外眼筋の作用と眼球運動

●はじめに

・動物の眼球は、頭部の外側に位置
→両眼視するにはツライ

・人、サル、ネコの眼は、同一平面(前額断)に位置
→両眼単一視(両眼視)できる
→左右眼で見ている情報を統合し、単一視

●眼球

・6つの外眼筋が眼球運動に関与
・下斜筋以外は総腱輪から発し、下斜筋は下鼻側の骨膜から発する
・上斜筋は途中で滑車により走行を変える
!外直筋、内直筋以外は、斜めに走行するため、複数の作用


●眼筋の眼球への付着

・上斜筋は上直筋の耳側縁裏面に付着
・下斜筋は外直筋の下縁裏面に付着
・外眼筋には側筋線維(眼球側、太い)
と、除筋線維(眼瞼側・細い)がある
・外眼筋は神経節単位が3-10と小さい
→微細な運動が可能

!内・外・上・下直筋…赤道部より前方に付着
!上斜筋、下斜筋…赤道部より後方に付着

!速筋線維…速い動き、太い、眼球側
!除筋線維…遅い動き、眼位を保持、細い、眼窩側、

!神経節単位
神経1本あたりに何本の筋線維が支配しているか
→少ないほど、命令の密度が高い


●外眼筋の種類

運動方向    名称    英語    略語

水平直筋   
外直筋    lateral rectus muscle    lr
内直筋    medial rectus muscle    mr

上下直筋   
上直筋    superior rectus muscle    sr
下直筋    inferior rectus muscle    lr

上下斜筋
上斜筋    superior oblique muscle    so
下斜筋    inferior oblique muscle    io

●起始部&付着部

内直筋
外直筋
上直筋
下直筋
上斜筋 …  総腱輪からはじまり、赤道部後方に付着
下斜筋  …    鼻涙管の外側眼窩底からはじまり、赤道部後方に付着

上斜筋・・・
総腱輪からはじまり、他の直筋と同様に前方に走行、滑車を通り、方向を変えて眼後方に進み、上直筋の下側を通過し、眼球後方の赤道部よりやや後極の強膜に付着

下斜筋・・・
眼窩下壁の骨膜からはじまり、外方に向かい下直筋の下側を通過し眼球後方の赤道部よりやや後極よりの強膜に付着


●ティロウ(Tillaux)の螺旋


●外眼筋の働き

▼内直筋(medial rectus muscle : mr)

角膜輪部から5.5mmで強膜に付着
動眼神経に支配
Z軸方向で 内ひき

▼外直筋(lateral rectus muscle : lr)

角膜輪部から6.9mmで強膜に付着
外転神経に支配
Z軸方向で 外ひき




▼上直筋(superior rectus muxcle : sr)

眼軸に対し、23°で走行
角膜輪部から7.7mmで強膜に付着
動眼神経に支配
X軸を中心に 上引き
Y軸を中心に 内回し
Z軸を中心に 内ひき


▼下直筋(inferior rectus muscle : ir)
眼軸に対し、23°で走行
角膜輪部から6.5mmで強膜に付着
動眼神経に支配
X軸を中心に 下ひき
Y軸を中心に 外まわし
Z軸を中心に 内ひき


▼上斜筋(superior oblique muscle : so)
眼軸に対して51°で走行
前頭骨滑車下の滑車を通り、上直筋下方を走行
眼球赤道部後方で強膜に付着
滑車神経に支配
X軸を中心に 下ひき
Y軸を中心に 内回し
Z軸を中心に 外ひき



▼下斜筋(inferior rectus muscle : io)
眼軸に対して51°で走行
鼻涙管の外側眼窩底から起こり、
下直筋下方、外直筋下方を通り、
外直筋付着部後方約10mmで強膜に付着
動眼神経に支配
X軸を中心に 上ひき
Y軸を中心に 外回し
Z軸を中心に 外ひき


●外眼筋の神経支配
内直筋
上直筋
下直筋
下斜筋
外直筋・・・外転神経
上斜筋・・・滑車神経







●上・下直筋、斜筋の位置関係と作用








 











