14. 「受信料裁判」の傾向と対策/受信料滞納の時効は5年

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【ポイント!】
 「TVはあっても契約してない人の契約拒否」 と「契約してしまっている人の不払い(滞納)」 とでは立場が全然違ってきます。
[契約してない人]
■ 非契約の世帯は1000万軒。そのうち訴えられたのは100軒ほど。全員が自分から「BSテロップの消去」を申し込んだ人です。
■ 「BSテロップ消し申請」もしてない、普通の「非契約世帯」がNHKに訴えられることなどあり得ません。
■ 訴訟の狙いは「アナウンス効果」。訴訟の報道で情弱をビビらせて契約を取りやすくすることです。
 「未契約でも、NHKが一方的に契約申し込めば2週間で契約成立という判決」の報道はウソだらけです。(→次ページ参照)。
[契約していて滞納してる人]
 契約してるのに1年以上滞納している世帯は177万軒(11年時点)。そのうち実際に訴えられたのは約6千軒(14年9月時点)
■ NHKが滞納者を訴える手段は、簡易裁判所を通じての「支払督促」の送付です。略式の裁判みたいなものです。
■ 受信料滞納の時効(最大遡れる期間)は5年。しかしNHKは5年分以上請求してくるので「時効援用」手続きが必要です。
■ 10年滞納で訴えられても「時効援用」さえ忘れなければ支払額はMAX 8万円(地上契約) もしくは13万円(衛星契約)
民事における「時効」は自分からNHKなり裁判所なりに主張するもの。黙ってても適用してくれると思ったら大間違いです。
滞納分を途中で一月分でも払うか「受信料支払期間指定書に記入すると「債務の承認」になり時効が効かなくなります。
「受信料滞納」で 訴えられた人の大半が、滞納期間中に「債務の承認」をしてしまっている人だと言われています。
■ 逆に言えば「債務の承認」をしてない「契約関係が曖昧な人」 は、滞納していても訴えられる可能性は低いということです。
「5年で時効」と言っても「5年我慢してほっとけば契約が自然消滅して何もなかったことになる」という意味ではありません。


❏1.契約していなくても、本当に訴えてくるのか?


「未契約訴訟」は10万分の1の確率。しかも、全員「BSテロップ消去」を申し込んだ人

結論から言うと、「非契約(NHKの言い方では「未契約」)が最強」。NHKになんの「情報送信」もしていない、ごく普通の個人の一般世帯 がいきなり訴えられることなど絶対にあり得ない、ということです。

集金人の押しに負けて、一旦契約手続きをしてしまうと、NHKはちょっとやそっとでは解約に応じません。
解約手続きをしないままずるずると支払いを滞納すると、未払い分の請求書がしつこく送り続けられ、挙句に、NHKに民事訴訟を起こされる場合もあります。そうなると、滞納者は法的に不利な立場に立たされることは否定できません。

しかし、契約していなければ、なんの心配もいりません。(BSテロップ消去などで自分からNHKに情報送信した人は別)

確かに、NHKは「テレビを設置しているのに契約していないこと」を理由に、2011年から2014年9月までの3年間で、計108件一般世帯を対象とした「未契約訴訟」を起こしたと公表しており(→※1) 、このニュースを聞いた非契約の人の中には、「自分も訴えられるのでは?」と不安を感じている人も多いと聞きます。

でも、落ちついて考えてみてください。NHKの大本営発表によると全国の受信契約率は約75%(→※2)で、「受信契約の必要性があるのに未契約のままの世帯」の数は、1000万軒を超えるそうです(2013年)
その中で実際に訴訟を起こされたのは、たったの108軒。つまり10万軒に1軒の割合ということになります。(個人の世帯に限定した話です。「ホテル」などの 「事業所」 は除く)

さらに加えて、「未契約なのにNHKに訴えられた人達」とは純粋に「10万分の1」の確率を引き当てた類まれなるクジ運の持ち主なのかと思いきや、真相はそういうことでもなかったようです。

実は、この3年間(14年9月時点)で、NHKによって「未契約訴訟」の被告とされた108軒の世帯とは全て、

NHK-BSを視聴すると画面下に表示される「契約を促すテロップ」の消去を申し込むために、電話やハガキ、またはデジタルTVの登録機能を使い、「B-CASカード番号」と住所氏名をNHKに送信した人

と、いうことのようです・・・。(→※3)

これでは集金人が持参した契約手続き書類にハンコをついたりしなくても、自ら積極的にテレビを設置(及び視聴)していることを認め、受信契約を締結する意思を示したものと判断されても致し方ないでしょう。

