VEPTR患者ガイド

国内ではまだ未認可ですが、この患者ガイドを読めば、さらにVEPTRへの理解が深まると思います。

 

Step by Step 〜先天性側弯症〜  

側弯症とは

側弯症分類

VEPTR.COM メッセージ

VEPTR.COMとは

人道的医療機器承認 - VEPTR -

米国の法制度 HDUについて

国内薬事法規と米国法規の「差」 

米国では保険が、日本では治療自体が...

側弯症の治療と手術時期について 

特発性側弯症と民間療法について 

関連情報

側弯症患者さんのページ       

 

米国のVEPTR.COMより、患者用ガイドブック(PDF)がダウンロードできます。

下記のURLから入っていき
http://www.veptr.com/cms.asp

画面の下のほうに、青字で幾つかの資料にリンクするようになっています。
この中の Patient Guideをクリックすると、PDFの....患者さん.....現実は親御さん向けになりますが....用のガイドブックをダウンロードすることができます。

以下は、この患者ガイドの和訳に取り組んでみたものです。
あくまでも参考として下さい。
治療においては国内のお医者さまの指示に従ってください。
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 Vertical Expandable Prosthetic Titanium Rib (VEPTR)
(垂直に伸張するチタン製の人工肋骨)

人道的デバイス : このVEPTRはTIS(胸郭形成不全症候群)を治療することを目的として合衆国連邦法により認められたものである。TISとは、骨格がまだ未成熟な患者においてノーマルな呼吸を行える胸腔や肺成長の能力がない状態をいう。このデバイスの有効性は完全に証明されたものではない。  (訳者注: 「有効性」証明の考え方には、米国法規の「人道的医療機器」に対する承認システムが関係しています。HP内の「国内薬事法規と米国法規の差」を参照下さい)

注意 : 合衆国連邦法の規制により、このデバイスは「医師」にのみ販売される。

VEPTRデバイスでこどもを治療する前にこのブックレットを十分に通読すること。
* このブックレットを携帯し、必要なときに何度も読むこと
* このブックレットに書いてあることに質問があったり、よくわからないときは、    手術前に、主治医に尋ねること。

VEPTRデバイスとは?
VEPTR デバイスは、胸骨や脊椎の背部にうまく設置できるように、曲がった形の金属性ロッドであり、骨に対して上下垂直に取り付ける。こどもが成長するにともなってデバイスも伸ばすことができるよううになっている。これにより、脊椎はまっすぐとなり、肺の成長を容易にすることで十分な呼吸ができるようになる。このデバイスにより、手術後に(癒合した)肋骨を分離した状態に保つことができる。このデバイスはチタン製であり、強くて、生体に対しても優しい材質でできている。チタンというのは、ビルの骨格や歯科材料にも使用されている強度のある材料である。またMRI検査にも対応することができる。
このVEPTRの形状は、10年におよぶ研究によって誕生した。

VEPTRデバイスの目的は?
VEPTRデバイスは、骨格が未成熟な患者におけるTIS(胸郭形成不全症候群)の治療に使用することを目的としている。胸郭形成不全症候群は、ノーマルな呼吸をサポートする胸郭や肺が成長する能力が欠如した状態。と定義され、まれな症状である。
胸郭形成不全症候群は胸郭の異常形態である下記のような病態として示すことができる。

* フェイルチェスト症候群。肋骨のあいだに大きな空隙があり、そのため  
 肺と心臓の保護機能に劣っている状態。
* 側弯症を伴う肋骨癒合。肋骨が変形した脊柱とともにくっつぃた状態。
* 胸郭形成不全。肺が成長したり、拡張するには肋骨で囲まれた胸部が
 非常に狭くなっている状態。

あなたのお子さんは、脊柱とともに形成されている胸郭、肋骨、胸骨が変形し、ノーマルな呼吸や肺の成長が阻害される病態である「胸郭形成不全症候群」に冒されています。もしお子さんの胸が成長できず、肺が成長できない場合は、生命に危険の及ぶ呼吸障害が発生する恐れがあります。

