2013年度の3年次の本ゼミ生は,9名(M : F=3 : 6)になりました。昨今の人気低迷で,定員割れを起こし,希望者は成績の善し悪しにかかわらず,全員入れました。
菅村ゼミ5期生メンバー 2013.04.09.@第1学舎E304
これまで15名前後が3年続いたのですが,心理学専修の定員が減り,去年は10名になり,今年は9名になりました。ゼミで15名前後と10名以下とでは,かなりの人数差を感じます。これまでは,15名前後に適した課題内容や発表形式になるように,ゼミの運営を調整してきましたが,10名だとそれが必ずしもうまくいかず,今年は,もっとインタラクティブで,各自がもっと考えを深められるような内容にしたい,と当初は思っていましたが,まだ試行錯誤で,うまくいっていません。
昨年度までは,3年次の春学期のうちに,書籍の輪読のほか,心理統計を用いた論文を読むスキルを身につけるために,実際の論文をとおして統計を説明する課題などを慌ただしくやってきましたが,今年度はこれをやめました。昨年度から他の先生が統計を詳しく授業されるようになったことや,来年度から3年次の上級実験心理学(心理学専修研究4)を私が担当することになったこと,そして,なにより自分で使ってみないと統計はなかなか体得できないという事情もあります。
代わりに,ゼミで深めたいテーマを皆で勉強したり,そこから新しい研究の可能性を考えたり,場合によっては,実際に予備実験したりすることを通して,統計なども結果的に学んでいければ,と思っています。こうしたことが,卒業研究を実施し,卒論を書き上げることに直結する知識とスキルになるのではないかと思います。
3年次ゼミと4年次ゼミの合同飲み会
(2013.05.21.@居心伝 関大前店)
前回のゼミガイダンス時に配布した資料では,本ゼミのテーマを次のように書いています。
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春学期には,以下の本ゼミのテーマに関連した文献について,グループ学習しながら,関心の幅を拡げつつ,科学的な論文を読むスキルを身につけていきます。夏合宿以降は,各自の関心に合わせて,卒業論文として取り組みたいテーマを絞っていけるように,他のゼミ生と一緒に考えていきます。
A) 臨床心理学:メンタルヘルスの改善・維持・向上に関わる技法や個人差
例:・悩みを人に話すだけで,楽な気持ちになるのはなぜか?
・同じ悲惨な出来事でも,すぐに立ち直れるのはどんな人か?
B) 身体心理学:姿勢や表情,動作,感覚がもたらす感情や認知の変化
例:・怖いから震えるのではなく,震えるから怖い?(感情心理学・進化心理学)
・よだれが出ると,物欲が増す?(日本語や外国語のからだ言葉)
C) 文化心理学:地域固有の認知や感情の様式,日本独自の文化,サブカルチャ
例:・日本人らしさとは何か?(とくに日本語の構造や神道の思想の視点から)
・マンガの好みと自己概念は関係があるか?
Key words: 身体化認知,James-Lange説,進化,からだ言葉,感情,マインドフルネス,宗教性
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臨床心理学,身体心理学,文化心理学を大きな柱としていますが,なかでも身体は,臨床と文化にも通底するテーマであるように思います。その意味では,身体心理学は,皆でもう少し詳しく勉強したほうがよいかもしれないと考え,今年のゼミではこれをメインテーマにして,広義の身体性の理論や実証研究を取り上げています。臨床心理学は,テーマの1つに挙げている割りには,毎年,卒論のテーマにする人が少なく,ゼミでも実際は取り上げないことが多くなってきましたが,今年はマインドフルネス(仏教瞑想)を少しだけやってみました。
2013年度の3年次ゼミの春学期では,下記を教科書にして,輪読しました。
どこのゼミでもそうであるように,菅村ゼミでも英語の論文を読みます。今年は,以下の論文を2,3名のグループで読んで発表してもらいました。短く,わかりやすく,できるだけおもしろい内容の論文を選びました。
2013年の夏合宿は,久々に六甲山荘に行ってきました。管理人の方が新しく代わられてからは初めてですが,入館したらキャスターをきれいにするのを手伝ってくれたり,と細やかな心配りがあり,ほかにもいろいろな計らいをしていだだき,ゼミ生共々,とても気持ちよく過ごさせていただきました。楽しげな写真は近いうちにアップします。
以下,学年別の提出してくれた順です。
3年次編
4年次編
院生編
認知・発達心理学専攻
山本佑実(M1)
<ゼミ・課外ゼミ活動>