「未契約」と言っても、実際に訴えられたのは、このような特殊な条件下にあるごくごくごく一部の世帯です。

このような「未契約裁判の背景」について、NHKは一切、広報していません。それどころか、自局のニュースや新聞などに「TVを設置しているにも関わらずNHKからの契約要請に応じなかった未契約の世帯を訴えた」とだけ報道させて、あたかも、ただ単にNHKと契約しなかっただけの普通の家庭が無差別に訴えられているかのような誤解を与える、明らかな印象操作をしています。

つまり、NHKと契約していない1000万の世帯(NHK発表の数字)に向け、「契約に応じないとウチも訴えられるかもしれない」という恐怖心を抱かせるような、誤解に基づく「アナウンス効果」を生み出すことで、契約率の向上に繋げようとしているわけです。「皆様のNHK」が聞いて呆れる、卑劣極まりないやり方です。

なお、現場の訪問員の間でも、露骨に裁判をチラつかせて契約を取る「訴訟恫喝営業」が一般化しているようですが、これは「脅迫罪」になります。 参照→ 4.地域スタッフ対策(応用編)


※2  これは「一部屋一軒」でカウントするホテルなども含まれる数字なので、「一般家庭だけの契約率」はこれよりずっと低いようです
※3  「個人の世帯」についての話です。普段から不特定多数の人が出入りする「事業所」(ホテルなど)はこれに当てはまりません。


なんの情報提供もしてない「普通の家庭」が未契約で訴えられることなどあり得ない

このように、これまでに起こされた「未契約裁判」の実態は、確率的にも条件的にも、一般の未契約者から見れば完全に無視してかまわないレベルの「遠い話」です。しかし、今後NHKが、さらなる「アナウンス効果」を狙って、「BSテロップ消し裁判」に代わる「新ネタ」を打ってくる可能性もないとは言い切れません。

その場合、NHKに「未契約訴訟」の対象とされ、なおかつ裁判所に「テレビを設置している」と認定されてしまう可能性がゼロではないケースとして、以下の4つが想定できます。(事業所は除く)

・「BSテロップ消し申請」以外の、なんらかの機会に、自らの意思で所有するテレビのB-CASカード番号を住所氏名とともに「NHKに」送信した世帯 (通常の「B-CAS登録」はNHKへの送信ではありません)

「テレビ設置状況調査票」
の、「テレビを設置している」欄に ◯ を付けて提出してしまった世帯

・自ら堂々と、はっきりとテレビの「
設置」を公言し続けているのに契約しない世帯 (→※4)

不特定多数が出入りして誰もがテレビの設置を確認することができる事業所の部分と住居部分の区別がつきにくい、いわゆる「店舗兼住宅」のような世帯(例えば商店街の理容店や食堂など)

 上記のいずれにも当てはまらない、受信設備の設置を認めていない、プライバシーのしっかりした普通の個人宅が未契約で訴えられることなどあり得ません。なぜなら、捜査査機関でもない一特殊法人が、契約手続きを交わしたわけでもない一般個人宅のテレビ設置の有無を、世帯主の意に反して確認し、証明することなど、現行法下では不可能だからです。

今後、NHKが「別のタイプの未契約世帯を訴えた」、または「違うパターンの判決で未契約者に勝訴した」、などというような「新ネタ」を出してきたとしても、おそらくは上記のような、なんらかの「カラクリ」があるはずなので、NHKの発表や、それに依拠しただけの新聞報道を鵜呑みにしないよう注意しましょう。


※4 自分の言葉で「明確かつ継続的に設置を公言している」場合です。例えば、NHKを家庭内で視ていることを前提に、番組の内容が気に入らないから契約しない、または、「契約の自由を否定する受信料制度は憲法違反だ」などと言い続けている人です。それも「正規職員に対して」です。地域スタッフに不意を突かれてポロっとテレビがあると言ってしまったとか、アンテナを見られたとか、テレビの音を聞かれたとかではテレビの設置を認めたことにはなりませんし、証拠能力もありません。また、ワンセグ付スマホ 等の所持を認めて契約を拒否しても、訴えられることなどありません。


放送が偏向してるから払わないは原則NG。(但し「籾井・長谷川がいるから」はOK)

世の中には、堂々とNHKを視聴していること(=受信設備を設置していること)を認めた上で「報道内容が偏向している」「反日だ」などと言って契約を拒否する人が結構いるようです。さらには、契約しているのに、払わない理由にこれを言う人もいるようですが、さすがにちょっと、知能の高い人のとる行動だとは思えません。(→※5

