10.まろうど

シャプテット.8 晴れ

ノヴァークの予言通りになってしまった。ものの数日で頭が重くなり、ついで手の痺れ。妙な寒気と、喉の渇き。日中など、起きて居られない。夜になると、若干体調は良くなってくる。
この症状には覚えがある。友人の一人が、たしかそんな『体質』だったような気がする。

念のためノヴァークに原因と思われる傷口を診てもらったが、毒物の類いではないとのこと。そして、毒物でないのなら今は自分にはどうすることもできない、と。
恐らく呪いの類だろう。
 
商人達の足を遅らせてはいけない。アーストライア近郊まで連れていってやると言われたが、そこから入国の手間を考えるに得策ではない。
ここは、ひとまず近場で回復を待たなくては。まったく、やっとエルネタリアを脱出できたと思えば今度はこの有様。ただでは帰さん、ということか。

森の中 泉 青い岩塩ランプが目印
名前 ユトゥルナ

近くにハイエルフの棲家はあるかと尋ね、すぐに荷馬車を下ろしてもらった。しばらくはノヴァークに担がれての移動だ。追加料金を取られないと良いのだが。



シャプテット.9 雨

日中は立つのもつらく、かといって眠れる状態でもない。
流石にこれが続くと心身に負担がかかる。

ノヴァークが、「本当は暗殺用なのだが」といくつかの薬草で作った(種類は教えてくれなかった)眠り薬をくれた。
死なない程度に薄めてあるとはいうものの、さすがに勇気がいる……が、いつまでもこうして居るわけにはいかない。とにかく覚悟を決めて、飲むまでだ。



シャプテット.12 曇り

気がついたらベッドの上などというのはつい先日もあったように思うのだが……どうやら、少しずつ体調は回復してきたらしい(まだ完治というほどでは到底ないが)。

いつの間にか、アーストライア国境付近に位置するハイエルフの棲みかへとたどり着いていたらしい。いや、『いつの間にか』ではなく、ノヴァークが運んでくれたからこそなのだが。

どこからか泉の湧く音が聞こえる。
様子を見に来たハイエルフと思しき少女に尋ねた、ここはどこか、と。
ようこそアーストライアへ、と一点の曇りもなく彼女は言った。
傷の手当ても、彼女がしてくれたという。

ようやく山場を越えたのだ。
「身体はまだ山の中だけどな」
ノヴァークの皮肉に、少し笑った。



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