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高木貞治『新式算術講義』を読む
高木貞治(1875 - 1960)は、近代日本で初めて世界的に高く評価される業績を挙げた数学者です。教養学部の皆さんには、今も書店店頭に並ぶ『解析概論』の著者として知られていることでしょう。高木は『解析概論』のような(旧制)東大理学部の講義をもとにした教科書・専門書の他に、学生や広く一般を対象にした啓蒙書・教科書なども多数著しています。今回とりあげる『新式算術講義』は、高木が東大教授に昇進した1904年に刊行された、数学の基礎としての「数」を厳密に取り扱うことを目的としたものです。「算術」とありますがいわゆる算数の本ではなく、むしろ算数を教える先生の基礎知識となることをめざしています。現代的な抽象数学誕生以前の、むしろギリシャ以来の「数とは何か」という問いをつきつめて考えているものなので、ぜひ「文系」の人にも参加してもらいたいと思います。
この本は、内容もさることながら、およそ百年前に刊行された本らしく、格調高い文語文で書かれています。数学(に限らず、西洋近代の学術一般)を日本語でどのように語るか、先人の苦労の跡を忍びつつ、味わいながら読んでいきたいと考えています。
高木貞治 数の基礎 明治の数学
第1回目は、イントロダクションとして、高木貞治の生涯・『新式算術講義』の書かれた頃のこと・授業の進め方等について説明します。
第2回目以降は、テキストをひたすら読んでいきます。適宜、時代背景など参考資料を配布、説明します。
なお、第三五章まで進んだら、少し飛ばして第八章に移ります。第十章まで行ってもし時間が残れば、後の著書『数の概念』との比較もしてみたいと考えています。
「読み合わせ式」で進めます。節程度の単位毎に担当者を決め、その場でテキストを音読します。参加者は一緒にテキストを読みます。もし疑問点があれば、その場でみんなで議論して解決します。
出席、議論への参加及び期末のレポート
高瀬正仁 『高木貞治 近代日本数学の父』 (岩波新書、2010)
ISBN 978-4-00-431285-7
特に行わない。
分担を決めて読み合わせ方式で行うので、突然欠席することがないようにしてください。 その場に来ている人で順番に読み合わせを行います。
およそ百年前、明治の末の雰囲気を味わいながら、積極的に参加してほしいと思います。
http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~ichii/takagi2011/