別に集金人相手に何言っても特段何も起こりませんが(というか集金人に放送内容の話なんかしても彼らは理解できないし、NHKには何も伝わりません)、もしNHK職員が自宅訪問してきた場合にも、こういうことを言い続けると、訴えられるリスクは高くなります。このような法律的に無防備な言動は、NHKの「訴訟アナウンス営業」のネタにされてしまう恐れがあるので、当サイトとしては自重することをお勧めします (→※6)


※5 …と思っていたんですが、なんと、NHIK経営委員の長谷川三千子氏 が、NHKと契約していながら番組内容が自分の政治信条に合わないとして「不払い」をしていた事実が明らかになりました。つまり「番組イチャモンづけ」の「不払い滞納者」が経営委員になって受信料から高額の報酬を貰い続けている、のです。開いた口が塞がらないとはこのことです。「長谷川氏が経営委員である限り、長谷川氏がかつてやったのと同じように支払いを止める」と宣言した上で、不払いする(引き落としをストップする)のもいいと思います。私が契約者なら、解約する前に一旦はそうします。

※6 ちなみに、職員やスタッフの「直近の」不祥事を理由に契約拒否や、支払い拒否する人に対してNHKが強硬手段にでることは現実問題として不可能です。これは法律的根拠とは関係なく、「政治的」な判断です。「不祥事」には、会長や経営委員による、立場をわきまえない失言・暴言、それに過去の不払い行為なども含まれると考えていいでしょう。2014年現在では「籾井会長がいる間は契約しない」 は契約拒否ワードのトレンドとなっているようです。集金人にこれを言うだけでも引き下がる確率は高いようです。



❏2.契約していて支払滞納している人の訴訟対策


「契約していて料金を滞納している世帯」が訴えられる確率は300分の1。

NHKは2006年11月より滞納者に対する民事訴訟を開始し、2014年9月までの8年間で約6000軒の支払督促(民事訴訟)を行いました。年間750件のペースです。訴訟対象となり得る1年以上の長期に渡って受信料を滞納している契約者の総数は177万軒(2011年時点)ということなのでそれを分母にして単純計算すると、滞納者(1年以上)がNHKに訴えられるのは、ざっくり300軒に1軒という割合になります。(→※7)

しかし、前段で述べたように「NHKと契約しているのに支払いを滞納している人」の場合、「契約していない人」とは民法上の立場が全く違ってきます。実際に訴えられる確率は高いとはいえませんし仮に訴えられて敗訴したとしても大した支払い額にはなりませんが(下段参照)、「契約しているのに払ってない人」がNHKに民事訴訟をおこされる予兆のようなもの(→※8)を匂わされたら、それなりの心づもりと準備はしておいた方がいいでしょう。

なお、滞納期間が4年~5年の間の人が訴訟を起こされる割合が高いようです。5年を超えている人の場合、後の項目で詳しく触れる「債務の承認」をしてしまった人の訴訟確率が他より高いようです。


※8  「受信料特別対策センター」 という部署から配達証明郵便が届き、以降そこに所属する正規職員からの連絡が、直接・頻繁に入るようになればそれは「予兆」のようです(委託会社の社員が訪問してきただけでは訴訟の前兆にはなりません)。詳しくは下段、「NHKは今後ますます『債務の承認』に力を入れてくる」の段を参照。


NHKが受信料の「滞納者」を訴える時の具体的手段は「支払い督促」の送付

NHKが滞納者を訴える時、NHKは滞納者宅に簡易裁判所名「支払い督促」という書類を送付してきます。これは裁判所名で送られてくることからも分かるように、法的な書類であり、「督促」を受けた時点で民事訴訟を起こされたのと同等の意味を持ちます。(略式の裁判みたいなものです。法律用語である「督促」と、一般名詞の「催促」とをゴッチャにしないよう注意してください)

「支払い督促」が送られてきた場合、期限内に「異議申立て」をしないと、自動的にNHKの勝訴となります。NHKによる訴訟提起内容に納得がいかない場合は、必ず期限内に裁判所に出頭し、「異議申し立て」の手続きを行って下さい。(異議を申し立てると、督促から進んで「正式の裁判」で争うことになります)

また、支払うべき料金の滞納があることについては異議のない人であっても、5年分以上の請求額で督促を受けた人は、必ず裁判所に対して「時効援用」の手続きをとりましょう。支払金額が倍以上違ってきます※9

※9 2014年9月、最高裁判所で「受信料滞納の時効は5年」の判断が確定したため、少々状況が変わりました。詳しくは下段の「時効援用」についてまとめた段を参照のこと。


