15.承諾なしでも契約成立!? 相模原“未契約裁判”の真相

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速報!
13年12月18日・東京高裁
受信契約の成立には受信者とNHKの双方の合意が必要との判決

NHKが個人を相手に受信契約締結と受信料支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、東京地裁(下田文男裁判長)は、「受信者から契約申し込みの意思表示がなければ、契約は成立しない」との判断を示した。今年10月には東京高裁の別の裁判長が「NHKが契約を申しこめば、受信者が意思表示をしない場合でも、二週間が経過すれば契約は成立する」との判決を言い渡しており、判断が別れた。下田裁判長は「受信者とNHKの双方の意思表示が合致して契約を成立させる以外には、法律的な契約の効果が発生するとの規定は存在しない」と述べ、NHKの主張を退けた。

という判決がでたようです。NHKに訴えられていた渋谷区在住の受信者とは、10月に判決がでた相模原のケースと同じく、NHKに対して「BS放送の画面に表示される、契約を促すテロップ」を消す申請をした人であるようです。

10月の相模原のケースと同様に、(テロップを消す申請をしてしまったことによって)テレビを設置したと認定された時点から、判決が出た日までの分の受信料は支払う義務があるとされたようです。

しかし、相模原の案件の控訴審は「すでに契約も成立している」としたのに対して、今回は「まだ契約は成立していない」とした点で、大きな判断の違いが生じました。ただ、「判決の確定時に契約を締結せよ」ともしているようなので、相模原の裁判の「一審判決」と同じ判断に戻っただけだと思われます。(下段の本篇記事の図表「相模原未契約裁判の流れ」を参照)

契約成立の時期を巡る二つの司法判断の違いは、民法上の契約の概念について法学的な論争をする人、並びに「本人が承諾しなくてもNHKから申し込むだけで受信契約は成立する」というイメージを世間に広めたいNHKにとっては大きな問題でしょうが、被告本人にとっては、いずれにせよテレビを設置した時点(テロップ消し申請をした日)からの受信料を払わなくてはならないことに違いはないわけで、どの時点で契約が成立すると判断されようと別に大した違いはないと思われます。(2013 12/18 23:55 更新)



“未契約訴訟”の真相は“テロップ消し裁判”


13年6月27日・横浜地裁
「未契約者」に受信料の支払いを命じる初の判決

2013年6月27日、横浜地裁相模原支部にて未契約者を対象とした裁判の初めての「判決」が出され、NHKの訴えが認められたとするニュースが、NHKを始めとする複数のメディアで報じられました。

報道直後、ネット上では「契約してなくてもNHKに訴えられるのか!?」と不安を訴える非契約者の声が飛び交いましたが、実はこの裁判で受信料支払いを命じられた神奈川の男性とは、「BS放送の画面に表示される契約を促すテロップの消去を申し込むために、自分からNHKに電話をかけて、個人情報を通知してしまった人であるということです

これでは集金人が持参した契約手続き書類にサインなどしなくても自ら積極的にテレビの設置を認め、受信料支払いの意思を示したものと判断されても致し方ありません。こういう人を厳密な意味での「未契約者」と呼んでいいのかどうかについても、疑問が残ります。

そして、現在NHKに未契約で訴えられている個人の世帯は、全員これと同じケースだそうです(⇒この件について解説している元NHK職員のYoutubeチャンネル)。

また、相模原の男性は、裁判所から出廷を求められても一切応じず、完全無視し続けたらしく、裁判官は和解の勧告もできず、NHK側の言い分のみを聞いて判決を出さざるを得なかったようです。(一部報道では、男性は弁護士を立てずに訴訟に臨み「東日本大震災でテレビが壊れた」と主張していたとされていますが、どのような状況で主張していたのか、詳細は不明です)

