02 第2回勉強会概要(2009/12/12)

テーマ:海外市場リサーチとフォーカステストについて
スピーカー:エンザイム研究所 池田英一
場所:立教大学

・リサーチを実施する理由

1 市場の動向を知る
2 ユーザーの嗜好を知る
3 (開発中の)作品の評価を知る
4 そこで得た結果を商品開発に生かす
5 そこで得た結果を売り上げにつなげる
*以上は国内外、またゲームに限らず共通の要素である

・海外(特に北米)では、大手の小売業者(ウォルマートなど)が強く、価格決定力を持つので、小売業者に認められないと棚に並ばない
・そのため日本と違い、パブリッシャーの営業/マーケティング部隊の意見が開発に大きな影響力を持つ
・コアユーザー市場の厚みが大きく、ゲームの情報をネットで多く収集する
・ウェブゲーム媒体のレビュースコアと売り上げが高い相関関係を持つ
・以前は日本製のゲームが一番おもしろいという感覚があった。そのため多少ローカライズやカルチャライズがおかしくても売れた
・最近は海外の良質なゲームが増えた 選択肢が増えて、ユーザーの目が肥えた
・海外ユーザーが違和感を感じるゲームを選択肢から外しはじめた 
・若いゲーマーには日本ゲームのブランド力が通用しない
・フォーカステストとは、開発の途中でエンドユーザーから意見をデータとして抽出し、市場に合わせて開発時に修正を加え、売り上げ向上につなげるための羅針盤
・α版の段階で行うこと 
余裕があればαとβの2回で実施する。時には企画、α、βの3回で行うことも
βのみのテストは勧められない(仕様の修正が効かないため)
・続編の企画時に前作や、競合ジャンルのゲームに対してフォーカステストを行うことも
・開発会社でも企画書やキャラビジュアルなどでフォーカステストを行っておくと、海外パブリッシャーとの契約に有利
・マーケットリサーチが海外ユーザーの意見を、可能な限り代弁していなければ意味がない~いかに開発に有効な意見を引き出せるか
・フォーカステストの状況を実際に見て、プレイヤーの表情などを観察するとよい
・カメラを3台用意して、表情とゲーム画面と手元をリアルタイムキャプチャして観察する
・ゲーム全体のフォーカステストは難しくても、キャラクターのビジュアルなどは、海外販社を通してやるべき
・難易度やゲームプレイについて翻訳家の意見を聞かれることが増えた 社内でもローカライズチームにまず、現地のユーザーニーズについて聞くことがある
・北米のパブリッシャーは北米市場向けのフォーカステストは自社で行い、欧州市場向けには外部に受託する例が多い。欧州パブリッシャーはその逆
・非開発系の人間にゲームを遊んでもらい、それを後ろから眺めて観察する。ただし、ずっと見ているのは大変なので、画面を録画しておき、詰まっているところや、遊びにくいところを個別インタビューする 画面の録画+プレイヤーの様子も録画して、舌打ちしているところなどを知る 頭を動かしているところを見て、どこを見ているか推察する
・小中学生、大学生、社会人に分け、それぞれにコアとライトユーザーを入れて、ゲームプレイに対してグループディスカッション その様子をマジックミラーの向こうから録画ビデオをもらって、字幕を付けて、開発者に見せる 
・開発者の意識改革のツールとしてフォーカステストのグループディスカッションのビデオを使う
・トゥイッターで海外のゲーマーをフォローして、日本ゲームの感想をチェック
・アメリカでは社会政策を実施する上で企画に対して数値的な裏付けが求められる。ゲーム、映画などのフォーカステストもその文化
・Valveは開発工程の中にフォーカステストを組み込んでいる Halo3のメイキングビデオにもフォーカステストの様子があるので参考になる
・記入式アンケートの場合、事前に書き方のサンプルを見せると有効
・ヒアリング時には、ある程度、誘導することが重要(ここにアイテムがあったけど、見つけられた?)
・開発段階のゲームは、たいていつまらないので、ゲームプレイに関するフォーカステストでは、キーフィーチャーだけを切り出して実施することも有効 