スムーズに「異議申立て」をするために、普段から「記録」を残す習慣を

例えば、正式裁判の前に「受信設備が無い」などと異議を申し立て、裁判所にその主張が受け入れられれば、NHKによる訴訟の提起そのものを無効にすることも可能なようです。(ただ、長期に渡り「法律上」契約状態にありながら、NHKに訴えられてから初めて「受信設備がない」と主張したとして、それが裁判所に受け入れられるかどうかは、状況次第ですが、かなり微妙なところでしょう。)

その他の異議申立ての事由としては、「○年前に、NHKに対して受信設備廃止に伴う解約の意思通知をしてある」、「契約した記憶がなく、継続的な支払い実績もない」(8・「クーリングオフと契約追認行為」の後段) などいくつも考えられます。前者の場合、内容証明郵便の記録などでNHKに対して解約の意思を通知をしてあることの証拠が提示できれば、異議申立て者が圧倒的に有利になります12.  内容証明による解約の意思通知

物的な証拠がなくても、裁判所に対して説得力のある説明ができれば、異議申立てが認められる可能性はありますが、そのためには、NHKとのやりとりの経緯を自分なりに「記録」しておくことが重要になります。NHKに連絡した日付と経緯、相手の所属と氏名、会話の具体的内容などをキチンと憶えていて、筋道立てて説明できれば、訴訟を有利に進めることができます。このへんが全て曖昧だと、異議申立てが受け入れられる可能性は低いでしょう。過去に、NHKに訴えられた滞納者が「電話による口頭でNHKに解約の意思通知をした」とだけ主張したものの、それ以上の具体的説明ができず、裁判所に「信ぴょう性が低い」と判断されNHKが勝訴した例があります(2011年8月@神戸地裁)

契約をさせられた経緯や、NHKが解約に応じない経緯がどんなに納得のいかない理不尽なものであったとしても、そのことをNHKに対して意思表示した、なんらかの証拠や記録を残しておかないと、契約者側が不利な立場に立たされることは認識しておいた方がよいでしょう。

ただ、最悪の場合でも、過去5年分、約 8万円(衛星契約の場合は 13.7万円程度を支払うだけです。民法上、受信料滞納の時効(最大遡れる期間)は、5年だからです。(「時効援用」手続きが必要です)

なお、NHKは受信料の滞納分に加えて、裁判費用なども請求してくる可能性もありますが、受信料督促裁判の裁判費用など、支払い命令が出ても数千円~1、2万円程度という話なので、気にする必要はないでしょう。なお、「裁判費用」も「延滞利息」も、これまでのところ実際に請求された例はないようです。



❏3.滞納者が知っておくべき「時効」の知識/訴えられる人の特徴


受信料の時効は5年。しかし、それ以上請求してくるので、「時効援用」手続きが重要

裁判所への「異議申立て」が認められずに敗訴したり、または特に「異議申立て」を行わなかった場合でも、過去5年以上の分まで遡って受信料の支払いを裁判所に命ぜられることは原則、ありません。2014年9月、最高裁判所で、「滞納した受信料の法律的性格は「消滅時効5年の債権」(「1年以下の期間ごとに支払われる定期給付債権」)であるとの判決が確定したからです。(NHKはそれまで、「滞納した受信料は消滅時効10年の一般債権だ」と主張し、10年分の滞納受信料を請求し続けていました)

「NHK受信料の未払い 5年で時効 最高裁が初判断」 朝日新聞 2014年9月5日 
NHK受信料の未払い分はいつまで遡って請求できるのかが争われた裁判で、最高裁第二小法廷(鬼丸かおる裁判長)は5日、「5年で時効」とする初の判断を示した。「一般債権と同じで時効は10年と主張したNHKの上告を退けた。民法は「1年以内の短期間に一定の金額を支払う債権の時効は5年」と定める。最高裁は判決で、「2ヶ月ごとに支払う形の受信料はこの規定に当てはまる」とした。判決を受け、NHKは「引き続き、支払いが滞っている全ての期間について請求するが、契約者側から時効の主張があった場合には『5年で時効』として取り扱う」との方針を明らかにした。

最高裁判決を受けてNHKは、今後は「時効5年」の司法判断に従うとの方針を表明しました。しかし、注意が必要なのは、NHKは今後も引き続き、5年を超える長期滞納者に対しては、とりあえず一旦、5年を超える全滞納期間分を請求し続けると言っていることです。ただし、請求書(「督促」とは違います)を受け取った滞納者が『5年を超える分は時効が援用されて債務は消滅するはずだ』とNHKに対して主張してくれば、それを受けた段階で初めて時効の援用を受諾し、請求額を5年分に短縮する、というプロセスを踏むようです。(受信料に限らず、民事における時効とは、債務者が自分から債権者なり裁判所なりに主張して初めて適用されるものです。黙ってても相手方や裁判所が勘案してくれたり親切に教えてくれたりするようなものではありません)