これらの状態は、お子さんの呼吸障害の原因となりえます。
お子さんは結果的に人工呼吸器のような機械的な呼吸の補助を必要とすることになります。

VEPTRデバイスは、脊椎変形や胸壁障害を持つあなたのお子さんのような患者さんに対して、肋骨に囲まれた空間が成長することができるように設計されています。
VEPTRデバイスは胸部にもっと大きな空間を生み出すように、お子さんの正常な上位肋骨と下位肋骨を繋ぎ渡すように取り付けられます。
デバイスは、お子さんの胸をその形状とサイズにおいて、大きく / 長く / より正常に再建するために使用されます。図は、正常な肺がどのように見えるかを示しています。図2と3と4は、胸郭形成不全症候群に冒されたこどもの肺がどのように見えるかを示しています。
VEPTRデバイスは、整形外科手術で通常使用されているチタン金属製です。全ての部品は、純チタンあるいはチタン合金製です。これらの材料は人体に埋め込んで用いる医療用材料として長い歴史を有しています。

どのような状態のときは、このデバイスを使用してはいけないか ?
                          VEPTRデバイスは、次のような場合は用いてはいけません。
1. デバイスを取り付ける部位の脊柱や肋骨が十分な強さの骨ではない場合
2. デバイスを取り付ける場所の近くに肋骨欠損がある場合
3. 横隔膜が正常に機能していない場合
4. デバイスを保護するうえでの、十分な軟部組織(皮膚等)がない場合
5. (目安として、女の子で14歳、男の子で16歳以上で)
 胸壁の不安定性ではなく、他の問題を有した骨格的に成熟している場合
 (訳者注 :「成熟」とは、成長期をすぎ、骨格が固くなっている状態を            意味している)
6. 生後6ヶ月以下の場合
7. デバイスの材料であるチタン等に対する金属アレルギーがある場合
8. 手術部位に感染症が発症している場合

どのようなリスク(危険)があるか?             VEPTRを胸部に取り付ける手術は、「大手術」であると考えて下さい。
* 一般的な胸部手術において発生しうるリスク。
 例えば、麻酔によるもの、出血、感染、肺あるいは心臓に関連するもの、
 肺炎、手術創に関連するもの(例えば感染や傷口が治癒しない等)、
 そして突然死のリスクなど。
* VEPTRデバイスを使用することに関連したリスク。              以下のようなものが考えられますが、これ以外にも生じる可能性はあります。1.    デバイスが、延長しているときや日常動作による金属疲労から、突然
 曲がったり、折れたりすることが考えられる。レントゲン写真撮影で
 チェックして、そのようなことが発生していた場合は、それを取り除き、 
 新しいデバイスを取り付けたりすることになる。
2.    デバイスの破損や転移により、肺、心臓、大動脈を損傷することも考
 えられる。そのような場合は、それらの損傷を手術的に治療する必要が 
 起こりえる。
3.    こどもが成長し、デバイス延長が終了した時、VEPTRデバイスは取り
 付けた肋骨部から転移したり緩みを生じたりすることが考えられる。
 このような場合は、事前にスケジュールした来院とは別に入院して手術
 によりデバイスの位置を正しい位置に付け替えたり、取り除いたり、
 あるいは新しいデバイスを取り付けたりすることになる。
4.    VEPTRデバイスは、しばしば皮膚の下に(手で触れて)感じることができ、
 見えることもある。VEPTRデバイスをとりまく皮膚や筋肉はひきつった
 状態になりえる。このため皮膚が裂けたり、感染が起こることも考えら
 れる。このような場合は、治療を行い、デバイスを取り除く必要がある
 かもしれない。皮膚に対する傷害を防止するために、保護デバイス
 あるいはカバーでVEPTRを被わなければいけない。             5. デバイスを取り付ける位置の近くには、血管や神経がある。デバイス
 を取り付けるときに胸郭にある全ての筋肉を持ち上げ、肋骨を手術す
 るために動かすことに なるので、それら神経や血管が手術によって、
 または患者の日常活動によってダメージを受けることも考えられる。
 ダメージを受けた場合は、さらにそれらの治療のための手術が必要と
 なりえる。
6. 埋め込んだ金属への異物反応のために、デバイスを取り除くような
 可能性もありえる。
7. 肋骨を分離し脊椎を真っ直ぐにすることによる、脊椎神経に対する
 リスクもありえる。これにより身体のある部分の運動機能が一時的
 あるいは永続的に失われる ことも考えられる(神経麻痺)。
8. 全ての手術が終わった後にも、呼吸を補助するために人工呼吸器を
 必要とすることも考えられる。長期にわたる肺への合併症のために、   
 手術後も人工呼吸器を長期間必要とすることも考えられる。
9. 手術後、多くの場合で痛みがある。
10.アレルギーや薬に対する予期せぬ反応を経験することも考えられる。
 例えば、興奮性、嘔吐、継続する眠気等。 

