手と顔と、足は逃げる
手と顔と、足は逃げる
* ** 伝承遊び考 (1)絵かき遊び考 加古里子 より
手と顔と、足は逃げる
-目-
PTAから目を設置する仕事を言い渡される。 いくつかの目を玉川上水沿いの緑道に設置してください。 しげみの中に結束バンドで目を固定した。 みまもってるよ、と、目は言った。 設置して以来、しげみや川から何者かの視線を感じるようになる。 同時に、それは私のリモートアイでもあり続け、持て余すような気持ちになる。 体内に流れる、細長い青い川の内側を泳ぐ。 この入れ子になったようなイメージに「自治」という言葉を思い浮かべるようになった。
-顔-
まる子さんや、てる子さん、は自然発生の口頭伝承である「えかきうた」で、まるっとした輪郭の顔だけの女の子だ。物価、成績評価、叱られた出来事、などを平気平気呑気呑気(へへのの)と一蹴する。最後に、試験は0てん、と顔が出来上がる。 節を僅かに変え、顔は増殖していく。音節は連帯を生んで語り継がれたのか、と想像した。 このまる子さんや、てる子さんの群像画を描いた。初めは肖像画を描こうと思ったのだが、 群像画の方がふさわしいと思い直した。
-手と足 -
手は始まりからいて、足は最後までどこにいったのか、わからない。 頭数を揃える、というように、手足は枝葉とされることもある。 しかし、足がないのはユーレイだ。枝葉がなければ、ザワザワと新しい音節も生まれない。