科学・技術と社会部会

科学・技術と社会部会とは

科学・技術と社会部会とは、新しい公共をつくる市民キャビネットにおいて、科学・技術と社会に関わる政策に提言する政策案を論議したり、NPO・市民の意見等を収集し、集約する目的で活動し、複数のNPO法人および任意団体から構成されています。

参画団体

NPO法人 科学技術社会研究所
NPO法人 研究開発型NPO振興機構(アイサード)
NPO法人 サイエンス・コミュニケーション
任意団体 サイエンス・サポート・アソシエーション(SSA)
NPO法人 サイエンス・トラスト
NPO法人 知的財産研究推進機構(PRIP Tokyo)
任意団体 「つくる、つながる、つかう」プロジェクト(三つ部)

(50音順、2011年1月現在)

オブザーバー

任意団体 STS Network Japan
NPO法人 市民科学研究室(市民研)
博士のシェアハウス

(50音順、2011年1月現在)

設立までの経緯とこれまでの活動

NPOなど市民セクターが協働して、市民参加による政治への転換を推進するため、2010年1月29日に「新しい公共をつくる市民キャビネット」が設立されました。

3月7日、市民キャビネットにおける新たな政策部会として「科学・技術と社会部会」の設置を申請しました。以下、趣旨文です。

 政府の「新成長戦略(基本方針)〜輝きのある日本へ」(平成21年12月30日閣議決定)においては地球温暖化や少子高齢化といった社会的課題を解決するイノベーションや、成長を支えるプラットフォームとして我が国の科学・技術に大きな期待がかけられています。また、文部科学省科学技術・学術審議会基本計画特別委員会「我が国の中長期を展望した科学技術の総合戦略に向けて(中間報告)〜ポスト第3期科学技術基本計画における重要政策」(平成21年12月25日)では、社会と科学技術イノベーションとの関係深化のために「社会・国民の視点に基づく科学技術イノベーションの推進」が求められるとし、具体的には「政策の企画立案・推進への国民参画の促進」および「倫理的・法的・社会的課題への取組」を挙げています。また、「科学技術コミュニケーション活動の推進」も掲げられており、そこでは、国は科学技術に親しみ、普及するための様々な活動を行うNPO法人等を支援していくとしています。法律の別表に定める特定非営利活動として「科学技術の振興を図る活動」がありますが、こればかりでなく、社会的課題を解決するための科学技術イノベーション政策の企画立案・推進や、倫理的・法的・社会的課題への取り組み、科学・技術に対する社会的信頼の確保などにおいてNPOなど市民セクターの役割がますます強まっていくものと想定されます。
 さらに、新しい公共をつくる市民キャビネットにおいて子ども、福祉、農都地域、災害支援、環境、医療など分野別の政策提言を適切な根拠に基づいたものとし、市民的立場から広く施策・行政・関連法人等を点検・評価するためには、市民セクター側に科学的知見を含めた知的基盤を安定的に確立する必要があります。スパコンに代表される行政刷新会議による科学技術関連の事業仕分けが科学者コミュニティのみならず一般市民も巻き込んで大きな議論を呼びましたが、これはこれまでの科学技術政策過程の透明性や信頼性、正統性に疑問が投げられたという意味において、市民セクターの積極的な科学技術政策への関与を促す契機にもなったと言えます。市民キャビネットでは「学術・文化芸術・スポーツ部会」の設置も検討されているとのことですが、上記の文脈からも明らかな科学技術分野の特殊性を鑑み、添付の通り「科学・技術と社会部会」の設置を申請いたしますので、よろしくお取り計らいお願いいたします。

また、次のような特記事項も添えました。

 科学技術関連NPOはもともと数が限られており、さらにその中で政策に対するアクションに関心のある団体は数えるほどです。今回、可能な限り関係しそうな団体に声を掛けましたが、NPOと任意団体を合わせても10に達しません。しかし、昨年からの科学技術政策の流れと、それに呼応する新政権の動きでは、科学技術関連NPOの振興がますます期待されています。例えば、文部科学省科学技術・学術審議会基本計画特別委員会「我が国の中長期を展望した科学技術の総合戦略に向けて--ポスト第3期科学技術基本計画における重要政策」中間報告(2009年12月25日)では「国は、国民の科学技術イノベーション政策への積極的な参画を促す観点から、例えばNPO法人等による地域社会での科学技術活動や、社会的課題に関する調査・分析に係る取組等を支援する」(p.70)とあります。また、総合科学技術会議科学・技術外交戦略タスクフォース報告書(2010年2月)でも、「我が国においても、科学・技術分野で活動するNPO等の民間団体との連携を強化するとともに、米国におけるAAASのような、民間における強力な科学・技術外交の担い手の創設の可能性について、科学・技術コミュニティも交えて検討を行う必要がある」(p.44)と述べられています。社会における科学技術の位置づけとそれに伴う問題が多様化・複雑化する状況にあってNPO等の市民参画がますます重要とされています。こうした状況を鑑み、科学・技術と社会部会の設立にあたっては特別のご配慮をよろしくお願いいたします。

