Paraconsistency: philosophy and applications

【趣旨】

数多く知られている非古典論理の一つに矛盾許容型論理(paraconsistent logic)がある。その唯一の特徴は爆発則として知られる推論、つまりある文とその否定とからは任意の文が導出可能、という推論を制限する点にある。このとき、明示的に出現している論理結合子は否定のみであるが、その否定に関しても満たすべき条件等に関して合意はなく、ただ否定が一項の論理結合子であることが暗黙の前提とされている程度である。このような状況の中、1948年のStanislaw Jaskowskiによる論文以降、無数の形式体系が様々な動機に基づいて提案され、研究されてきたのがここまでの状況である。

このようにして、一見無秩序な展開を遂げている矛盾許容型論理であるが、形式体系の研究に留まらず、哲学的側面及び応用的側面についても活発に研究が進められている。具体的には、哲学的側面については、「幾つかの矛盾は真である」という真矛盾主義(dialetheism)に基づいて種々の逆理を解決する試みや無矛盾律との相性の良くない形而上学的立場の定式化の試みがあり、応用的側面についてはannotated logicやデータベースへの応用などが知られている。

本ワークショップでは、矛盾許容型論理の形式体系の全体を見渡す視点を与えた後、矛盾許容型論理の哲学的側面及び応用的側面に関して、最前線で分野を引っ張っている研究者による概観を踏まえて、矛盾許容型論理の研究の現状を把握するとともに、今後の展開について、様々な立場から前向きかつ批判的な議論することを目的とする。

【開催日時・場所】(本ワークショップは科学基礎論学会 2016年度秋の研究例会の一部として企画されたものです)

  • 日時:2016年11月5日 (土) 10:00--12:00
  • 場所:東京大学 駒場キャンパス 1号館 1階 108教室

【提題者】

  • 上出哲広 (帝京大学).: Paraconsistent sequential linear-time temporal logic and its application to medical reasoning [概要]
  • Zach Weber (University of Otago): Dialetheism in philosophy and mathematics [概要]
  • 大森仁 (京都大学): Towards a unification of paraconsistent logics [概要]

【プログラム】

  • 10:00--10:05:導入
  • 10:05--10:25:大森仁
  • 10:25--10:55:Zach Weber
  • 10:55--11:25:上出哲広
  • 11:25--12:00:質疑応答