具体的には、電話等でNHKに「時効援用の意思表示」をすると、このたびの最高裁判決を受けてNHK営業局が独自に作成した「時効を援用するお届け用紙」 なるものを送ってくるようなので、それに必要事項を記入して返信すれば、以降は請求額を5年分に短縮した請求書に切り替えてくるようです。つまり、黙っていたら5~10年分の請求額で支払督促(民事訴訟)される可能性があるということです。

なので、5年オーバーの請求書が送られて来た段階で、早々にNHKに対して「時効の援用の主張」をしてしまい、債務を5年分に限定してしまうというのもひとつの選択肢となります。(ちなみに10年分だと地上波のみの契約だと約16万円、衛星契約だと約28万円の請求額になります。5年分だとその約半分ですみます


NHKに「時効の援用」を申し出ると「契約が曖昧」だった人も曖昧じゃなくなるので慎重に

5年以上前に確実に契約が成立して、その間ずっと料金が発生し続けていたことに異議がなく、なおかつ、「5年分でいいのならさっさと払ってこれで終わりにしたい」と考えている人ならば、NHKへの「時効援用の申し出制度」は便利なシステムです

しかし、長期間、支払い実績が全くなかった人は、NHKから請求書は送られ続けていたとしても、民法上、契約関係の存在そのものが曖昧になっている場合が少なくないようです。(詳しくは後段、「支払督促の流れ」を参照)。契約関係が曖昧なら、NHKに対して債務があるかどうかも疑わしいわけで、そういう人は「契約は無効だ」と主張する余地を残しておく方が有利でしょう。契約が無効なら当然、一銭も払う必要はなくなります。

ところが、「契約が曖昧な人」でも「時効の援用」をNHKに主張してしまうと、「契約は確かに成立していて、支払うべき料金を長期間滞納していること」については認めたことにされてしまう可能性があります。これを「債務の承認」 といいます。

一般的な民事案件では、時効援用の主張自体は「債務の承認」にはならないとされるようですが、受信料滞納の場合、民間同士のお金の貸し借りとは構図が異なりますし、なによりまだ制度が始まったばかりで前例が確立されていないこともあるので、用心しておくに越したことはなさそうです。

たとえNHKに対する時効援用の主張が、民法上の「債務の承認」とはならなくても、「曖昧な契約者」が時効の申し出をしたことにより、NHKに滞納者としての「存在」をよりはっきりと認識されてしまうことは確実です。そうなると、NHKからの「5年分の支払い」を求めた催促も、前より激しくなると予想されます。

また、そもそも「契約が曖昧な人」 は、NHKによる「訴訟候補」に全く入っていない可能性が高いと考えられますが(後段「訴えられるのは債務の承認をした人」参照)、時効援用の主張をキッカケに訴訟を起される可能性が一気に高まることも考えられます。

もちろん、NHKに時効援用を受諾された時点で、すぐに5年分を支払ってしまうのなら、支払の催促が激しくなったり訴訟候補にされたりするわけはなく、そこで全部終了です。しかし「とりあえず時効援用だけNHKに申し出ておいて、あとは放置プレイ再開」とかだと、NHKは態度を急変させてくるかもしれない… ということです。(当然、訴訟になっても、時効援用がNHKに受諾されているなら、請求額は5年分ですが…。)


「時効の中断」のワナにご注意!「債務の承認」があると時効が効かなくなる

滞納者が時効援用を申し出て来ても、NHKは無条件で受諾するわけではないようです。申し出を受けたNHKはまず、その人が今回の申し出以前に、確実な「債務の承認」行為をしていないか、徹底的に調べ上げ、あれば時効の援用を拒否してくる場合もあるようです。

「債務の承認」は、民法147条の「時効の中断」という措置が適用される事由になるからです。「時効の中断」とは、滞納開始時点からスタートした時効成立までの日数計算が、「債務の承認」をした時点で中断→リセットされてしまうことです。要するに「5年の時効」が効かなくなり、NHKは滞納者に対し、全滞納期間分の受信料を払わせることが可能になるということです。

