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IT翻訳入門【TRADOS編】02:TRADOS翻訳メモリとは?

発表機会:『通訳・翻訳ジャーナル』(イカロス出版)2000年(おそらく)8月号[翻訳支援ツール特集掲載(雑誌記事)

1999年から一年あまり『通訳翻訳ジャーナル』(イカロス出版)という業界誌に「IT翻訳入門」というタイトルで連載記事を書かせていただく機会がありました。現在同誌は年四回発行ですが当時は月刊誌でした。このホームページの内容は、雑誌向けの原稿に加筆修正し、連載と並行して当時のホームページに公開したものです。『通訳・翻訳ジャーナル』の概要は下記のリンクから参照できます。


利用上の注意:このホームページは執筆当時(1999-2000年)の状況について述べており、すでにかなりの記述が「時代遅れ」となっていますが、原則として当時のままの内容を修正せずに公開しています。ご注意ください。

Translator's Workbench を起動する

冒頭でも述べたとおり、翻訳メモリがデータベースであることを理解すると構造を理解するうえで見通しがよくなります。そこで、操作法の説明もまず、データベース(としての翻訳メモリおよび訳語集)の内容を見ることから入ってみましょう。TRADOS の中核となる 2 つのデータベース、「訳文データベース」と「訳語データベース」のうち、まず「訳文データベース」(=翻訳メモリ)から見ていきます。

サンプル ファイルとして提供された翻訳メモリの中身を参照するために、まず TWB を起動します。[スタート] ボタンから [プログラム] - [TRADOS DEMO Edition3] - [Demo Edition 3 Applications] - [Translator's Workbench] を選択すると TWB が起動しますが、多くの場合はいきなり [Project & Filter Settings] ダイアログが表示されます。このダイアログの意味はひとまず置いておき、ここでは [OK] または [キャンセル] してこれを閉じます。


このダイアログを閉じると、TWB の画面が見えるようになります。


デフォルトでは画面用語が日本語で表示されませんから、まずこれを日本語に切り替えます。[View] メニューで [User Interface Language] コマンドを選び、[Language] リストから Japanese を選択します。


この操作で画面用語は日本語に変更されるとともに、次回以降は TWB の起動時から日本語画面が表示されます。

翻訳メモリを開いてみる

では、翻訳メモリの内容を見てみましょう。サンプル ファイルとして提供されている翻訳メモリを開くことにします。[ファイル] メニューの [開く] コマンドを選び、C:\Program Files\TRADOS\Demo-3\Samples\TW4Win\En-Jp\Sample.tmw を開きます。


翻訳メモリを開くと、開いた翻訳メモリの名前がタイトル バーに表示されます。

この翻訳メモリの中には、原文と訳文を対応させたもの (これを TRADOS では「翻訳単位」と呼んでいます) がたくさん保存されています。その内容を参照するには、[ファイル] の [メンテナンス] コマンドを選んで [翻訳メモリのメンテナンス] ダイアログを表示し、[検索開始] ボタンをクリックします。

通常このボタンは翻訳メモリ全体の中から指定した条件に合致する翻訳単位を抽出するのに使いますが、今は条件を何も指定せずに検索を実行したので、すべての翻訳単位が表示されます。


この検索結果を見ると、1 個の翻訳単位が翻訳元言語と翻訳先言語の一対からなり、そこに作成日、作成者などの情報が追加されたものであることがわかります。では、この翻訳メモリ全体で、何個くらいの翻訳単位が含まれているのでしょうか?それは、[閉じる] ボタンで上のダイアログを閉じ、[ファイル] メニューの [プロパティ] コマンドを選択すると表示されます。


ここで "翻訳単位: 34" と表示されていることから、この翻訳メモリ内には 34 個の翻訳単位が含まれることがわかります。ちなみにデモ版では最大で 100 までの翻訳単位を登録できます。

翻訳メモリ内で訳語を検索して調べる

翻訳メモリを検索すると、ある原語に対してどのような訳語があてられているかを調べることができます。上のダイアログを [閉じる] ボタンで閉じてから、[ツール] メニューの [訳語検索] コマンドを選ぶと [訳語を検索する] ダイアログが表示されるので、ここで例えば "safety" と入力すると、英文中に safety を含む翻訳単位が一覧表示され、safety の登場箇所だけ色を付けてくれます。


文脈に応じて訳し方が変化する動詞や名詞などがどのように翻訳されているかを調べたいときには、この機能は便利です。

翻訳メモリを新規作成する

翻訳メモリを新規作成します。TWB を起動し、現在開いている翻訳メモリがもしあれば [ファイル] メニューの [閉じる] コマンドを選んでまずそれを閉じます。

この状態から、[ファイル] メニューの [新規作成] コマンドを選択すると、[翻訳メモリの作成] ダイアログが開きます。


英文和訳の翻訳メモリを新規作成するのであれば、ここで「原語」と「訳文原語」に、それぞれ English (United States) と Japanese を選択します。

「システム フィールド」については、たとえば「使用カウンタ」をチェックすればそのメモリが何回参照されたかが記録されるようにできますが、システム フィールドが増えるとそれだけ処理も重くなるので、不要なフィールドは指定しないほうがよいでしょう。

また、必要に応じて [1つの原文に複数の訳文を許可] チェックボックスをオンまたはオフに設定してから、[作成] ボタンをクリックすると次のダイアログが開いて翻訳メモリ ファイルの保存場所とファイル名を確認されますので、これを指定してから [保存] ボタンをクリックします。


これで翻訳メモリのファイルは作成できましたが、実際にこの翻訳メモリに翻訳単位を登録する前に、いくつか設定すべき項目があります。[ファイル] メニューの [設定] コマンドを選び、翻訳メモリの設定ダイアログを開きます。


ご覧のとおりこのダイアログには多くのタブが並んでいるため最初は途方にくれてしまうかもしれませんが、ここでは最低限確認したい設定項目だけチェックすることにします。[フォント] タブを選んでください。このタブの右上にある [訳文の既定フォント] を確認します。後でこの翻訳メモリを使ってリサイクル翻訳を行うときに、挿入される訳文はここで設定したフォントに設定されます。このフォントが納品されるファイルの日本語フォントになりますので、訳文の標準スタイルで採用しているフォントと同じフォントをここで選択しておくのが一般的でしょう。


また、翻訳メモリの設定とまぎらわしいものに [環境] メニューの [プロジェクトの設定] があります。こちらは、大きな翻訳メモリを複数のプロジェクトで共有する場合に各プロジェクトの名称などを設定するときに使う機能ですが、巨大な翻訳メモリを複数プロジェクトで共有して使おうと考えているユーザー以外は当面こちらの設定はあまり気にしなくても多分問題ないと思います。必要になったら勉強してください。

(2000年5月30日執筆)

利用上の注意:このホームページは執筆当時(1999-2000年)の状況について述べており、すでにかなりの記述が「時代遅れ」となっていますが、原則として当時のままの内容を修正せずに公開しています。ご注意ください。