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鈴木悠紀子氏「命・生活・人生・魂を守る災害支援――GLAの取り組み」

2016年1月30日(土)15:30-19:00
東京大学仏教青年会ホールA・B

報告 鈴木悠紀子氏(GLA総合本部広報部次長)「命・生活・人生・魂を守る災害支援――GLAの取り組み」

東日本大震災のときにGLAがどのような支援をしたのか。
○GLA紹介
1969年4月8日に祖師高橋信次先生が創設。現在は後継者の高橋佳子先生が主宰。
人間は永遠の生命を生きる魂の存在。この世界に目的と使命をもって生まれて来る。こうした人間観に基づいて、私たちの人生を、魂と心と現実との相関関係で捉えてゆく「魂の学」を提唱されている。
登録会員は4万人。8つの本部、海外含めて100カ所のターミナル。
毎週1回、1万人が通信回線をつないで、「魂の学」を学び、実践を語りあう場が持たれている。「他人の苦しみを我が苦しみ 他人の喜びを我が喜び」とする菩提心を抱き、現実の問題に生かすことを学んでいる。

○GLAの災害支援の基本的な考え方
高橋佳子先生が率先して菩提心を実践され、共同体あげて最善を尽くすフロントに立たれている。
災害支援の基本的な方針として、「命・生活・人生・魂を守る」。
会員を支援し、会員を拠点として周辺に物心両面で支援している。
人間を魂としてとらえ、「試練は呼びかけ」という事態への向かい方を大切にし、会員に浸透している。この生き方が自助という観点からも大きかった。

○震災発生直後の支援
震災発生直後に対策本部を立ち上げる。
高橋先生は被災地の皆様の悲痛の叫びを感じ、国難と受けとめられた。情報を集め、何が必要か判断して会員へ呼びかけた。迅速な支援へ。
会員の安否確認、東北へのお手紙、緊急支援物資を積んで12日に現地へ。
(5年前の支援の記録映像の一部を放映:6分)
翌日には全国を回線でつないでのテレビ会議。
「言葉にできない悲しみ、大災難と感じている」
多くの魂の冥福祈り、黙祷。未曽有の大災害に際して、大切にしていく4つの指針(命・生活・人生・魂を守る)を示された。被災地の会員の皆様は「試練は呼びかけ」と生きている。その命の絆を守ることを会員へ呼びかける。
既存の情報網、フェイスブック、ツイッターを駆使して現状把握。
全国への支援を呼びかけ、近畿、中京、東京、北海道、九州、中国四国、北陸から60台、100トン以上の支援物資が届けられた。
医療、法律相談なども行った
(記録映像:終)
物資は避難所などへ不足物資を確認して届けた。
全国青年がボランティアで家屋清掃やがれき撤去などにも活躍。
青年が被災地に赴くにあたっての3か条
・すべての想いと行いは自らの発意を基とする。
・大きな目と耳を生きる。その人の想い・場に流れる気を察知する。必要をされていることを自分から探す
・よくはたらく身体を生きる。爽やかで元気な挨拶と和顔愛語
9月まで活動を続けた。今でも石巻の支援先へ訪問している。

○震災直後の会員の皆様の歩み
直後の被災者インタビュー映像(3人)
・支援が早かった。不思議と不安がない。
・超えられないことはないから、これは「呼びかけ」。震災が起きても、芯がしっかりしている。どんなことが起きてもがんばれる。自分ができることで役にたちたい。
・僻地までターミナルの方が来て、先生のお手紙を届けてくれた。困っていることはないか、と。GLAの人が来たときはとてもうれしかった。ほっとした。「またくるからね」と大きな声で。本当に安心した。朝晩の祈りで気持ちが先生に繋っている安心感で怖くない。
苦難の中でも不安はない。明るく周囲を照らしている、これが信仰の持つ力ではないか。
絆の感覚。大いなる存在の中で生かされている。
先生のお手紙、『祈りのみち』(祈りの言葉が記された書籍)を読むことを通して心を立て直した。