胸郭形成不全症候群のこどもたちは、それぞれが特異的な医学的問題を伴っているため、必要となる治療の全体像を決定する必要があります。
年齢、性(男、女)、どれくらいの年月にわたり経過観察を必要とするか、診察、健康状態、そして個々の成長パターンなどが、患者個々の治療に影響することになります。
 

どのような効果が得られるか?
VEPTRデバイスを取り付ける手術を受けた患者は、以下のような効果(の幾つか)を得ることが予想されます。                           * 脊柱の成長を制限しない、よりノーマルな成長パターン
* 脊椎変形の減少
* 肺が成長する為のより多くのスペース
* 肺へ取り入れる空気が増大することによる、日常生活活動の増大
* 人工呼吸器の必要性の減少

リスクはつねに手術を行うこととリンクしていますが、胸郭形成不全症候群の患者に与えられる、命の延長と生活の質は、手術によって発生しうる
リスクを上回るものでしょう。      

デバイスに関してどのような警告と予防策があるか ?
VEPTRデバイスを取り付けた患者はブレース(装具)をしてはいけない。
ブレースは肺を締め付け、肺の自然な動きを止めてしまうと考えられるためである。
VEPTRを取り付けたら、自然な呼吸運動に励むこと。
手術の傷口の上を覆うバンテージは、不注意でその傷口をこすったり、
何かとぶつかることから保護する。もしお子さんが二分脊椎のときは、
傷口を乾かしておくように閉鎖包帯で傷口を覆うこともある。

VEPTRデバイスはこどもが下記の場合は使用してはいけない                                                                                               1. VEPTRデバイスを取り付ける肋骨あるいは脊椎が十分な強さがない場合
2. VEPTRデバイスを取り付ける上位肋骨と下位肋骨に近接した肋骨が欠損
 している場合
3. 横隔膜が正常に機能していない場合
4. VEPTRデバイスを覆うのに十分な皮膚がない場合
5. (目安として、女の子で14歳、男の子で16歳以上で)
 胸壁の不安定性ではなく、他の問題を有した骨格的に成熟している場合
6. 生後6ヶ月以下の場合
7. デバイスの材料であるチタン等に対する金属アレルギーがある場合
8. 手術部位に感染症が発症している場合

VEPTR手術が成功する為に、手術前に何をすべきか?    ・こどもを人ごみや風邪などをひいている人から遠ざけておく
・手術前に、傷口が早く治癒するように、こどもに適切な食事を与え
 栄養をつけておく
・ もしこどもが食事を受け付けていなかったり、摂取に何か問題があるときは、その旨を医師や看護師に連絡する
・医師から渡されたクスリを服用しておくこと。呼吸管理に注意しておく   
 こと
・ 肺に問題があるこどもはインフルエンザ予防接種をしておくことが望ましい
・ 人工呼吸器を使用している場合は、肺炎予防接種をしておくことが望ましい
・ 極度な栄養失調あるいは摂取障害の場合は、胃に直接栄養補給を行うための経管栄養チューブを口腔、鼻から喉をとおして胃まで設置することがある。これにより食物が胃に直接届けられ、こどもが体力を取り戻すことができる。体力がつかないうちは、手術が延期されることもある。
 