NHKが「時効の援用の受付け」を始めるより前からある、受信料滞納者の「債務の承認」行為としては、

① 滞納期間中に、滞納分の一部(ひと月分でも)を支払った実績がある。

② 集金人が差し出す 「放送受信料支払期間指定書」 という書類に記入したことがある。

などがあげられます。受信料滞納者が「債務の承認」をしたとみなされるのは、上の①、②のどちらか片方か、あるいは両方に当てはまるケースがほとんどのようです。

NHKに時効援用を申し出た人は、まず、これに該当していないか調べられ、該当していれば時効の援用を拒否されるということです。そうなると、裁判で争っても、おそらく時効の援用は認められないでしょう。

なお、前段で「時効の援用」をNHKに申し出ること自体も「債務の承認」になる可能性があると言いましたが、たとえそうであっても、それをもって「時効の中断」の事由に使うというのはさすがに不可能です。それ以外の、「途中支払い」や「受信料支払期間指定書への記入」などの事実があった場合、「時効の中断」の事由に使われてしまうということです。


実際に訴えられるのは、ほとんどの場合「債務の承認」をした人

実は、過去8年間(2014年現在)でNHKが訴訟を提起した6千軒あまりの滞納世帯の大部分は「一部支払い」をしたり、さらに「受信料支払期間指定書」にサインしたりすることで「債務の承認」をしてしまった世帯だと言われています。つまりNHKは、契約関係の存在に関して「法的に曖昧になってる部分」をなくすために、滞納期間中に「債務の承認」をさせることに成功した世帯を優先的に訴えている ということです。

逆に言えば、「債務の承認」を一切していない滞納者は、訴えられるリスクは高くないということです。それなのに、NHKから5年を超える請求書が届いたというだけで、状況を精査せずに反射的に「時効援用」を主張してしまうと、「やぶ蛇」になりかねないということです。おさらいすると、

・ 「債務の承認」をしていない滞納者については、時効の主張なんかしなければ訴えられるリスクは極小だったのに、してしまったがために訴訟優先順位が上がってしまう。(時効援用については受け入れられて請求額は5年分になる)

・「 債務の承認」をしていた滞納者については、時効の援用を拒否された上に、もともと高かった訴訟リスクがさらに高まってしまう。

ということです。


「時効援用の主張」は、やはり裁判所にした方が安全か

なので、滞納期間が5年を超えたからといって、うかつにNHKに対して「時効援用」の主張などしない方がいいのではないか、というのが、当サイトの「時効」に関する一旦の結論です。色々やぶ蛇になるリスクが高いからです。

仮にNHKに対して「時効援用」の意思表示をせず、そのまま滞納期間全額分での「支払督促」(民事訴訟)をされてしまった場合は、裁判所に対して「時効援用」を主張することになります。

NHKに「支払督促」(民事訴訟)されると、裁判所から「特別送達」で督促書」が郵送されてきます。すると必ず「答弁書」が同封されていますので、それ「民法167条1項にもとづき、5年の消滅時効を援用します」と書いて裁判所の事務窓口に提出すれば手続き完了です。(最高裁で時効5年が確定したからといって、督促を受けた人が自分から時効援用の手続きをしない場合、裁判官は一切、時効を勘案してくれません)

最高裁判決が確定する前は、NHKは「時効は10年だ」と主張していましたので、NHKに訴えられた長期滞納者は裁判の場で、時効の年数を巡ってNHKと争い、個別に「時効5年」を勝ち取っていました。しかし最高裁判決の確定後は、滞納者が裁判所に5年の時効援用を主張しても、それに対してNHKが「時効10年」を主張して争ってくることはもうありません。(但し「債務の承認」行為があれば「時効10年」ではなく、「時効の中断」を主張してきます)

そういうこともあり、時効援用の申し出をNHKが直接受ける体制が整った現状でも、やはり「時効の援用」は基本的には、中立の立場にいる裁判所を通じて主張するのがベターまたは王道だと考えといた方がいいだろうということです。


NHKは今後ますます「債務の承認」に注力。いつでも「時効カード」を切れるように準備を

NHKが作った「時効援用を受け付ける制度」は、うかつに使わない方がいいというのが「一旦の」結論なわけですが、それはあくまで「うかつには」です。状況によってはさっさと申し出た方がいい場合もあるでしょう。

というのも、最高裁で「時効5年」が確定してしまったことを受け、NHKは今後ますます、滞納者に「債務の承認」をさせることで「時効の中断」をさせ、全滞納期間分の料金を支払わせる戦術に力を入れてくると予想されるからです。

まだ詳細はわかりませんが、判決がでてすぐに、上述した「受信料支払期間指定書」の書式が一新されたという情報もあります。この用紙への記入を促す戦法をより強化しようという方針の表れだと推測されます。またNHKは、滞納金の「全額回収ミッション」を請け負う業者と新たに契約を交わしたという噂もあります。

