著者から
本屋さんがない地域を対象とする出版は厳しいという出版元の忠告を痛感する。でも、御嶽山と共に生きる動きがささやかでも聞こえほっとする。しかし国の動きは厳しい。出版後の御嶽山の周りの情報を伝える。


その後の御嶽山周辺             

■ 王滝村 早期健全化団体から再生     2010.9
 王滝村は『09年度決算で「実質公債費比率」(予算規模に占める借金返済の割合)が23%と国の基準の25%を下回り、自治体財政健全化法に基づく「早期健全化団体」を1年で脱却した』と発表しました.同比率は06年度決算で42.2%と全国のワーストワンながら,3年間で23%まで回復させました.この間の村民の努力に敬服します.瀬戸村長の挨拶

■ 「御岳山 霊なる山の素顔」が出版される 2010.9
信濃毎日では新聞紙上で連載してきた「御岳山」を同社から出版した.連載中,私も地域に入った記事に敬服すると同時に美しい写真に憧れていた.記者も山頂まで登り,厳冬期も山に入っている.とにかく元気な御岳山が溢れている.本の情報

■ 山頂直下の地震活動が8月中旬に活発化 2010.8
 日頃は山頂直下では地震活動が低い.しかし,8月13日を中心に1日に10数個が発生し,地震活動が活発化していたことが名古屋大学や気象庁の調査で明らかになった.この地震活動は月末には収束している.名古屋大学による御嶽山周辺の震源分布

■ 王滝山頂に地震計を設置  2010.8
 JICA研修生の「御嶽山に登りたい」という要望に答え,うちの中道さんと御嶽山の王滝山頂に地震計を設置した.計9名となると私はまさに自分自身を持ち上げるだけ.これから雪が来るまで観測は続く.

■ 御嶽山からTVの生中継 2010.8
 今年は御嶽山がTVからよく流れる.開田中学のコマクサ保護登山をNHKの「小さな旅」が取り上げた.そしてお盆過ぎには,NHKが頂上部から生中継した.偶然,TVをつけた私の眼に青い火口湖が映し出された.御嶽山とそこで生活する人びとの姿を取り上げられるのは歓迎したい.

■ ヘリで御嶽山頂上へ 2010.8
 御嶽山の減災に取り組む国土省の防災ヘリが御嶽山にやってきた.それに便乗して,空から御嶽山を眺める.たしかに大きな山体,そして現在も活発な噴気が手に取るようにわかる.次はヘリの機動力を観測に活用したいものだ詳しく

■ 地元の小中学生が御嶽登山
地元の小中学生では生徒が減っているものの、現在でも御嶽登山が続いく.山小屋のブローグなどでは紹介されている.
開田中学校のコマクサ保護登山 下呂市小坂の湯屋小学校
下呂市小坂小学校 飛騨市河合中学 下呂市馬瀬中学
王滝中学校
しかし,皮肉なことに下呂市の濁河にある岐阜県の
御嶽少年自然の家
は財政的な理由から今年は営業を中止する.教育を滅ぼすのがどこなのか、歴然とする.

■ 417名が100kmを20時間以内に走破 2010.7
 
王滝村は広い!村内だけで100kmのジョギングコースが設定できる.7月18日王滝村松原公園をスタート地点にしておんたけウルトラトレイル100kmが始まった.そして、20時間の時間制限中に417名が完走、唖然とする催しである.脱帽!

■大学交付金が来年度は8%減 消える地方大学 2010. 7
  参議院選挙で敗北した民社党政権は、その選挙の前、6月22日の閣議で来年度から政策的経費を毎年8%減という方針を確認した。旧国立大学への交付金は、 政策的経費にあたり、すでに6年前から毎年5%が削減されていた。今回の閣議決定が実施されると、今後は交付金削減がより厳しくなる。すでに財源が弱く なった地方大学は消える可能性が高い。地方が消えるなか、県庁所在地の大学も消えることになる。小泉首相の息子は、選挙演説の中で、「育児手当をもらって も負担するのはあなたたちですよ」と脅した。地方が消え、大学が消えた日本に誰が住むだろうか。

王滝小中学校で御嶽山の授業 2010.7
 アジア航測の千葉達郎さんの協力を得て、彼と木股が王滝小中学校の小学6年生から中学3年生を相手に御嶽山の授業を二コマ行なった。4学年の共通授業はなかなか講師泣かせだった。でも、地元の子供たちが御嶽山を知る機会になれば幸いだ。

■小さいゆえに楽しい学校 2010.7
  王滝小中学校での授業の前に、給食を小学生から中学生まで全員集合の食堂で食べる。町から離れ、パンが手に入らず、ほとんどご飯という。調理室は食堂の隣 り、暖かいもやしご飯がいただけた。石巻で育った千葉さんは、地元のサンマの焼き物にパンで泣けたという。私は脱脂粉乳ミルクで牛乳嫌いになった。

■御嶽ロープウェイ 秋で営業中止 2010.5
  事故もあり、経営困難だった木曽町三岳の御岳ロープウェイが、木曽町の一時的な財政支援を得ながら、今秋に閉鎖される予定となった。スキー場の経営困難は 王滝村でも村の財政を大きく苦しめた。ロープウェイが経営する木曽温泉も閉鎖され、地元の有志で再オープンする予定だ。

■王滝小学校 複式化を村が避ける 2010.4
  王滝小学校新二年生は2名、国の基準なら複式学級。王滝村は,村独自の予算で一人の教師を雇い、複式化を避けた。赤字で苦しみながらも、「人は大切」とい う村の英断である。村では中学生までの給食費と医療費も今年度中に無料化の予定だ。一方、国は財源難で実施を見送ってる。



本文中の訂正           
ご迷惑をおかけした点を深くお詫びいたします.改訂の機会にはきちんと訂正させていただきます.