VEPTR治療中にどのようなことが起こりえるか?
初回手術で、医師はあなたのお子さんの背中あるいは脇腹等を皮切し、お子さんが成長するために肋骨が長く大きくなるようにVEPTRデバイスを体内に取り付けます。デバイスにより広げられた胸部は、お子さんの肺が成長し拡大する為のより広い空間を作り出します。 手術は全身麻酔で行うので、お子さんは手術のあいだずっと眠っていることになります。デバイスを取り付けるために最初の皮切以外にも、小さな皮切を行うことがあります。デバイスの拡張手術を入院中に行うこともあります。退院後のある一定期間で必要となるデバイスの拡張手術や取り外し手術については、後述します。

手術後、お子さんは小児専用ケアユニットに入院します。主治医が一般病棟に移送しても良いと判断するまでこのケアユニットで治療を受けます。呼吸を補助するために、数日ほど人工呼吸器を使用することもあるかもしれません。
(訳者注 : 上記は米国内の病院システムです。日本国内では事情が異なることになりますので、手術 – 入院上の諸事項については、先生より説明を受けて下さい)

もしあなたのお子さんが胸部と脊椎の両方に問題がある場合は、さらにVEPTRデバイスを取り付ける手術が必要になることもあります。もしその場合は、最初の手術から三ヶ月ほどあとで追加の手術をすることになるかもしれません。
(訳者注 : 上記は患者個々の症状や、医療事情が関係していると考えられます。日本国内では先生より説明を受けて下さい)

図5はVEPTRデバイスの設置方法のひとつを示します。
1本のデバイスは肋骨と肋骨を締結するように、もう1本のデバイスは肋骨と脊椎を締結するように設置した状態です。
もしあなたのお子さんが肋骨癒合の場合、手術前のレントゲン写真は図6のような
状態であり、手術後は図7のような状態となります
手術にあたっては、次のような手順となります。          
・ お子さんを側臥位(横向き)で手術台に横たえます。
・ 細菌を殺す為に、消毒薬で皮膚を洗浄
・ 手術する部位だけを残して、全身は滅菌布で覆います
・ 前項で示したようにデバイス設置のために皮膚を切開します

肋骨を露出させた後、癒合した肋骨を幾つかの部位で分割します。
その部位を骨拡張器と呼ばれる器具を用いて、押し開きます。
こうすることで肋骨は癒合していなかったかのように見えます。
手技のサンプルを図6と図7に示します。
もし癒合肋骨を器具で分割することが困難な場合は、新たに別の肋骨を切離することもありえます。VEPTRデバイスはできだけ脊椎に近い肋骨に垂直に設置されます。
状態により、もう1本のデバイスを同じ側に取り付けることもあります。
ふたつのデバイスを完全に取り付け終わった後、それらをあまり力をこめずに肋骨にぴったりと固定しますもしお子さんが側彎症であった場合は、2本のVEPTRデバイスを設置します。一番上の肋骨から一番下の肋骨にかけて1本を取り付け、もう1本は一番上の肋骨から腰椎にかけて取り付けます。
お子さんの身長の伸びる時期が終わったら、あるいは骨格的成熟に達したら(女子で14歳程度、男子で16歳程度)、VEPTRデバイスは不要になるかもしれません。そのような時期が来たら、あなたと主治医はデバイスを取り外すかどうかを決めることになります。脊柱変形のお子さんの場合は、VEPTRデバイスを取り外した後で、脊柱固定手術を追加することを薦められることもあります。
 

VEPTRデバイスを設置した後も、治療は継続します。
次のような処置を行うために再入院が必要となります。
・ デバイスの長さを伸ばすために
・ お子さんの成長に伴ってさらに胸郭スペースを大きくできるデバイス
  に交換するために
・ 脊椎や胸部変形をもっと矯正するために

これらの手術は全身麻酔で行われ、4カ月〜6カ月おき程度で実施となります。VEPTRデバイスの長さを伸ばすために、背中を小さく切開します。

お子さんが最初に設置したデバイスでは間に合わないほどに成長した場合は、デバイスの一部を交換します。
 

デバイスの長さを伸ばす方法について
(この手技は、エクスパンション – 伸張 – とか、ディストラクション – 拡張 - とか、
あるいはレングスニングと呼ばれます。)

小さな切開をします。エクスパンションプライヤー (伸張器)と呼ばれる器具を           装着します。(図8参照)
この器具でやさしくデバイスを押し開いていきます。押し開く圧が最大になると器具はロックされるので、緊張した皮膚がなじむまで3分間ほど待ち、それからまた押し開きを行います。この操作は、医師がこれ以上の押し開きは不要だと思えるまで行います。

VEPTR手術後の傷口のケアの仕方
 どのような手術切開が行われているか?

