RE:ぞんびぃず 前編 1


 
     RE:ぞんびぃず 前編  ~ヒト再生~
 
 

 

〝あああああ…… ううううう……〟

 

ザッ… ザッ… ザッ… ザッ…

 

 

太古より人間は、知恵や工夫を凝らして文明という物を積み上げてきた。時には天敵や自然災害に脅かされながらもたくましく生き、その存在を絶やす事無く、時代は進む。

 

しかし… 人間は全てを失ってしまった。

 

各地で年々増加する自然災害により、自給自足が困難となった。各国政府も対策に乗り出しはするが、機能せずに食糧難に陥った。加えて人の生きる道に値するあらゆる物も、襲来を重ねるごとに枯渇してしまう。

 

『これはもしかしたら、文明の利便さに驕った我々が、我が物顔で限りある資源を乱用し続けた反動なのかもしれない。』

 

今を生きる事すらままならない生存者の中に、ここまで追い込まれていった原因を省みる余裕のある人はもういない。

対して自己保全にしか目が無い一部富裕層は、物資の独占や弱者への虐待に興じる始末で、災害を機に、我欲を貫く者まで出始めた。抑止力となっていた人々もいたが、その甲斐も虚しく餓死者・病死者の数は日に日に増大。死体の処理もままならない状態が続き、下々の衛生面は底まで落ちた。

 

そして… 災害が落ち着いた頃、世界にある変化が起こった。

 

死んだはずの人々は起き上がり始め、生前の恨みを晴らすかのように、抵抗力など乏しい生存者を襲い始めた。さらには富裕層が造ったバリケードを数の力で破り、追い詰めた後に思い思いに食い散らかした。

 

それから地球上は新たな災害こそ起こらなくなったものの、飢えたゾンビが徘徊する世になり、僅かに残った生き残った者達は新たな恐怖に脅かされるようになっていった。

 

 

「なんだ…てめぇは…。」

 

ある、廃墟と化した建物の崩れた壁に、一人の男が頭を垂れて背中からもたれかかっていた。衰弱がひどいようで、かろうじて息をしている程までに弱っているようだ。そんな中不穏な雰囲気を察知したのか、男は顔を上げた。そして何かを見つけ、力無く口を動かした。

 

「あああああ……ううううう……。!? うがぁっ!!!」

 

身なりはボロボロ。だがそれは男も変わらない。唯一違う点は、腐敗した皮膚などが重力に逆らえない事位だ。ひどい見栄えのそれは男に気付き、ガタガタの歯をむき出しにしながらゆっくりと近づいてきた。

 

「な…んだ、こい…つ…… …く…来んじゃねぇっ…。」

 

目に映った者におののいた男は後ずさる事しかせず、それとの距離はじわじわと縮まっている。余裕さえあれば壁は男の背面にしか無かった為、少し迂回するだけで逃げ道は作れた。だが男の頭にそんな選択肢は無いようだ。

 

「ぎぃやっ…ああぁ…うわあああぁぁぁぁぁ!!!」

 

もう目と鼻の先にまで近づいてきたそれは、男に覆いかぶさる様に倒れこんで来、やせこけた男の顔、首元、その左側部分を思うがままにむしゃぶりだした。男は本能的に離そうと手を出したが、跳ね除ける力も一切残っておらず、断末魔の声を残して徐々に白骨化していった。

 

「……。」

 

辺りには静寂が戻り、それはどこか満足げな顔でその場を後にした。

 

 

▽▼▽▼▽
 
 
 
 
 
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