「一粒の麦」NO235 反骨爺のつぶやき 高村よしあつ

2015/09/27 5:02 に 山根岩男 が投稿


 ギリシャは、民主主義発祥の地である。デモクラシーの語源は、ギリシャ語のデモクラシア(多数者の支配)に由来している。いまそのギリシャで財政主権という民主主義が問われている。これは中南米諸国が1980年代にたどった「いつか来た道」である。中南米諸国が経済的危機に陥ったとき、IMH(国際通貨基金)は救世主の顔をして登場し、融資条件として新自由主義を押し付け、その財政主権を奪ってボロボロにしてしまった。怒った国民は「IMF暴動」を引き起こし、80年代末から軒並みに新自由主義反対の政権を誕生させ、「アメリカの裏庭」だった中南米を「反米大陸」(伊藤千尋、集英社新書)に変えてしまった。

  新自由主義とは、資本主義のもとで、これまでの福祉国家が取ってきた大企業への規制を撤廃し自由な競争に任せるならば、「トリクル・ダウン」により貧困層にも富が浸透するという理論を基礎としている。しかしその実体は、日本を含む世界のすべての国で1%の大金持ちと99%の失業と貧困の拡大をもたらす「強欲の資本主義」の復活にすぎないことを証明している。

 かつて、ヨーロッパ資本主義は、アメリカの「強欲な資本主義」とは異なり「人間の顔をした」資本主義といわれていた。しかし、とりわけ2008年の「リーマン・ショック」を機に、EUはIMFの介入により、大きく新自由主義へと傾斜していく。ギリシャの財政危機が表面化したのは2009年であり、IMF とEUは、融資条件として厳しい緊縮策を押し付けた。その結果ギリシャのGDPは3割減となり、失業率は7・6%から26・5%へと上昇した。国民の不満は高まり、チプラス政権が誕生するなかで、EU離脱の脅しにもかかわらず、6割の国民が「緊縮NO」を投じた。しかし、チプラス政権は、緊縮策受け入れに転換、今後の動向が注目されている。

 EU諸国が中南米と同様の道をたどることになるのか否かは予断を許さないが、EU諸国での新自由主義に反対する半緊縮の動きは着実に高まっている。スペインでは、わずか1年半前に誕生した「ポデモス」(we can)が、すべての市民に最低生活を保障する制度の導入や所得格差を3倍以内とするなどの政策を掲げ、ネット中心の運動で5月の地方選で勝利し、11月の国政選挙で一挙に政権を取る可能性が生じている(佐藤和夫「季論」21号)。

 新自由主義反対の全世界的たたかいは、「人間の顔をした」資本主義を求めるたたかいであり、それが日本共産党のいう民主連合政府に他ならない、と思う。
Comments