概要

木村福成・椋寛(編)

『国際経済学のフロンティア――グローバリゼーションの拡大と対外経済政策』
東京大学出版会、2016年9月


ISBN978-4-13-040276-7












目的
国際貿易の増加、企業の海外進出やアウトソーシングの活発化など、経済のグローバル化がますます進行する中で、国際貿易論を中心とした国際経済学の分析対象は拡大している。特に、2000 年代に入ってから企業の異質性と貿易や直接投資の関係に着目したいわゆる「新新貿易理論」を代表として、新しい理論的な成果が生み出されており、また同時に理論研究に追随ないし先行する形で多くの実証研究の成果が積み上げられてきている。新しい理論が生み出される一方で、リカードモデルやヘクシャーオリーンモデルといった伝統的な貿易理論も現実経済を論じるツールとして引き続き重要である。
 政策面に目を向けると、WTOにおける多角的交渉が頓挫する中で、自由貿易協定(FTA)や二国間投資協定(BIT)などを通じた特恵的な国際貿易や直接投資の自由化が進んでいる。一方で、アンチダンピングやセーフガードなどの保護貿易措置の発動は依然として多く、貿易や投資の自由化の推進力と抵抗力が摩擦を生じさせている。グローバル化の影響をより適切に理解するツールとして、またより良い政策を立案するための基盤として、国際経済学による分析の役割は大きくなる一方であるが、最新の研究成果から得られた知見が十分にフィードバックされているとは言えない。本書の目的は、国際経済学の最新の理論的・実証的な研究成果を踏まえつつ、経済のグローバル化の影響と貿易政策を初めとした対外政策の影響を整理し、その含意を広く世に伝えることを目的とする。