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0615 額田の森/万足平の猪垣

2010年6月15日(火) 愛知県岡崎市額田地区訪問
 
ゲスト:小原惇氏(小原木材株式会社代表、NPO法人アースワーカーエナジー代表)、樋口氏(岡崎森林組合)
参加者:土屋教授、武田非常勤講師、石山(土屋公雄APT)、田原(土屋公雄APT)、北浦、松野、宮本、小此木
 
 
 以前より小原さんのお話に伺っていた、『天使の森』プロジェクトの拠点となる場所を案内していただきました。
東岡崎駅から車で1時間以上、岡崎市額田地区の山中、その集落のうち最も山深いところにありました。
舗装された道路はここで終了、これより奥は社へと続く山道です。
 
山間の狭い土地を、段々畑に開墾して人々の生活が営まれてきたところです。
しかし、この集落も今や限界集落となっているそうです。この草地も一年前までは作物が育えられていたそうです。
脇にはふたつの小さな沢が、やさしい音をたてて流れています。ときどきうぐいすの鳴き声が聞こえます。
 
 
 
 
 『天使の森』プロジェクトの活動契機として、この場所に「みんなのテーブル」を作る構想をされています。訪れる人が日頃抱えている背景とは関係なく人と接することができるように、この山深い地が選ばれています。もちろん、多くの森林が抱えている問題を、この地もまた抱えています。例えば、間伐が追い付かずに密林が放置されていることや、林業に従事する人手の不足、また日本の林業を支える産業構造などがあげられます。だからこそ、ここを森と人の関係について、これからの文化と産業の関係について、私たちにできることを話し合い、実行していくための場所にしていきたいと、小原さんはおっしゃいます。
 
 
 
 
 
 段々畑は土地の石で築かれた土留めに支えられています。
このような石積みの様子はあちこちで見ることができますが、場所によって積み方の違いをみることができます。写真では分かりにくですが、左の石積みは、石の大小と配列がうまく考慮されていました。石を積んだ人のセンスが発揮されています。
 
 この後見学した猪垣の石積み具合を見ても、この土地に腕のいい石積み職人がいたことがわかります。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ちなみに、愛知県岡崎市は良質な御影石の産地としても有名です。額田地区にも石丁場があります。それとは別に、石垣や石積みに用いられている右のような石も豊富に取れるそうです。多様な石質が見られる地域です。
 
 左の写真は茶畑です。山の中で突如モニュメントのような存在感をかもし出しています。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
次に岡崎森林組合を見学させていただき、そこから近い万足平(まんぞくだいら)へと向かいました。
写真中央の女性が樋口さん。
 
 
 
愛知県指定文化財 有形民俗文化財 

万足平(まんぞくだいら)の猪垣

 

 猪垣は、旧額田町南部地域を流域とする男川上流に、今なお原形を保ちつつ保存されている。なかでも、延長612mに及ぶ万足平の猪垣は壮観である。

 山深く田畑の狭いこの地区に暮らす農民たちは、幕府に収める上納米や飢饉ばかりでなく、貴重な作物を荒らす動物たちにも悩まされていた。特に、猪による被害は甚大で、その対応に苦しんだ末に農民たちの手で生み出されたのがこの猪垣である。

万足平の猪垣は、江戸時代後期の文化2年(1805)、および天保3年(1832)の2回にわたって作られた。高さ2m、上幅0.6m、底幅1mで、猪垣の山手側には必ず幅1.2mの溝(石を運ぶための道)はつけられている。石材は、かたく平らに割れる性質の男川流域に多く産出している黒雲母片麻岩が使われている。

 旧額田町の男川流域に、この万足平の猪垣を含め、実に延べ60㎞にわたり構築された猪垣は、全国的にも類がなく貴重なものである。

 
万足平は説明にある通り、山あいのそれほど広くない一帯でした。
この山の脇に、猪や鹿対策として築かれた石垣が続いています。
現在は石垣が壊れている個所も多く、地元の有志によって月に一度のペースで修復がなされています。
下の写真、左は崩れた石垣、中央は従来の石積み、右は近年修復された様子です。
 
 
 
     石垣の裏側(山側)は緩やかな剃りかえしがついています。
 
  

この山脇の道は村人の散歩コースだったり、小学生の通学路としても使われています。そこで、地元の皆さんの計画で、道の途中、石垣の脇に、東屋を作ろうという話が出ているそうです。間伐材の他、自然素材の提供と制作協力をしていただけるとのこと。
 
 

 また、猪を捕らえるための檻もありました。度々捕まるみたいです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  万足平を後にして、額田の森に住んでいらっしゃるアーティスト、国島征二さんのお宅へ伺いました。国島さんも、額田の森に対して、芸術ができることを考え、行動していこうとされているおひとりです。ご自宅にある国島さんの作品もたくさん見せていただきました。

  岡崎の小原さんの自宅へ戻り、小原さんの設計された自然エネルギーの循環を取り入れた、快適な住宅を見せていただきました。このシステムについての詳しい講演会が、6月24日(木)に行われます。







 最後に、素敵な夕食を頂きながら、ひとときの語り合いを楽しみました。

衣・食・住、さまざまな角度から、人と環境の理想的な共存の可能性を追求されている小原さんの人柄に触れた一日でした。

 



記録:北浦

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