これを受け、3月18日、新しい公共をつくる市民キャビネットにおいて「科学・技術と社会部会」の設立が認められました。初期参加団体は以下の通りです。
現在も引き続き、参加団体を積極的に募集していますので、ご関心のある団体はこちらまでお問い合わせください。

4月29日に市民キャビネットの第1回全体会議が開かれました。その場において科学・技術と社会部会の政策提言を発表し、市民キャビネットの他部会のメンバーを交えて議論しました。以下、議論の主な内容です。
  • 提言内容が社会のための科学・技術に偏りすぎなのでは。提言内容を聞くと、研究開発者や大学関係者向けに聞こえるがどうなのか。基礎研究と応用研究のどちらがどれくらい重要で、国が優先させるべきなのか、一般の人にはわからない。基礎研究・技術、非実用的な発想をすることの重要性を広く知ってもらうことが大事。
  • 大田区の産学官の連携事業の一環として、区の理科系職員の質を上げるための研修を行っているが、先生方にはそんな余裕・時間がなく難しい。工専のような教 員を育てるためにはどうすればいいのか。知識の結果ばかりを追い求める教育では、実践知が育たないため、現場で考え自分で身につける教育が出来るようにし なくてはいけない。科学・技術についてのリテラシー教育、理科教育が大事。結果が決まっているものを教えるのではなく、ものづくりなど知識を使って形あるものを作ることの大切さ、失敗できる体験、暗黙知を理解してもらうべき。
  • 「科学・技術」といった場合の「科学」と「技術」があるが、「技術」に対する「産業技術」もある。しかしそういった日本の大企業が80年代に必死で作成し た技術を、現政権では疎かにされているため(二酸化炭素25%削減などが政策的に優先されている等)アジア産業国などに安易に技術移転している。そういっ た産業技術の歴史、リテラシーをきちんと伝承し育てなくては日本の力はどんどん落ちる。
  • 現状の評価は最後にチェックするというもの。もっと盛り上げる形、アドバイスのような評価があって良いのでは。
  • 日本では人材以外のリソースがない。たとえば個々の技術だけでなくそれをシステム、社会システムという観点から見てマネジメントできる人材が要る。また、多様な関係者は往々にして自分の立場で話をしてしまう。そうしたところから自由になって話せる場が必要であり、そうした「ネットワークブローカー」が求められている。先の評価もそうだが、こうしたマネジメントやつなぐ人材は「サーバントリーダーシップ」(部下を支えるためにリーダーは存在するという考え)を持つべきである。全体を見る人は、単に上から牽引するのではなく、サービスとしての科学として召使いのように他の人々に仕える必要があるのは。
  • 要素技術(製品で言えば部品にあたるところ)の作成は優秀だが、全体の製品になり市場に出すというシステムとしての視野を持った人が育たない仕組みを変えなくてはいけない。企業でも各技術部署では優秀な人がたくさんいるのにマネジメント出来ていない。
  • バイオマスタウンなど、本来は学校区レベル、地域レベルでどうするか考えなくてはいけないこと。地域マネジメントしての科学・技術を見てはどうか。国レベルでの社会的ニーズから、ローカルなニーズまで、階層化した考えがあって良い。
  • 提言には「国家的・国民的課題を議論・調査分析するための公的専門機関の設置」とあるが、そもそも市民キャビネットでは「国家的・国民的課題」をどう考えるのか。キャビネットとしての理念を考えるところがない。(個別の政策部会の提言をそのまま寄せ集めるだけで良いのか。将来のあり方について横串に議論する必要があるのでは。)「科学・技術と社会」部会と他の部会との連携を行い、市民キャビネット全体としての議論のあり方を考えるべき。
以上の議論をもとに内容を改め、5月10日に政策提言を発表しました。