なお、NHKは、相模原の男性のこのような背景情報について、報道もプレスリリースも一切していません。


13年10月30日・東京高裁
「本人の承諾なしでもNHKが契約を申しこめば受信契約が成立する」との判決

10月30日(水)、上述の「BSテロップ消し」をしたことで受信契約を申し込んだと判断された相模原の男性の控訴審の判決が東京高裁で出されました(控訴したのは被告の男性ではなく、NHKです)。

各社が配信した記事はどれも、非常に分かりにくい、NHKがリリースしたペーパーだけをソースとした、読む人を確実に錯誤に導く書き方をされています。これを読んだ人の多くが「テレビを持っているとNHKが勝手に認定した人に、NHKから一方的に契約を申し込めば、相手の承諾なしで申し込みから二週間後に契約が成立したことにされてしまう」という判決であると勘違いしているようですが、そういうことではありません。

判決を噛み砕いて言うと、「BSのテロップ消去を、自分からわざわざNHKに電話をかけて申し込み、その時点から今日までテレビが設置がされていたと、すでに一審判決において認定されている神奈川の男性については、ここからさらに『契約締結』という手続きを踏まなくても、テレビ設置を認定された日時まで遡って支払い責任が生じ得る。ただ「契約日」については、『設置(=テロップ消しの申請)即、契約成立』ということにはせず、少し猶予を置いて、NHKからの契約申し込み通知(内容証明郵便等)が届いてから二週間後に締結されたということにしましょう」という話のようです。

一審二審とも(また、冒頭で触れた、通知だけでは契約成立してないとした《下田判決》も)、契約成立日と料金発生日との間にズレがある、論拠が曖昧な混乱した判決です。これは、規約などの効力も発生し得る「正式な契約成立日」と、支払い料金の計算目的に限定した「擬制的、便宜的な契約発生日」とを、社会的公平性担保のために併存させたものとも考えられます。極めて異例かつ苦肉の判決と言えるでしょう。

§【 図表・相模原未契約裁判の流れ】

各報道では、「NHKからの契約申し込み通知」 「本人の承諾なくても二週間後に契約成立」の2点に、ことさら意味があるような書き方がされていますが、NHKが(内容証明等で)契約申し込みの通知をするためには、視聴者の側から、テレビを設置した事実をNHKに通知していることが大前提となります。それなくして「NHKからの契約申し込み通知」など何の意味も持ちません。

また、「二週間後」というのは、自らテレビ設置の事実をNHKに通知しておきながら、支払い開始手続きをせずに放置を続け、裁判所に受信料支払い義務の存在が認定されたケースにおいて、判決後に契約締結という形式を整える上でのテクニカルな話に過ぎません。(一審では、「NHKからの通知が届いた時点」ではなく、「この一審判決が出された時点で契約成立」という判決でした。「今さら契約への同意は必要ない。設置が認定された時点の分から料金を支払え」という点では二審判決と違いはありません)

結論として、今回の判決は、BSテロップ消し申請を通じた「事実上のテレビ設置報告=契約申し込み」をしたと裁判所に認定された人(または、認定されるのが確実な人)以外には、基本、関係のない話だと言えます

テロップ消しなどしていない大多数の非契約者にも関係がある点を挙げるとすれば、それは、受信料の「契約」手続きとは名ばかりのもので、テレビを設置すれば、書類に署名捺印するなどしなくても契約が成立し得る、ということを裁判所が認めたことくらいでしょうか。(ただ、これでは放送法における契約の概念と、民法における契約の概念は別のものだと言っているようなもので、法学的には、確かに尋常ならざる判決であるとは思います) →※

ただ、クドいようですが設置しているかどうかを判定できるのはNHKではありません。裁判所です。

※ 冒頭で「速報」したように、この判決から2ヶ月後に同じ東京高裁で出された同様の裁判の判決(下田裁判長)においては、「同意なしでもNHKからの通知だけで契約が成立している」とするNHKの主張は却下されています。

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片山タイガー之介,
2013/12/18 5:18