「一粒の麦」NO.236 「反骨爺のつぶやき」 高村よしあつ

2015/10/04 16:52 に 山根岩男 が投稿
  「羊頭を掲げて狗肉を売る」という諺がある。値段の高い羊の頭を看板に掲げて、実際には値段の安い犬(狗)の肉を売るということから、外見と中身が大きく異なることの譬えである。

  階級社会における支配政党の政治は、すべてこの「羊頭を掲げて狗肉を売る」政治のオン・パレードである。何故なら少数の支配階級が多数の人民を支配するには、常に少数者の利益を多数者の利益と偽らねばならないからである。安倍内閣の「平和安全法制」という看板の中身が「戦争法」であるというのもその1例であるが、それ以上なのが「政治改革」である。

  リクルートや佐川急便などの贈収賄事件が続発、「政治とカネ」の問題が政局の争点となり、1993年「政治改革」を看板に掲げた細川連立内閣が誕生して「政党助成金」と「小選挙区制」が制定された。政党助成金は、企業・団体献金を禁止する代わりに、国が政党の活動資金を負担することでクリーンな政治を実現するというものであり、細川首相は国民に「コーヒー1杯分」、325円を負担してもらうのは「民主主義のコスト」(小松公正『政党助成金に群がる政治家たち』)だと説明した。他方で、金権腐敗政治が生じたのは自民党の長期政権のもとで政・官・財の癒着を生じたためであるとして、政権交代できる選挙制度として小選挙区制が持ち出された。政党助成金と小選挙区制が「政治改革」の2枚看板とされた。

  あれから22年、確かに政治は変わった。しかしそれは「政治とカネ」の解決としてではなく、独裁政治の復活としてである。まず小選挙区制は民意と離れた「虚構の多数」を生み出したのみならず、党の公認を得られるか否かが議員の生命線となるところから、党の中枢にすり寄ることによる独裁政治への傾斜を強めることになった。

  他方の政党助成金は、企業・団体献金の禁止はどこへやら、助成金欲しさに政党の離合・集散が続き、「助成金もらって消えたサギ政党」(同)の川柳まで登場した。助成金の要件である5人の国会議員をかき集めるため、「生活の党と山本太郎と仲間たち」なる主義・主張を無視した珍政党まで誕生した。しかし問題はそれに止まらない。国民の声と無関係に、党中枢の手に巨大な助成金が握られることになり、その金の力で権力を集中し独裁政治への道を歩むことになったのである。

  国民の声を一切聞こうとしない安倍独裁政権は、こうした「政治改革」の産物である。日本共産党が今国会で提出した法案第1号が「政党助成廃止法案」であったのも頷ける。
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