2010年12月9日に開かれた第2回会合では、市民キャビネットの荒木雄介さんより政府の進めている新しい公共支援事業や、市民キャビネットの活動近況についての報告がありました。それを受けて、当部会から市民キャビネットに対して以下のような注文や期待を述べました。
  • 科学技術関連NPOと一口に言っても、(1)個別課題に関わるもの、(2)研究者コミュニティ重視、(3)研究開発振興、などさまざまある。それに対して市民キャビネットなり、中間支援組織なり、政府がどうサポートできるのか。中間支援組織にお金を配るだけでは機能しないだろう。
  • 各部会がタコツボ化しており、自らの分野で言いたいことだけ言い、理念的な議論が先行して予算を獲りあっているような状況では、積極的に市民キャビネット本体と関わろうという気にならない。当部会としても具体的に議論すべき議題が各構成団体から湧き上がってくるわけでもないので、市民キャビネットが将来の望ましい社会という観点や、現在の政策的・社会的課題という観点から、科学・技術と社会部会に議論してもらいたいテーマを持ってくるというのもいいのではないか。
  • 市民キャビネットとしては個別課題に対する問題点ばかりでなく、現在の政府行政組織の問題点を指摘し改善を求めるべきではないか。また、仮にも《内閣》のカウンターパートとなる存在を自負するのであるから、現在の政府行政組織の構造的問題を補完する能力を備えることを目指すべきである。たとえば、行政官が2年間で異動し、省庁内に知識が蓄積されないのであれば、市民キャビネットの担当者が継続的に同じ分野を担い、行政官の引継ぎ業務を助けるといったこともできるようにならなければならない。
  • 新しい公共支援事業では「NPO等」となっているが、科学技術分野の性格を考えると、たとえば必ずしも法人化されていない研究者・技術者コミュニティが多く存在するので、それに対する支援も含めて検討されたい。
  • 科学技術関連NPOは先に述べた活動の多様性や観点の多様性があるので、たとえば原子力など個別課題について意見をまとめることはできない。しかし、当部会からの政策提言でも示したように科学技術のシステムや制度に関わる問題は共通認識を持ちえ、お互いに議論する価値があると思う。たとえば人材育成という観点からポスドク問題を深く話し合うために当部会から活動発信していくことも考えられる。
  • 部会のアピールとして、たとえば市民の目から見て優れた科学者を独自に表彰することをやってもいい。市民キャビネットとしても注目度が高まるだろう。
  • 当部会の現在の課題として、科学技術関連NPOの多くを占める科学技術コミュニケーション関係のNPOの参画が非常に少ないことが挙げられる。科学技術コミュニケーションが本来的に新しい公共という理念を最も体現している実践であることを考慮すると、これらのNPOを惹きつける活動を展開していかなければならない。
2011年1月25日に開かれた第3回会合では、STeLAが企画しているイベントとの協力・連携について話し合いました。
  • STeLAの活動紹介。サーバント(調整型)のリーダーシップ養成組織。問題意識があり国際人材という点に関心を持った学生が集まるが、語学がバリアになることも。8割は理系だが、文系もいる。最近の入会では、女性の応募が増えてきた。
  • 3月26日シンポジウム(12:30-16:30予定)の企画書案についての話し合い。「育つのか?育てられるのか?科学技術人材」という仮題。STeLAと東京財団との共催で、興味あるけれどもこういうところになかなか来ないような学生を対象にする。参加者として大多数を学生にすることが目標。200名の会場を埋めるぐらいにしたい。学生2名、文科省、政策、大学、産業から20分ずつ講演を行い、残りをディスカッションに充てる予定。
  • 具体的にSTeLAの方で企画が進みつつあるので、今回は講演者を出したり、運営に立ち入ったりすることはしない。ただ、企画書への助言や、お互いのためにも学生を集めることについて各部会メンバーは協力したい。また、講演者として適当な方(宮野公樹さんなど)を紹介し、つなぐことも協力する。
  • イベントに後援として名前を入れられるかは東京財団と調整する。科学・技術と社会部会として名前を入れるか、各組織として名前を入れるかは要相談。
  • 部会としては、当初の考え通り、もう少し密で学生を巻き込んだ問題解決型のワークショップを企画していきたいが、榎木さんの都合にもよる。うまくいけば、3月26日のイベントに来た学生を釣り上げて、部会のイベントに連れて来ることも。
震災による延期を受けて、2011年11月19日に開催されたSTeLA主催シンポジウム「『大学』って何だろう?」を後援しました。

2012年4月11日には、内閣府「新しい公共」関連の取り組みについてのヒアリングに出席しました。議事録はこちら