あなたのお子さんには、図9に示す2種類の切開が行われるでしょう。
1. 主たる切開口は、アルファベットのJ字に似た長いものです
2. もうひとつは、短い切開でデバイスの長さを延ばすため加えられたものです。

あなたのお子さんは、身長に合わせてデバイスの長さを延ばすための手術を何度か受けることが必要です。また、デバイスと肋骨の締結が緩むこともある為、そのような場合は、取り付けしなおしたり、デバイスを交換する必要があります。デバイスの長さを延ばす手術では、VEPTRデバイスの最下端部に小さな切開を加えます。デバイスを交換する場合は、さらに長い切開が必要となります。延ばす手術 (Expansion/エクスパンションという)は簡単なものですが、術後に軽度から中程度の痛みを伴うことがあります。短期間の入院が必要となることもあります。合併症としては.例えば、感染、デバイスの破損、肋骨の骨折等は、手術に伴い発生しうるリスクとなります。

手術が成功するために知っておくべき事項は ?       - こどもの周囲にいる人たちは、あなた自身も含めて、感染を防ぐため
 に包帯やバンテージを交換する前には、必ず手を洗うこと
- VEPTRデバイスを取り付けたお子さんの皮膚や筋肉は、肺を拡大させ 
 るためにとても引きつった状態です。過去に行った手術の影響や生まれ
 ながらに、手術部位周囲の筋肉がないときもあります。
 手術による傷口が損傷したり、容易にケガをしやすいかもしれません。
- 手術後の新しい傷口は、感染のリスクがあります。
- 手術による傷口は、大きくて厚いバンテージでカバーされます。
- お子さんの状態によっては、バンテージの上からドーナツ状のスポンジ
 をあてることで、子供がひっかいたり、何かとぶつかっても安全なよう
 にすることもあります。
- もしお子さんが二分脊椎の場合は、手術部位をドライにしておくために、
 棒状のプラスチックラップドレッシングで傷口をおおうこともあります。
- お子さんは、合併症がないかぎり10日から14日ほど入院することに  
 なります。合併症を併発した場合は、さらに長く入院することになります。 
 お子さんの手術前の健康状態が入院期間に影響を与えることになります。
- 縫合糸はおよそ4週間ほどそのままになります。詳しくは主治医と相談 
 して下さい
- 術後の感染を防ぐために抗生剤が投与されます。

術後のバンテージをどうやって交換するか ?                                                                  - 感染を防ぐために、お子さんのケアをする方は、バンテージを交換したり、
 傷口部に触れたりする前には、必ず手を洗浄すること
- 退院時には、バンテージを一日に何度ほど交換すればよいかなどの
 家庭におけるケアについての指示書が、医師あるいは看護師より渡されるで
 しょう。
- どのようなバンテージを使用すべきかについても指示があるでしょう
- バンテージの種類としては
 1 大きくて、厚いタイプと薄いタイプが傷口のカバーと保護に役立つ
  2 もしお子さんが二分脊椎の場合は、傷口を直接カバーするプラスチック状  
  のものでカバーします。こうすることで、傷口周囲をドライに保ちます
  3 ときに、バンテージをドーナツ型のスポンジで被うこともあります。
    こうすることで、傷口をぶつけたり、ひっかいたりすることから保護
    します。

傷口が感染している兆候に気を付けるには?                    もしあなたが、次のような兆候や症状に気づいたときは、ただちに病院にいくこと
 - 発熱がひかない
 - 38度以上の発熱
 - 傷口周囲が赤みがまし、腫れる
 - 痛みが日増しに増していき、引かない
 - 圧痛が日増しに増していき、引かない
 - 傷口が開いてしまい、中の肉が見える
 - 傷口から体液が漏れてくる
 

