第47回名古屋地区NLPセミナー

投稿日: 2017/07/03 9:58:12

自然言語を論理的に理解するシステムを目指して

田 然(東北大学)

自然言語は、意味の類似度が測れる連続的な側面と、はっきりした記号的・論理的な側面を兼ね持つ。分散表現は前者のほうをうまく捉えているが、形式意味論は、言語に見られる現象を数学の概念として定式化することで、後者の論理構造を捉える。本講演では、ある形式意味論の一部の論理演算は分散表現のベクトル演算によって近似できることを示し、これを利用する自然言語の推論システムの構想について語る。

段取りとしては、まず今回扱う形式意味論を定式化し、その論理演算と分散表現のベクトル演算の類似性について説明する。次に分散表現の学習方法について説明し、最近行った改良も含めてデモをする。 そして、この分散表現を否定や量化も含めた一般的な論理推論に取り組むためのフレームワークについて紹介する。具体的には、「存在グラフ」という一階述語論理と同等な表現力を持つ論理系を紹介する。 最後に、反義語や矛盾するフレーズ、もっと一般的に「違うもの」についての学習を考えたい。