頭の中で、あれこれ考えていても、いっこうに筋道が立たない。混沌としたままである。 ことによく調べて、材料がありあまるほどあるというときほど、混乱がいちじるしい。 いくらなんでもこのままで書き始めるわけには行かないから、もうすこし構想をしっかりして というのが論文を書こうとする多くの人に共通の気持である。 それがまずい。
気軽に書いてみればいい。あまり大論文を書こうと気負わないことである。 力が入ると力作にならないで、上すべりした長篇に終ってしまいがちである。 いいものを書きたいと思わない人はあるまいが、思えば書けるわけではない。 むしろ、そういう気持をすてた方がうまく行く。
『思考の整理学』 外山滋比古 (筑摩書房, 1986), p. 135 より抜粋
*このサイトは、総合研究大学院大学葉山キャンパス(生命共生体進化学専攻)で「科学と社会」副論文に取り組む学生のために作成されています。(サイトの執筆・管理:飯田香穂里)
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