手術後に傷口をケガや感染から防ぐにはどうしたによいか?
-  感染を防ぐために、お子さんに触れるすべての方は、バンテージ交換等の前  
 には必ず手を洗うこと
- 手にはバイ菌が付着しているので、こどもに傷口をいじらせないこと。
 傷口を触ることは感染のリスクが増大します。
- 次の理由から、傷口を保護しているバンテージをつけること。
 1. 新しい傷口は感染しやすいので。
 2.傷口をいじったら、ぶつけたりすることから保護するため。
 3.VEPTRデバイスは通常外側の皮膚にかなり近いところに設置されています。
 デバイスをおおう皮膚や筋肉はひっぱられた状態でかなり薄くなってします。
 4.もしこすると、傷口の薄い皮膚は容易に破れて、傷口は開いてしまいます。
   (例えば、冬に手がアカギレするように)
- 傷口の皮膚が破れてしまうので、お子さんに、傷口を直接こするような事を
 させないこと。 例えば
    堅いイスに座る
    堅い床のうえに寝ころがる
- お子さんが学校に戻ったとき、イスや机で傷口をこすったり、ぶつけたりする
 ような状態のときは、イスや机の角をなにかで被うか、なんらかのプロテクターを考えること。
- お子さんを車のシートに座らせての車での長時間の移動は避けるか、または
 傷口を保護するために追加の覆いをしてから車で移動すること。
 車のシートは傷口周囲をこすり、すでに薄くなっている皮膚を破る危険があり
 ます。
 

お子さんの成長に伴っての、VEPTRデバイスの一般的課題
どれくらいの頻度でデバイスを延長させる手術を受けるのか?
お子さんは、VEPTRデバイスを延長させる、あるいは交換する為の手術を受けるために、病院に何度か戻る必要があります。これは、お子さんが成長するための肺スペースを作ったり、脊椎や胸郭変形をさらに矯正するためのものです。
これらの手術は、四ヶ月か六ヶ月おきぐらいに行われる必要があります。
手術は全身麻酔で行いますので、手術中、お子さんは寝たままとなります。
もし初回に挿入したデバイスがそれ以上延長できない長さまできたら、デバイスをさらに長いものと交換します。この手術は、病院に一日程度の入院が必要となります。

こどもが成長している間にどのようなことが起こる のか ?
お子さんの身長が伸びることにより、次のような兆候や症状があります。
 - デバイス周囲に対する違和感を訴える
 - 変形の悪化や脊椎のわん曲
 - デバイスが緩んできているとか、動いているという感じを持つ
 - 手術した側で皮膚の下にデバイスがぶつかる
 - デバイスが皮膚の下すぐに透けて見える
 - 背中でポンとはじける音が聞こえて嫌がる
 (これは通常、こどもが非常に活動的なときのものです)

こどもの日常動作は制限されますか ?
- 手術して一ヶ月ほどすれば、日常生活上の制限はなにもなくなります。
- もしお子さんが、腰椎フックやSフックという部品をデバイスと一緒に使用
 した場合は、激しい活動や、レスリングやサッカーのようなスポーツはしない 
 ことを推奨します。そのような激しい動きやスポーツは、デバイスが骨からは
こどもの身長の成長期が終わったらどうするのか?
成長期が終わったり、骨格的成熟に至ったら (女の子で14歳、男の子で16歳ほど) 、VEPTRの役目も終わり、お子さんの治療上の効果は終了します。
デバイスを取り除くかどうかについて、医師と相談することになります。
この時期がきたときは、治療上のオプションや今後の治療方針等について医師と十分に打ち合わせして下さい。
脊椎変形のあるお子さんの場合は、VEPTRデバイスを取り除いた後で、
最終的な脊椎矯正のために脊椎固定術が必要となる可能性もあります。

どのような時には、小児科医に診てもらったほうが いいか?
(訳者注 : 手術を受けた病院は自宅から遠く離れている為に、何か心配な症状が現れたときは、近所の小児科医院を訪れるだろうと想定して、ここでは「小児科医」と訳しました)
  - 38度以上の発熱
 - 傷口周囲が赤みがまし、腫れる
 - 痛みが日増しに増していき、引かない
 - 痛み止めのクスリをのませても効かない
 - 食物摂取が困難になっている
 - 呼吸が苦しくなっている

