残丘のツェレスタイン

作 イーヴァイン・フォン・ツェレスタイン



「絹よりもなお」

泉のほとりに花が咲く
だれが落として行ったのか、
風に揺れる悲しみが
声も立てずに咲いている。

おお朝よ! お前は瞬きもせずに
それを見つめていたのか。
おお雪よ! お前は微笑みもせずに
それを隠してきたのか。

薄紅の小さな花びらは
指にたどられ溶けていく。
絹よりもなお、たおやかな憧憬が
私へもろく幕を引く。

泉のほとりに花が咲く
だれが朽ちて逝ったのか、
風に揺れる悲しみが
声も立てずに咲いている。



「声とおく」

声とおく、空は真白に染まりけり。
我が腕、黄昏うつし夜に消ゆ。
かはたれの、格子に染みる声ありて。
眠る病躯に朝が降る。



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