週に1度,M1とM2の学生が,2コマ合同でゼミを行っています。主な取り組みは,修士論文の立案・計画と,その進捗状況の報告ですが,その他,学生が各自で行っている調査・実験に関しても,多くのご指導をいただいております。また,(1)日本心理学会での研究発表と,(2)書籍の翻訳活動,(3)学部卒論生の指導(チューター制)は,就職・進学に関わらず,全員で行っています。進学希望者は,これらに加えて,(4)国内外の学術誌への論文投稿,(5)紀要論文の執筆にも取り組んでいます。※不定期ですが,ゼミ開始時に,マインドフルネス瞑想を行うこともあります。
おおまかなスケジュール(12月現在)
(※修論の計画が12月からとありますが,学年やその個人によって年度内の活動方針が異なるため,あくまで私個人のスケジュールであることをお含みおきください。院生の多くは,入学当初から相談を行っていると思います)
<日々の生活>
修士課程での2年間でどのような研究計画を予定しているかによって,日々の過ごし方は様々ですが,関西大学大学院のHPに,心理学研究科在学生の標準的な1日のスケジュールが紹介されておりますので,そちらもご参照ください。
研究環境としては,本学は,院生研究室が24時間利用可能であること,図書館の個人研究室が借りられること,多くのデータベースにアクセスできることなどをふまえると,非常に快適であると思われます。他の主だった大学と比べ,ゼミ室というものがない分,様々なゼミの在籍者と交流する機会があります。また,経済学や文学など,他の研究科と隣接しているため,科を超えた人脈やアルバイトの機会が得られる場合があることも,メリットの1つであると実感しております。
本元小百合(M2)
ゼミでは主に修論の発表や論文の添削、ディスカッションを行っています。また今年から洋書の翻訳を英語の勉強も兼ねて行われるようになりました。ディスカッションや翻訳は知的好奇心を刺激するいい機会であり、知りたいと思うことが増えました。
これと関連してM2になって感じることは、大学院では「自分が何を知りたいのか」を明確にすることが大事だということです。M2では時間をほぼ修論の作成にあてます。概して自分の研究と向き合う年です。そのため、これは経験に思うことですが、日頃から色々情報を集めたり、何かに疑問を持ったりして、その中で選択的に自分が何を知りたいかを感じることが必要だといえます。
加藤久美子(M3)
大学院を休学して,ニューヨークでぶいぶい言わせてるぜ,いぇーい!(菅村代筆)
心理臨床学専攻(臨床心理専門職大学院)
川崎智絵(M1)
臨床心理専門職大学院と言いましても、典型的な臨床心理学の知識だけを学ぶのではなく、例えば発達に関することやキャリアに関することなど、様々なことを勉強し、身につけます。とは言え、2年間の授業で触れることができる知識はほんの僅かで、臨床心理士を目指すにあたっては、そこからどれくらい自学自習に励むのかが重要になってくると思います。時間外に自分で勉強した分だけ、目標に近づけるとでも言いましょうか。しかし、授業自体は学部より少なくなるかもしれませんが、大学院では課題や実習の準備などに追われるため、院生の持つ自由な時間はそう多くはありません。ですので、大学院を目指される方は、比較的余裕のある大学生の時から、興味・関心のあるところだけで構いませんので、自学自習に励み、自らの力とされることをお勧めします。
結城進矢(M1)
専門職大学院では、卒業後スクールカウンセラーなど心を扱う職業で即戦力として働けるような知識や技術を中心に学んでいます。また、大学院進学は学生のモラトリアム延長というより、ある意味では職業決定に近いものがあります。学ばなければ将来的に必要とされない存在になりますので、進学を考えている人は頭に入れておいてください。
坂東和晃(M1)
臨床心理専門職大学院の1年次は基礎的な勉強を行います。服装規定があったり挨拶や電話の仕方から練習したりします。実習に多く出かけるわけですので、まずは一社会人としての振る舞い方が求められます。専門的知識の学習ついては、授業時間はもちろんのこと、自学自習や発表準備、レポート作成などでプライベートな時間も多く割かれます。そしてなによりも、体調管理ができていなければなりません。自分の身体と相談しながら、日々精進しています。
増田萌実(M1)
大学院では、臨床心理士とはなにか、ということについて日々考えさせられます。実習や演習の授業を通して、臨床の現場で活かせる知識や技能を身につけられるよう、精進しています。
筒井亮太(M2)
現在、専門職大学院M2のです。修士課程ではさまざまなことを学んでいきますが、菅村ゼミで培ったノウハウがあったおかげで助かった経験が多々あります。研究に関するスキルが身につきますので、授業での発表などの質の向上につながっていると感じております。