・フォーカステストにテスターを使うメリットとして、開発段階のゲームでも最終形を想像しながら回答してもらえる
・企画書段階でのフォーカステスト:キャラビジュアル、固有名詞(キャラ名、アイテム名、技の名前、モンスター名など)
・子ども向けのゲームで、年齢別に分けてフォーカステストを行うことで、より正確にターゲットユーザーがわかる(7~8歳には受けても、12歳くらいなると、子どもっぽすぎて受けないなど)
・アメリカのミュージカルでは、まず地方でテスト版を披露して、その反応をフィードバックしながら作り上げていき、最後にブロードウェイで完成系を公演する(開発段階にフォーカステストが組み込まれている)
・ゲームは映画と違いプレイ時間が長いので、どこに焦点をかけてフォーカステストを行うか、そしてどのように意見を抽出するかが重要 通常は1回20人くらいの集団で、1日8~10時間を、2日に分けて行う例が多い
・子どもは意見を抽出するのが難しい そこでアメリカでは心理学者がデータ抽出にオブザーバとして入る例もある
・フォーカステストで市場性の判断ができるのか? 業務用のロケテストは、フォーカステストと市場性の双方が兼ね備えられている例 ロケテはそのゲームが好きなユーザーがお金を払って参加してくれて、開発側もそのユーザーに向けて調整を行う そのためオペレータに対して商品力の担保ができる
・フォーカステストのスコアとメタクリティックのスコアが似通っていれば、その点が担保できるといえる
・日本ではウェブの評価が極端(特にネガティブ)にふれがち
・海外では日本よりもゲーム情報が少なく、ハードコアユーザーはPCゲームも遊んでいることが多いため、情報収集におけるウェブの依存度が高い 特にプロのレビュアーの意見に影響される傾向がある
・学生でルームシェアなどをしていると、部屋のテレビにケーブルを引いていない場合がある そのためテレビコマーシャルに頼りすぎるマーケティング戦略は危険 国によってはチャンネル数も少ない 
・メタクリティックの点数が70点を超えると、開発会社にインセンティブが入る例もあるほど 
・ただしヨーロッパでは、ウェブのスコアやレビューは、北米ほど信頼性が確立されていない レビュー点数は売り上げに影響を及ぼさないという調査結果もあるほど
・日本ではレビューをするゲーム雑誌が激減した ウェブメディアの多くはレビューをしないし、スコアもつけない
・まず事務系の人間にゲームを遊んでもらい、その姿をビデオに撮って、開発者に見てもらうところからはじめるべき それが有効だったら、お金を使ってフォーカステストを行う いまやビデオはiPhoneでも撮れる
・フォーカステストをするのは重要だが、それをどのようにゲームの中に落とし込むかは、もっと重要 
・「スパイロ・ザ・ドラゴン」はフォーカステストの結果、日本向けにガイダンスの追加やカメラのアルゴリズムが修正され、ヒットにつながった 海外版のままでは、酔うテスターが続出して、市場性を持ち得なかった
・フォーカステストでキャラクターが死んだ場所の一覧をマップ上に表示して、プレイ風景のビデオとつきあわせて、誘導指示などの調整を行うといい
・日本でパステル超のグラフィックのゲームも、海外では子どもっぽすぎるため、グラフィックの彩度を落とすなどの例もある
・日本市場向けにゲームを作る場合でも、自分たちの見込みが良くも悪くも外れがちなので、あまり作り手側も自分たちの感覚だけに頼らない方が良いのでは? 
・マーケティングは万能ではないが、マーケティングデータは多い方が良い それをどのように活用するかが重要
・海外ゲームの違和感について、武侠モノMMOROPGの多くが日本市場でスリップした中で、「Perfectworld-完美世界」はファンタジー色を押し出すことで成功した  
・ネットの大規模調査(1万人調査など)を使って企画書をスコアづけしてもらう
・ゲームシナリオを英語にした段階で、一度アメリカの脚本家協会にレビューしてもらい、ブラッシュアップする ジョークなどが生の英語になる