き会場へ。
会場裏のBar楽屋で、長テーブルの上に置かれた分厚い台本の隣りに崎陽軒のシュウマイの臭いを感じながらリハーサル。
この人の右に出て友部さんのことを語るのは許されないというくらいの友部さんファンでもある旧友のKさんにも久し振りに会えて、更に幸せな一日となった。
9/16、21と、お寺に行く。父が居なくなって9/21でちょうど10年経った。
キレイ好きな父を思い丁寧に掃除しているので新しく見えるが、色あせてきた墓石や弱くなった母を見ると月日が流れたという現実は重い。
帰宅後、近くの店でスウィーツタイム。甘いものが大好きだった父を思いながら。
パスカルズただいまライブ終了後、急ピッチで進めてきたツアービデオ編集作業のうち、本番分のDVDがやっと完成。計20枚ほど。
前回ツアーでトランクが割れてしまったり、今年はスタッフも少ないこともあり、三脚も持たず録画テープも道中分だけしか用意できなかったため、少ししか録画出来なかった日もある。
予定外だったノートルダムでの演奏会は暗闇の中なんとかビデオにおさまっているが、これも予定外だったアルルの川沿いでの生音ライブはテープが足りなくて録れなかった。
それでも今年は名所旧跡での公演、街の広場でライブなど多彩で、背景も楽しい仕上がりに。
空港で買ってきたモンサンミッシェルのクッキー缶に全ツアーがぴったり納まった。
この指輪はむかし、大好きだった劇団「自家発電」の公演会場で売っていた「幸福を呼ぶ指輪」。
交通事故で入院していて行けないことがあり、あかねがひとりで行ったときに買ってきてくれたので、何となく私の中で御守り的存在となった。
以来、部屋の模様替えをしたり引越したりして何度も紛失したが、不思議と必ず手元に戻ってくる。
もう、見かけなくなるということはやめようと思い、携帯ストラップにつけた。これからはずっと一緒だね、と記念撮影する。
山に登った。ドライブの途中「登山口」の立て札を見て車を止め、軽い散歩のつもりで登り始めたが
しかし、雨上がりの急傾斜で足元も不安定、登山道も崩れかけて危ないため(と言い訳してみる)ほんの10分程で力尽き、しばし休んで引き返すことに。
実家の近所にこんな険しい山があるとは知らなかった。
小学生時代の思い出の場所へ。小さな滝のある町まで久し振りの長い散歩。
地形が変わってしまったのか、私の記憶が遠くなりすぎてしまったのか、あまりの寂しさに言葉がなかった。
ここは、滝の上に川がない。滝の上は湧水源で、そこから水が沸いてすぐ滝となり、滝壷から川が始まっている。
まだ新しそうな吊り橋の中ほどから川底を見ると澄んだ流れの中に、網で簡単にすくえてしまいそうなくらい沢山の鮎の幼魚が泳いでいた。
入水禁止で人影もなく、平和な様子がまるで笑っているかのようにキラキラ光る背びれに映る。美しい命をいつまでも見ていた。
引越して2年目の秋も深まり、この頃ここにこうして居る自分について思うようになった。
当初ここは一時的な避難場所と思っていた。道は繋がっていて、あの電車に乗っていつでも行ける場所に沢山の大切な人達がいる。けれど、こうして離れた場所に居て遠くの空を眺めたりしているのは何故だろう。
頑張ってフランス語の勉強をしても、たくさん演奏の練習をしても、そこから繋がっていくものが遠くにあっては虚しさばかりが膨らんでいく。
これも偶然ではないとすれば、今、私はどんな道の途中にいるのかと、走り去る電車を見送りながら聞いてみたけれど返事はなかった。
海に沈む夕日を見たいと思った。遠出と思いきや走り始めて30分程で海が見えた。
けれども海辺の町は今日はどこも定休日で駐車場も空いておらず、途中でUターンして帰る。
海は真っ赤な夕焼け、山は始まったばかりの紅葉が競い合うように美しく、左右の紅に囲まれて頬を照らしながら帰宅。
道が悪く急カーブの連続で車酔いしてしまったが、短い時間でドライブできたのは嬉しかった。
次は営業日を確認して島へと渡るロープウェイに乗ってみたい。海を眺めながら温泉にも入ってみたいな。
勤労感謝の日。父の墓参りに行く。寺の後ろの険しい山が真っ赤に色づいていた。
父の墓は、ちょうどこの山をながめる向きに立っている。
こんな美しい景色を眺めているなんて羨ましいなぁと思った。明日からは、ゆとりに背を向けてしばらく勤労の身。来年のため、再来年のため、日々のために。
近くの公園でXmasイルミネーションをやっているというので出かけてみた。公園内に屋台が軒を連ね舞台も出来ていて夏のお祭り会場みたいに賑わっていた。
枯葉の積もる広場には、彩色されロウソクを灯された大小のガラス瓶が2列に蛇行しながら道を作って公園奥の湧水池に続いている。テレビ局が来ていてそれらを撮り歩いていた。地元の子供たちの手作り。美しかった。
帰りは道路沿いの枯れ木に飾られた電飾のピカピカを渡り歩いて帰宅。
樹木の間でひときわ美しく蒼く輝いていた満月。私だって負けないわと言わんばかりに。
パスカルズリハーサルのため午前中から外出。青く澄んでキラキラ光る海を見ながら、ひたすら東へ。今年最後のライブなのでしっかり演奏したいと思う。
風邪でぼぉーとしている耳で新曲デモテープ延々3時間聴いてイメージ練習。発熱すると出るいつもの鼻血もやっと止まってひと安心。
夜遅く帰ってみると、駅前広場が竹で出来た素敵なオブジェで飾られていた。
吉祥寺SPCにて、パスカルズ今年最後のライブ。風邪で鼻水が止まらない。ノドも痛いのでマスクをして出かける。新曲が難しくどうしても頭に入らない。不安ばかりがつのり、それはそのまま本番へと繋がってしまった。
リハーサル中はまだ何とか自分を保てたと思うが本番ですっかり飛んでしまい演奏し慣れている曲も私の記憶のどこか奥の方に消えてしまい見つけられない状態に。本番中に不安で指が震えたのは初めてかも知れない。
楽屋での美味しい寿司やスウィーツに囲まれて幸せなひとときが、せめてもの救いだった夜。