滞納が5年前後の人で、もしそのような業者に家や職場に押しかけて来られて、それを押し返す自信がない場合、速やかにNHKに連絡して「時効の援用」を申し出て「支払額5年分」を確定してしまった方が絶対に安全だと思います。上の段で言ったように「5年分は払うことになる」のは確定してしまうかもしれませんが、曖昧な要素がなくなると悪質な委託業者の付け入る隙はなくなるので、それ以上のリスクはなくなります。

また、(最高裁判決以前から)訴訟の可能性が少しでも発生している人は、「担当」が最寄りの営業所から、NHK本部内の「受信料特別対策センター」という、債権回収や訴訟提起を専門とする部署に変わるので、滞納している人はそのことも予め知っておいた方がいいでしょう。訴訟の前段階では、この「特別対策センター」から「重要なお知らせ」などと題した配達証明郵便が再三再四、送られてくるようになり、それと前後して、そこに所属するNHK職員がしつこく電話してきたり自宅訪問 してくるようになります。

後これに加えて、本当に強引な「債権回収委託業者」まで差し向けて来るようになるのかは、まだわかりませんが、いよいよ訴訟の前段階になると「特別対策センター」の職員がウザイほどアプローチしてくる状況はこれからも変わらないと思います。彼らは営業所の職員に比べて取り立ても本気だし、隙あらば「債務の承認」をさせて全額払わせたり、裁判に持ち込んでも時効が効かないようにしてやろうと色々仕掛けてくるようです。なので、「特別対策センター」所属の職員が家に来るようになったら、やはり余計な会話は一切せずいつでも自分からNHKに電話して時効援用を主張できる「カード」を切れるよう、タイミングを整えておいた方がいいでしょう。


「残りはチャラにするから一月分だけ払って」はワナ。絶対に乗せられないように!

繰り返しになりますが、長期滞納者が、滞納分の一部を一月分でも払ってしまうと、そこで「債務の承認」をしたことになり、同時に「時効の中断」となってしまうので、くれぐれも注意してください

上段で、最高裁判決を機にNHKが「全額回収ミッションを請け負う業者」と新たに契約したという噂について触れましたが、すでに以前から、1年以上の長期滞納者のところに集金人や委託会社の社員がやってきて「過去の滞納分はもう払わなくていいから今月分から新しく払って」などといって、新規分の支払と偽って滞納分の一部を支払わせようとするケースが頻繁に報告されています。(NHKが新しく契約した「業者」とは、こういう手法をより狡猾に、または恫喝的に行うノウハウを持っている連中だと推測されます)

また、「一月分払って」というのではなく、「これを書いてくれたら滞納分をチャラにするから」などといって、上段でも触れた 「放送受信料支払期間指定書」 に記入を促すという手口もあります。これに記入してしまうのもやはり「債務の承認行為」で、時効も効かなくなるので、必ず拒否して下さい。(何も説明せずにこの書類を出してきて、領収書か何かと勘違いさせてサインさせるという、非常に悪質な手口もあるようです。くれぐれも注意してください)

そもそも、放送法には「NHKは総務大臣の許可無く受信料の免除をしてはならない」という規定があるくらいで、「委託会社」の判断で「何ヶ月分はチャラにする」などということができるわけがありません。もし本当にチャラにしたことがバレたら、それこそ放送法違反になり、その委託会社はNHKに委託契約を解消されてしまうし、担当放送局の営業部の責任問題にも発展します。

当然、後になってチャラにされていないことが分かって、NHKの営業所に「あの時チャラにするって言ったじゃないか!」と苦情を言ったところで、正職員は「知らぬ存ぜぬ」で押し通すでしょう。(録画録音で動かぬ証拠を押さえていたら、面白い展開になるかもしれませんが)

このように、滞納者が、訪問してきた連中(委託、職員に関わらず)と不用意に支払いや時効についての話をすることは非常に危険ですので絶対に避けるべきです。彼らと交渉するくらいなら、自分からNHKに連絡して「時効援用の手続き」を済ませておく方が安全でしょう。


支払督促の流れ、及び督促の対象となり得ない「契約が曖昧なケース」

上の「債務の承認→時効中断のワナにご注意」の段の冒頭でもふれましたが、長期間に渡り、受信料を支払った実績のない人は、契約関係の存在そのものが曖昧になっている可能性があり、場合によっては「契約は無効である」「債務は存在しない」と主張することも可能になってきます。