◆「梅田康弘」<「梅田勝」 P52 L2
大正桜島噴火の死者2名*P88 L後ろから3
鹿児島県の資料によれば死者1人、行方不明23人
削除<「住民は科学を信ぜず」P89L2
◆「軽石には玄武岩マグマが薄皮として付着しており、確実にマグマが関与したと考えられます」<「軽石に本質的なマグマ成分は見つからないものの、確実にマグマが関与したと考えらえます」P90 後ろからL2
藤井敏嗣(東大名誉教授)さんから指摘いただきました.
◆「一億円増加」<「三億円増加」P163 L後ろから3
文科省に詳しい方から指摘頂きました
削除<「五ノ池を利用した風呂」 P191後ろから5行目
 風呂のサービスはニノ池周辺の山小屋に限られています.また五の池小屋では天水を利用し,決して五ノ池の水ではありません.     
五の池小屋に通われる登山者から指摘いただきました


読者の声

■ 私、山登りをしている者です。特に、御嶽山は何度となく登っている山で、私にとって身近な山です。その山、火山についての本とことで、興味を持って拝読させていただきました。
危険の中での調査、地道な調査等々苦労が伝わります。素人にでもわかり易く書かれており、静かなる活火山としての御嶽山の現状が判りました。また地域にも話が至り、地域に対する想いも感ずることができます。
少ない予算の中ですが、御嶽火山のさらなる実態と防災体制の啓発に尽力ください。        愛知県春日井市の御嶽山愛好者

■ご関心の領域の広さと、現代の日本社会が抱える問題のへの姿勢に敬服しました.単なる「火山学者」には書けない内容です.北原糸子

噴火後30年にして学問的に解ってきたことをまとめた、まじめな本。開田高原に山荘を持つ者として興味深かった。大阪府豊中市・72歳男性 (信濃毎日に寄せられた愛読者カード)
●噴火と地震、そして現在の御岳が体系的で判り易い。地震時に王滝村に職を得ていた一人としても興味深い書である。何より 判り易く平易に、しかも広範囲に御岳のメカニズムが記されていることに驚嘆。木曽郡木曽町の74歳男性 (信濃毎日に寄せられた愛読者カード)

まさに現在の政治に対する厳しい批判の書であると痛感しました.気象庁も測候所の廃止を次々と進めており、いざ災害というとき、必ず観測体制の不備が指摘さ れることになるだろうと思います。池田町も気象観測ロボットを1機、自前で池田山の山ろくに持っていたのですが、老朽化で修理に多額の費用がかかるとのこ とで事実上廃止してしまいました。昨今の集中豪雨は観測網の稠密化こそ求められているのに、逆行しているのです。
御嶽山は私のところからも天気の よい日には観望でき、美しい姿を見せてくれます。近年の噴火の時には噴気が見えたように記憶しています。私の関心は初冠雪を見ることですが、最近は遅く なってきているように思えます。いずれにせよ、観望できる山塊ではもっとも印象的な山であることは間違いありません。今後とも、関心をもって眺めていきた いと思います。
桑原(気象予報士) 岐阜県池田町 

■  時の流れとともに、学問研究の進展は喜ばしいことですが、社会環境の変化によって生じた状態、とくに第五章以下でご指摘の火山に対する研究、観測、防災 対応の現状は小生にとってもかねてより懸念していたことでした。現在先頭に立って対応されている貴兄が深く憂慮されている御様子がにじみ出ています。今後 の火山防災に関して心ある人には必須の好書だと思います。 宮崎(地震研の先輩)

■ 御嶽山―静かなる活火山、拝読させていただきました。平易な表現でありながら、御嶽山を通して火山活動の本質と現地観測の重要性、火山防災の在り方、活火山を抱える自治体や活火山の観測研究の抱えている課題と悩みを、説得力を持って展開されています。火山に関する解説本がいくつか出版されている中で、長年にわたる火山観測を行った研究者が活火山に関する諸問題を解説した初めての著作であり、活火山の観測研究と火山噴火予知の実体を解説した好著であると思います。いまや、火山噴火予知はできるかのような誤った意見や思い込みが流布していますが、短期的に成果を求める科学技術政策や国立大学法人化により国立大学の火山観測研究体制の弱体化が進行する中で、火山噴火予知を取り巻く現状と今後を国民に正しく認識してもらう絶好の解説書であると思います。(京都大学石原)

■ 1979年の噴火前後からこの火山の研究を通して、火山と、その地域で暮らす人々と関わってきた筆者の、時に熱く、時に優しい火山研究・防災・行政への考えが述べられている。
 個人的には第6章の山麓自治体について書かれたものが興味深かった。国も地方も財政難に喘いでおり、十分な防災対策・研究にあてる予算がない状況。私も、国民の命をまもるべき国が防災関連予算をどんどん削っていて良いのか、との危機感がある。その一方で、豊かな自然にはあこがれを感じる。  bcs