「一粒の」NO,233 反骨爺のつぶやき 高村よしあつ

2015/07/31 3:51 に 山根岩男 が投稿
 事務所を自宅に移して間もなく3年になる。一日自宅にいると、どうしても運動量が減るので、夕方から近所を散歩するのを日課にしている。山の中腹にある団地なので、比較的交通量も少なく自然も多いので、散歩する場所には事欠かない。しかし、その分昨年の土砂災害の影響がいまだに残っていて、一部交通止めとなっている。その日の気分で適当にコースを選び、仕事に火照った頭を冷やしながら一汗かいて、その後のシャワーとビールを楽しみにしている。

 散歩コースの一つに,霊園がある。息子の嫁の墓があるし、平日はほとんど墓参りする人もなく静謐な雰囲気がいいので、墓参りがてらよく訪れている。春になると日を追って桜のつぼみが膨らみ、やがて色づき、一斉に開花して、知る人ぞ知る花見の名所となっている。やがて新緑のまぶしい時期になると、霊園の主役は桜からつつじへと移行する。

 つつじが満開となって園内道路の両側を鮮やかに彩っているなかを歩いていて、ふと何かおかしいと気づいた。花は咲き誇っているのに、静寂が立ち込めていて、普通ならうるさい位の虫の羽音がしないのである。とりわけミツバチの羽音が。

 このとき、レイチェル・カーソンの「沈黙の春」を思い出した。数年前にもこの本を紹介したことがあったが、そこには「そんなのは、空想の物語さ、とみんな言うかもしれない」と書かれているが、「沈黙の春」は日本の現実となっているのだと気付いて愕然とした。

 毎朝朝食に蜂蜜入りのヨーグルトを食しているが、数年前からいつも蜂蜜をまとめて入手する県北の店から蜂蜜が消えてしまった。そのためあちこち捜し歩くことになったが、どこに行っても品薄であり、値段も跳ね上がってきている。その原因は殺虫剤として世界中で広く使われている農薬ネオニコチノイドであるとされており、日本では住友化学が生産している。使われ始めたのは1990年代の中ごろからであり、いまでは全世界の殺虫剤の20%以上を占めていると言われている。このためEUでは2013年12月からミツバチ花粉を集める花へのネオニコチノイドの使用を一時的に禁止している(しんぶん赤旗5月22日付)。

 カーソンが攻撃の矛先をむけたDDTは、現モンサントなどのメーカーの反対にもかかわらず、現在では使用禁止となっている。ネオニコチノイドにも同様の運命をたどらせないと、植物の受粉制限により生態系に重要な影響を与えることはもとより、やがては化学物質の氾濫により人類の命運にも拘わってくることになる。
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