  以下は、専門弁護士のサイト からの引用した「支払い督促の流れ」です。(少々読みにくいです )
訴訟を提起する場合は、簡易裁判所または地方裁判所に対し、訴訟手続きに則って「訴状」を作成 し、紛争になっている金額に応じて収入印紙を貼付し、証拠となる書類や郵券(訴状等を相手方に送付する際に裁判所が使用する郵便切手のこと)と共に裁判所に提出します。

「支払い督促」は訴訟提起の一種なので、訴訟の「原因」の欄には「何月何日に受信契約を締結していくら支払った」などと書かれているはずですし、それを裏付ける「証拠書類」も裁判所に提出されています。

ここで言う「証拠書類」とは、領収書や銀行の振り替え伝票、クレジット会社の伝票などのことで、これらの書類が存在しない人は、支払い督促を提起する「原因」が曖昧であり(契約関係の存在そのものが曖昧)、督促の対象になりえないと考えられます。

要するに、領収書や振替伝票などの、督促の「原因」を裏付ける「証拠書類」が存在しない場合は契約関係の存在が曖昧で、督促の対象となり得ない場合があるということです。しかし、そのような場合でも、途中で一度でも支払をしてしまうと、支払の際に発行された領収書などが「証拠書類」となってしまい、督促することが可能になってしまうということです。



❏4.本当にNHKは受信料裁判で「無敵」なのか?


NHKは、絶対勝てる、無防備な言動を繰り返す人しか訴えない(目的はアナウンス効果)

よく雑誌やニュースサイトなどで、 「受信料の裁判でNHKは負けたことがないなどと書かれているのを見かけます。残念ながらこれは大筋ウソではありません。(→※10) しかし、そこにはカラクリがあります。

まず言えることは、NHKは、「滞納している契約者」、「非契約者」にかかわらず、無防備な言動を繰り返す、絶対に勝てる相手を厳選し、準備万端整えた上で、以降、他の家庭で契約をとりやすくするためのアナウンス効果(見せしめ)を狙って訴えているということです。

絶対に勝てる相手の一例は、上述した「受信料支払期間指定書」にサインをするなどして「債務の承認」をしてしまってる滞納者などです。


※10 勝率10割というわけではありません、上述のように「時効」を巡る争いではNHKの主張が認められず、敗訴していますし、13年12月には、「BSのテロップを消す申請をしてしまった未契約者」を訴えた裁判で、「契約成立の時期」を巡るNHKの主張を退ける判決が出されています。その他にも数件の「NHK敗訴」の判例が存在します。(⇒ 15.相模原 “未契約裁判” の真相 


NHKに都合の悪い判例」を残さないための「和解工作」

また、NHKは受信料の滞納や未契約で訴えた世帯(未契約については法人及び、BSのテロップを消した世帯)との間で、和解を成立させることも多いようです。和解が成立すると、その時点で、司法判断が出されぬまま裁判は終わりますので、当然、判例というものは残りません。和解内容は非公開なので第三者は知る術がありませんし、裁判所も関与しません。

NHKは、絶対勝てると踏んだ相手にしか裁判を起こしませんが、それでもたまに想定外の誤算が生じると、全力で和解に持ち込もうとするようです。これは都合の悪い判例を残さないようにするためでしょう。このような法廷戦術を弄した末に、結果の出ている判例はほとんどがNHKに都合のいいものとなっているのです。

上記のような実態を総合して考えると、受信料の裁判でNHKは負けたことがない」というのは、当たり前の話 なのです。



注意!!

※基本常識すぎて書くのを躊躇していた「時効」についての注意点
当サイトを引用したツイッターなどを見ていると、「うっかり契約させられたけど、5年間無視し続ければ時効が成立して、一銭も払わなくてすむらしい。いい事聞いた、ラッキー!。まだ契約して1年しか経ってないから、あと4年間、頑張って放置し続けて支払いをチャラにしよう」みたいなことを言っている人を時々見かけます。要するに、この手の人は、「5年で時効」と聞いて、「『契約した事実』までも5年過ぎれば自然消滅して、何もなかったことになる」と勘違いしてるようです。「5年で時効」というのはそう意味ではありません。「過去に遡って請求できるのは最大5年分まで」という意味です。もちろん、解約手続きをしない限り、毎月毎月、常に新規の料金は発生し続けているのですから、たとえば滞納し始めてから8年過ぎていた場合、時効が効いて支払い義務が消えるのは、「8年前から5年前までの3年分」であり、「5年前から現在までの、直近5年間分の料金」は常に有効であり続けます(当然、過去のある時点で「解約手続き」ができていれば、それ以降の分の料金は発生しません)。アッタリマエのことですが、念のため…。