後藤芳春先生は、須磨学園の理事者からパワーハラスメントや差別発言を受けた上、不当な配置転換をされたとして、勤務先である須磨学園と西泰子理事長、西和彦学園長を相手取り、損害賠償や教壇復帰を求め神戸地裁に提訴しました。
後藤先生は、視覚障害を有していますが(先天性弱視で身体障害5級に認定されています)、昭和54年から、学校法人須磨学園(神戸市須磨区)に勤務し、30年間以上にわたって主に日本史を教えてきました。しかし、「教師不適格」と評価され、平成23年4月から教科担当を外され図書室の書架整理を命じられました。また、複数回にわたり退職勧奨を受けるようになり、平成24年12月には、自宅待機命令が出されました。自宅待機命令は平成25年7月に撤回されましたが、後藤先生はいまだに教壇復帰出来ずにいます。後藤先生は「視覚障害を理由に中傷や不当な嫌がらせを受けた」と訴え、提訴に至りました。
裁判経過
平成26年5月15日提訴(原告:後藤芳春、被告:学校法人須磨学園、理事長西泰子、学園長西和彦)
平成26年7月14日第1回口頭弁論
平成26年9月29日第2回口頭弁論
平成27年1月30日第3回口頭弁論
平成27年3月27日第4回口頭弁論
平成27年5月26日第5回口頭弁論
平成27年7月10日第6回口頭弁論
平成27年9月11日第7回口頭弁論
平成27年10月30日証人尋問
平成28年1月7日結審
平成28年5月26日判決
原告・被告とも控訴せず、判決は確定しました
須磨学園視覚障害教師教壇復帰訴訟 弁護団声明
平成28年5月26日
弁護団 弁護士 清水建夫(弁護団長)
同 辻川 圭乃、長岡 健太郎、水田 敦士
東 奈央、渋谷 有可、早田 賢史、西村 武彦 ほか
1 (言い渡された判決)
先天性の視覚障害を有し、長年日本史教師として就労してきた原告が、平成23年以降教壇を外され、専ら教材研究に従事するよう命じられ、さらに自宅待機命令を言い渡され、のみならず視覚障害に関わる不当な差別的発言等を受けたことについて、勤務先である学校法人須磨学園(以下「被告学園」)及び同法人理事長、学園長に対し、日本史の授業を担当する地位の確認、教材研究命令に従う義務のない地位の確認、不法行為に基づく損害賠償請求、不当に減額された賞与の差額請求を求めた事件について、
平成28年5月26日、神戸地方裁判所第6民事部(倉地康弘裁判長)は、
①(被告学園が平成23年3月24日付で発した)大学入試試験の日本史Bの問題に関する教材研究のみをせよという業務命令に従う義務のないことを認め、
②不法行為責任として被告ら(3名)に対して連帯して110万円を支払え、
③被告学園に対し、減額分の賞与相当額69万6000円を支払え、
として、原告勝訴の判決を言い渡した。
2 (判決の要旨)
本判決は、被告学園がなした「専ら教材研究のみをせよ」という趣旨の業務命令について、「そもそも業務上の必要性が認められないうえ、原告を自主退職に追い込むという不当な動機・目的の下に行われたものとして違法無効」とし、原告はこれに従う義務を負わないとした。
また、自宅待機命令についても、「原告が自主退職するように仕向けるために行われた」もので、不当な動機・目的の下に行われたものであり、違法であるとした。
そして、これら一連の退職勧奨行為は、社会通念上相当と認められる範囲を超え、労働者の自由な意思形成を不当に妨げるような態様でされたものであり、原告の人格権を侵害するものとして不法行為に当たるとして、被告ら3名に対し、110万円の損害賠償を命じた。
さらに、賞与の減額についても、一連の退職勧奨の中で行われたものであり、不法行為に当たるとして、被告学園に対し、減額相当分69万6000円の支払を命じた。
3(判決の意義と評価)
本判決は、原告が求めた日本史の授業を担当する地位の確認こそ認めなかったものの、被告学園がなした教材研究のみを命じる業務命令及び自宅待機命令について、原告を自主退職に追い込むという不当な動機・目的のもとで行われたものと断定した。本判決に従えば、被告学園の扱いは根本的な見直しを求められることになる。
神戸地方裁判所が、被告学園が原告に行った扱いを違法と認定し、原告の人格権を侵害したものであると判断した意義は大きい。
4(要求)
原告及び弁護団は、被告らに対し、神戸地方裁判所の判決に控訴をせず、同判決に従うことを求めるとともに、被告学園に対し、原告に日本史の授業を担当させる等、適切な業務に当たらせるための話し合いに速やかに応じるよう強く求めるものである。
以 上
被告らは、原告ないし弁護団からの再三の要求にもかかわらず、現時点においても、原告の業務内容を改善していません。(平成29年3月22日現在)
新聞記事に「勤務考課が低かった」とあるのは、あくまでも学園からの評価です。後藤先生の評価が低い理由について学園は裁判で十分な根拠を示す事が最後まで出来ませんでした。
判決についてもっと詳しい内容はこちらです
判決前までの須磨学園の主張はこちらです
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