・ウルシ

ヤマウルシ ウルシの木 漆

漆 ウルシの木 ヤマウルシ s.tashiro_terradiart©
ウルシ科ウルシ属
分布地:北海道から九州、南千鳥
樹高:3Mから8M 落葉小高木

山野に分布。雌雄異株。5月から6月にかけて細かい花を咲かせ、円錐形の穂状に下がる。
8月から11月に、偏球形の硬い実をつける。

山野で見かけられる自生しているものはヤマウルシとされる。 植物辞典に”ウルシ”は掲載されていないのは、漆液採取用のウルシは栽培種で改良されている為と思われる。

栽培種は”ウルシの木”と称される事が多い。山野に自生するヤマウルシからも良質の漆が採取されるとする漆掻き職人もいる。
漆の植栽地 撮影場所:福島県会津

漆 ウルシの木 ヤマウルシ s.tashiro_terradiart©


ウルシオールというかぶれ成分を含むが、このウルシオールが天然の塗料としての主成分であり、日本産の漆液が、この主成分の割合、質において、他国の漆液と異なっている。

ウルシからは樹液を採取する事に加え、実からはロウを採取する事もできる為、江戸期の多くの藩がウルシ栽培を奨励した。
現在も漆器・和蝋燭産地として名を残している所がある。

ロウを専門に採取するヤマハゼもウルシ科ウルシ属で、人によってはかぶれる事がある。
他にロウを採取する事ができて更に染色のタンニン原料を採取するヌルデもウルシ科ウルシ属である。
ウルシ科ウルシ属の樹木は、特に紅葉が美しい。















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ウルシの木の苗 双葉、本葉の様子
漆 ウルシの木 ヤマウルシ s.tashiro_terradiart©

ウルシの木を生育させるには、実植え法と根分け法の2種類の育て方があります。

ウルシの木は雌雄異株で、5月から6月にかけて細かい花を円錐形の穂状に下げて咲かせます。

8月から11月には偏球形の硬い実を穂状につけ、真冬になる頃には実の硬い外皮は弾け、ロウ質で守られた中果皮が現れます。

野鳥がこれを食べて、消化しきれなかった種子がフンとして排出され、そこから芽吹く事と思われますが、ウルシの実は堅いロウ質に守られている為、鳥
などが媒介したとしても条件が揃わないと発芽にはなかなか繋がりません。







苗木からでは約10年で幹径が12cm程になり、それ位になると漆掻きができるようになります。













漆 ウルシの木 ヤマウルシ s.tashiro_terradiart©

左の写真は古くからの手法でロウ作りをする為にウ ルシの実を蒸かして、ロウを採取した後の種子を蒔 いてみた所、芽吹いたそうです。
観察の為にいただきました。発芽から2年目の写真です。

蒸かした後でも芽が出ると言う事には驚かされます。


葉の輪郭には柔らかく細かい毛がある。
葉の裏側や茎部分にも柔らかい毛がある。








漆 ウルシの木 ヤマウルシ s.tashiro_terradiart©
漆 ウルシの木 ヤマウルシ s.tashiro_terradiart©
左:1月の枝先の様子(3年目) 種から発芽したウルシの苗木3年目程のものです。
右:4月中旬の様子 観察場所:東京
上の写真から1年で幹径1.5cm程になりました。


漆 ウルシの木 ヤマウルシ s.tashiro_terradiart© 漆 ウルシの木 ヤマウルシ s.tashiro_terradiart©
左:岩手県浄法寺の文化庁による、ウルシの木の植樹林の様子です。
右:ウルシを掻き終えて伐採された幹の様子です。

漆掻きは7月に入ると始められ、11月半ば頃に終わります。

掻き溝を施す周りの固い表皮を最初に平らに削ってから漆の採取を始めます。

漆掻きにの方法には2種類あります。
『養生掻き』はロウ採取にも役立つ為、幹全体を掻かずに残し、2年から3年程経ってからまた漆掻きを行う方法です。

しかし現在は、ロウ採取の必要もない事もあり、『殺し掻き』と言って、諸々の事柄を考慮し、且つ漆液の採取率を高める為に、幹全体を漆掻きし、採取後はウルシの木を伐採して処分する方法が、殆どを占めています。


漆 ウルシの木 ヤマウルシ s.tashiro_terradiart©

一本の横線を掻いた部分(『辺』と言います)から微量の漆液が採取され、それから4日から6日後にまた一本の掻き溝を入れ、採取を繰り返します。

掻き溝は、最初は短く、日を置くごとに横幅を長くして上に進んで行きます。

縦40cm程の間に18本程の掻き溝を引きます。掻き溝数はウルシの木のサイズにって異なり、片面のみ、裏表の両方、大きなサイズであればもう一面増やす事があります。

辺付けの仕方や漆掻きの日にちの間隔も、ウルシの木が樹液を最も出やすく、また効率良く採取する為のもので、個々の木を見立てて、辺の長さ、深さ、日にちの間隔を決めます。漆掻き職人の長年の経験が頼りです。
その為、漆掻き職人は記録を取り、経験に基ずく勘を培って行きます。

漆 ウルシの木 ヤマウルシ s.tashiro_terradiart©

掻き溝を入れたばかりの時に出て来る漆液は乳白色をしていますが、空気に触れて酸化する事によって色が変化します。
この樹液を先が曲がった絵画用のパレットナイフようなツールで素早く集めます。

漆 ウルシの木 ヤマウルシ s.tashiro_terradiart©
鈴木健司氏の『荒味漆』(掻いて集めた状態の漆液)

直径12cm程の1本のウルシの木から180~200cc程の漆が採取されますが、『くろめ』と言う水分を適量にする精製漆の工程後には、採取された量より20%は減ってしまいます。

漆を採取できるまで10年以上もウルシの木の手入れを行い、さらに漆掻き職人の丁寧な手作業による採取を考慮すると、とても貴重な樹液である事がわかります。

漆 ウルシの木 ヤマウルシ s.tashiro_terradiart©

静かにした状態にしておいたので、
漆液に層が出来ています。

上の黒い部分は落とし蓋をしていますが、空気に触れた事によって固まってはいないものの濃い色をしています。

谷口吏氏の『荒味漆』(掻いた状態の漆液)





















ウルシの木 ヤマウルシ s.tashiro_terradiart©