●Fickの座標とListing平面
眼球運動はX、Y、Zの3本の回旋軸
からなるFick座標で考えることが多い

▼眼球回旋点
角膜頂点より13.5mm後方光軸上

▼Fickの座標軸
- 水平運動
垂直軸Z:内引き、外引き
- 垂直運動
水平軸Z:上転、下転
- 回旋運動
 前後軸Y:内方回旋、外方回旋

●プリーの概念
外眼筋は眼球層のみが眼球に付着し、眼窩層は、筋のそばに存在する結合組織(=プリー)に付着する。


































●眼位
第1眼位・・・正面視
第2眼位・・・眼球が水平または垂直に回転した眼位
第3眼位・・・眼球が斜めに回転した眼位












※第3眼位は、第1眼位と第2眼位の合成

▼Listingの法則
第1眼位から任意の眼位に達する眼球運動はListing面の軸の周りの回転で説明される

▼Dondersの法則
任意の眼位での網膜像はどのような経路を通ってその位置に達したかによらず一定 












●ひき運動、むき運動
・ひき運動(ductinon)・・・単眼の眼眼球運動
・むき運動(version)・・・両眼の眼球運動


・ともひき筋・・・同じひき運動をする筋肉
(共同筋)   ※上ひきなら、上直筋と下斜筋

・ともむき筋・・ある向き運動でそれぞれの眼で働く筋肉
(共役筋)  ※右向きなら、右外直筋と、左内直筋

・はりあい筋・・・あるひき運動と反対の作用を有する筋肉
(拮抗筋)   ※内直筋のはりあい筋は外直筋

・関節はりあい筋・・・ともむき筋のはりあい筋
(拮抗筋)     


 





●上むき眼位
眼球が真上を向く運動。
下斜筋の協力を得た上直筋が収縮。
上直筋はわずかに内ひき、内回し作用を起こすが、
下斜筋の外引き、外回し作用により打ち消され、
垂直方向に上引きする




▼下向き眼位
真下を向く運動。
上斜筋の協力を得た下直筋が収縮。
下直筋はわずかに内ひき、外回し作用を起こすが、
上斜筋の外ひき、内回し作用によって打ち消され、
垂直方向に下ひきする。


▼右向き眼位
右眼の外直筋、左眼の内直筋の収縮によって右向き眼位が起こる。







▼左向き眼位
左岸の外直筋、右岸の内直筋の収縮により、左向き眼位が起こる。







▼右上向き眼位
右眼の上直筋、左眼の下斜筋が収縮
上直筋は外向き眼位において
上引き作用の主導筋、
下斜筋は、内向き眼位において、
上引き作用の手主導筋


▼右下向き眼位
右眼の下直筋と、左眼の上斜筋が収縮
下直筋は外向き眼位において、
下引き作用の主導筋
上斜筋は、内向き眼位において、
下引き作用の主導筋


▼左上向き眼位
右眼の下斜筋と左岸の上直筋が収縮
右眼は内向き眼位にあるため、
上引き作用の主導筋は下斜筋
左眼は外向き眼位にあるため、
上引き作用の主導筋は上直筋


▼左下向き眼位
右眼の上斜筋と左岸の下直筋が収縮
右眼は内向き眼位にあるため、
下引き作用の主導筋は上斜筋
左眼は外向き眼位にあるため、
下引き作用の主導筋は下直筋






●眼球運動の役割
1.外界に移った網膜像が体動などによりぶれないようにする
a)前庭動眼反射 
頭を回転したときに、眼球運動が反対方向へ回転する現象
固視を維持するためのもので、水平半規管、動眼反射球の動きによる

b)視運動性眼振
   1方向に速い速度で運動
   目標を注視した場合これに追従しておこる眼振

2.対象の像を中心窩で捉えようとする
  a)衝動性眼球運動
興味ある対象から興味ある対象へ視線を動かす
急激な動き   
周辺視野にある対象物を網膜中心窩で捉える
皮質中枢は前頭葉
Brodman第8野(前頭注視中枢)

  b)滑動性追従運動
興味ある対象の動きに合わせて視線を動かす滑らかな動き
   動く目標を中心窩(黄斑)でとらえ追従する
   皮質中枢は後頭葉
   Brodman第17、18、19野(後頭注視中枢)

c)輻輳開散運動
   目標が接近離反するときに両眼の対応点でその像をとらえ続けるための運動

眼球運動の検査法







滑動性眼球運動と衝動性眼球運動のEOG
★姿勢反射
・頭部を動かしたときの網膜像の位置を保つような眼球運動が誘発される

例1)頭部を水平方向に急速に左→右に回転させた場合
       右矢印左に緩徐相を持ち、左→右に急速相の眼真が起こる(=前庭動眼反射) 

例2)頭を斜めに傾斜させた場合
       眼球の回旋運動が誘発される




























●外眼筋の神経支配経路

内直筋
上直筋
下直筋
下斜筋
外直筋・・・外転神経 - 橋腹側
上斜筋・・・滑車神経 - 中脳背側


▼Heringの法則
左右の眼球運動の命令量は等しい

▼Scheringtonの法則
ある筋肉が収縮すると、はりあい筋は
弛緩する



例)側方注視時の中枢神経経路
一側の外転神経(外直筋)と
反対側の動眼神経(内直筋)が同時に
働く必要あり。

→大脳→中脳
→PPRF →同側の外転神経核(外直筋)
      対側の動眼神経核(内直筋)

PPRFから対側の神経核に向かうニューロンは
 MLFを経由

※PPRF:paramedian pontine reticular
Formation 傍正中部橋網様体

※MLF:median longitudinal fasciculus
内側縦束

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