○その後の会員の皆様の歩み――生活、人生への具体的な復興へ
日常から心をみつめ、転換しながら、智慧を引き出していく教材に取り組んでいる。
「被災から復興するためのウイズダム」
1. 被災の現実をあるがままに見つめる
2. 心をつかむ
3. 心を立てる
4. 復興の未来地図を描く
同伴者と問いかけを読み、被災したときの状況、今抱えている困惑を共有しながら取り組んでいただいた。同伴者のはたらきは傾聴を包含した働きではないか。
「取り組むことで心が落ち着いた」「失ったことにとらわれる想いから、それらにこれまで支えられてきたことへの感謝の気持ちへと誘っていただいた」「具体的に何から取り組めばいいのか考えることができた」「将来に対する夢を描くことができた」などの声があった。
具体的な願いを書いて、実現している人が多い。
人格としても成長して周囲を明るくしている。
「被災から復興するためのウイズダム」に取り組んだ会員の中から二人を紹介
・南三陸で被災したKさん
自分のことを探し当てて、会員がきて何度も声をかけ続けてくれたことが生きる力になった。人との絆、大いなる存在との絆で、人の役に立てるような人になりたいとの願いを立て、資格も取り、その願いを実現。社会福祉協議会からの声でボランティアや、新たな人生を歩んでいる。
・陸前高田に住んでいた母、義理の妹を失ったFさん
故郷の復興のために恩返ししたいとの思いが日増しに強くなった。
2016年1月4日、陸前高田、大船渡へ高橋先生が赴かれた。
(映像記録の一部を放映 3分半)
2011年3月に、高橋先生が東北沿岸部を訪れた際、Fさんはその哀しみを受けとめていただいた。
その後、周りの皆様に元気になってほしいと願い、陸前高田に喫茶店を開店。地域の人が集い合える場。
1月4日、この喫茶店の2階で地元に住むGLA会員の集会が開かれているところに高橋先生が訪れ、自分たちに何ができるのか、自分たちの生活を変えていこうとする姿勢は宝、と声をかける。
(映像記録:終)
このような一人ひとりが生まれることが復興の光、と考える。

○そのほかの会員による支援活動
一人ひとりが、それぞれの生きる現場で「魂の学」を実践することを重視している。
その実践が社会の一隅をてらし、幅広い社会貢献にも繋っている。
霞ヶ浦のワカサギの佃煮づくりでの放射能の劇的な低減によって地元を救う。被災馬の支援、廃棄物から燃料を生み出すプラントをつくっている会社は瓦礫の処理を。焼却場・発電所・避難所が一体となった施設の建設の推進等。

○行く先々で祈りを捧げる高橋佳子先生(映像を含めて紹介)。
被災地の皆様の声なき声、亡くなった魂たちの声を感じとられ綴られた3冊の詩と写真の本。一般の読者から気持ちのあふれた声が多数届いた。
「プロローグを読んだだけで涙が止まりません。心の中に閉じ込めていた悲しみ、つらさ、苦しさ……。著者が全部、代弁してくれていました。……知人や親戚も亡くなりました。妹一家は全員亡くなりました。あまりにつらかったです。それでも、この本を読んで、前を向いて生きてゆこう、と思うことができました。」
河北新報、東北の書店の復興に向けてのおすすめの本の1冊として掲載。
印税を全額被災地へ寄付。三県の知事を訪問。「行政の手の届かない心のケアをしてくださっていることに感謝します」との言葉も。

○信仰が生きることに繋るとき、生きる力を引き出す。
宗教が果たしうる大切な使命がある。指導者の存在の大きさを実感。
阪神淡路大震災以降、祈りと絆の集いを毎年開催。昨年4500名が集った。現在は3月11日に行っている。

<質疑応答>
西川氏よりコメント
(感想)大変勉強になった。特に映像が印象的だった。教義を身に表す、体現するとは何かをあらわしている。これができないと信仰組織を束ねることは出来ないと感じた。それによって、多くの信徒の実践に押し出すことができると、感じた。島薗先生と仮設住宅にいったときに、高橋先生の本があった。ずいぶん隅々まで活動されていると感じた。
鈴木氏の回答
有難うございます。日頃の研鑽を大事にしている。その積み重ねが生きているのだと思います。

稲場氏からの質問
参考になりました。おそらく東北被災地の方々、避難所運営の方、行政などはGLAを知らないという方もいたと思うが、支援活動に入るときの反応はどうだったのか? どのように説明して入っていったのか?
鈴木氏の回答
直接行政と関わることはなかった。避難所に必要な物資を届けることにおいて支障があったとはきいていない。ボランティア団体をつくる支援ではないので、会員と会員のご近所さんを支援をしていた。どのように行政に伝えるかは、これからの課題。今回はまだそこまで行っていない。またお知恵を頂きたい。

島薗氏からの質問
医療の専門、法律の専門の方が映っていたが、会員以外にもその相談所は開かれていましたか。他の専門家による活動などありますか。
鈴木氏の回答
医療、法律の相談は一般の方にも開かれて行われていました。福島に関して、会員を対象に、どのように除染をするか、会員の科学者、栄養士に講義をしていただいた。
島薗氏より
新宗教のグループは色んな能力をもった人材がいる。
鎌倉で保養プログラムをしている立正佼成会、世界救世教では、保健師、学校の先生もたずさわっている。新宗教の団体はそうしたマンパワーが特徴。
それが外に向かっていく力になると思う。
会員が自分の発意で支援をしていることに可能性を感じた。

浅井氏からの質問
今後への備えについて。備蓄を増やす、信仰の絆をより深めるなど考えていることはありますか。
鈴木氏の回答
避難所登録をしている。登録施設を増やす。防災士の資格をもった会員を組織化して動けるようにしていきたい。

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