VEPTRデバイスによる手術以外に、どのような別の 治療法があるか?
TIS (胸郭形成不全症候群)は、こどもの生命に危険がある状態です。
患者によっては、人工呼吸器による機械的補助が用いられます。しかし、それは、呼吸困難という症状を緩和させているのであって、病気の原因自体を治療しているのではありません。
現在、胸壁欠損や肋骨欠損に対する他の外科的治療としては、
- 胸壁部をプラスチックシートで保護する
- プラスチック製の人工肋骨で固定する。
- 死体骨の移植、あるいはお子さんの健常な肋骨を切除して欠損部に移植する
現在、肋骨癒合に対する他の外科的治療は、
- 癒合した肋骨を切除し、再び戻らないようにスペーサーを間に設置する
    (訳者注:国内で上記のような手術が実施されているかは不明です)

 現在、側弯症に対する他の外科的治療としては、
- 金属ロッドを使用しての脊椎固定術があります。
 しかし、この方法は、胸郭変形を矯正するものではなく、また脊椎を固定する 
 為に、こどもの身長が伸びることが阻害されることになります。

VEPTRデバイスを使用することによるリスクについて
VEPTRデバイス臨床試験の結果は?
臨床試験として実施されたVEPTRデバイス手術の結果は次のとおりです。
1. To even out the height of each half side of the chest and maintain this 
  change with each expansion ( lengthening) of the devices.
2. 治療効果としてコブ角が減少した。コブ角の減少は、側弯症手術とVEPTR 
  デバイスによる拡張(伸張)手術のゴールといえます。

VEPTRデバイスは、最初1施設で33患者に対して、デバイス手術の実現性を確認するための試験としてスタートしました。それから、全米内の7施設で224患者に対して、多施設前向き臨床試験が実施されました。合計257患者に手術が行われ、そのうち10患者が基礎的データ不足のために、試験分析からは除かれました。この臨床試験に参加した患者は、それぞれの施設で、その患者の病態や症状に合ったデバイスが設置されました。
デバイスを原因とした生命の危険や、不具合はありませんでした。

試験をとおして、手術中に4件の合併症がありました(全患者に対して1.9%)。
内容は、デバイス設置におけるテクニカルエラー、硬膜裂傷、上腕神経圧迫。
臨床試験スタート時の試験で、16患者に (16/33, 48%)、37件のデバイス由来の不具合がありました。多施設臨床試験に入ってからは、34患者(16%)に、52件のデバイス由来の不具合が発生しました。内容は、デバイスの破損、デバイス転移、その他。デバイス転移は、スタート試験では25件に、多施設試験では49件発生しています。これらは、特に cradle-to-lumber hookやcradle-to-S hook 使用例で発生しました。(these two configuration undergo greater flexion, extension, rotation and lateral bending forces than the cradle-to-cradle assemblies, which are primarily subjected only to the forces of respiration because they function rib-to-rib) Device migration describes the shift of the superior rib cradle proximally into the rib of attachment, or the distal hook migration through the lamina causing dislodgement, or “disattachment.” Some of these reported device migrations “through” bone were actually bone growing around the superior cradle giving the appearance of device migration. Some cradles actually eroded through the bone and emerged superior to the rib into the surrounding muscle.

試験スタート時の33患者のうちの7患者で13件のデバイス破損が、また、多施設臨床試験の214患者のうち5患者で6件のデバイス破損がありました。
初回手術と延長や交換を含めた全ての手術数でみると、デバイス破損は、スタート試験では3.3% (13件/398手術)に、多施設臨床試験では、0.5% (6件/1140手術)に発生しました。試験全体をとおして、1538手術で50件(3.3%)の感染がありました。

14年間にわたるこの長期の臨床試験において、257患者のうち12患者が死亡しました。4患者がスタート試験で、8患者が多施設臨床試験で。
しかし、これらの死亡例のうちVEPTRデバイスに原因があるものは一件もない、ということが研究者等によって明らかにされています。

(訳者注 : 英語のままの部分は和訳できなかった箇所です)

(訳者注 : VEPTRは米国サンアントニオの小児外科医が10数年間にわたる開発と、臨床試験….治験をへてFDAにより認可を受けた。という経緯があります。)