022 パラグラフの構造

アカデミック・ライティングのパラグラフは、 (1)トピックセンテンス、(2)サポートセンテンス、(3)コンクルーディング・センテンスの3つのパートから成り立っている。ただしエッセイの最後のパラグラフ以外はコンクルーディング・センテンスがない場合が多い。図にすると以下のとおりだ。


 


 

(1) トピックセンテンス

アカデミック・ライティングではすべてのパラグラフにトピックセンテンスが一つだけある。一つもない、あるいは二つ以上ある、のいずれのケースも反則だ。トピックセンテンスが一つもなければ、そのパラグラフが何について述べたいのかがわからない。二つ以上あると、今度はトピックが多すぎて混乱してしまう。ワンパラグラフ、ワントピック。これが基本中の基本だ。

トピックセンテンスのなかにはトピックとコントローリングアイデアが含まれている。何について述べるのかを示すのがトピック、その範囲を具体的に決めるのがコントローリングアイデアだと考えてほしい。以下にいくつか例を挙げておく。

 

Driving on(topic) freeway requires skill and(controlling idea) alertness.

Registering for college(topic) classes can be a frustrating(controlling) experience(idea) for new students.

The rise(topic) of indie films is due to several(controlling) factors(idea).

 

トピックセンテンスは通常パラグラフの最初にくる。それ以外のケースもあるが、初心者は最初にもってくるのが常道だ。高度な技術は基本がしっかりできてからのことである。

トピックセンテンスは「適度に具体的」なものがよい。「政治は重要だ」「21世紀は環境の時代だ」などといったあまりに一般的すぎるものや、「福田首相の支持率は現在30%前後である」「現在のエアコンは10年前のエアコンよりも消費電力が約4分の1ですむ」などといった具体的すぎるものはトピックになりにくい。「政治の重要ポイントのひとつは選挙制度にある」「環境対策のひとつがエネルギー多消費型産業での省エネの促進である」といったものがよい。

 

(2) サポートセンテンス

トピックセンテンスに続いて、それをさらに具体的に説明したり証明したりするセンテンスをいくつかおく。これがサポートセンテンスだ。

サポートセンテンスの具体的な内容としては、(1)例示、(2)統計数値、(3)引用などがある。(1)の「例示」の例としては、たとえば「政治の重要ポイントのひとつは選挙制度にある」というトピックセンテンスに対して「日本やドイツでは国会議員のなかから首相を選ぶ議院内閣制をとっているが、米国やフランスでは直接選挙で大統領を選ぶ大統領制をとっている」といったサポートセンテンスが考えられる。 (2)の「統計数値」の例としては「環境対策のひとつがエネルギー多消費型産業での省エネの促進である」というトピックセンテンスに対して「省エネルギー技術動向調査によると、日本の産業部門のエネルギー消費量は、鉄鋼、化学、セメント、紙パルプのエネルギー多消費産業が6割を占める」といったサポートセンテンスが考えられる。(3)の「引用」の例としては「政治の重要ポイントのひとつは選挙制度にある」というトピックセンテンスに対して「J・S・ミルは「代議制統治論」のなかで『真に平等な民主政治においては、全党派がその数に比例して代表されるであろう』と述べている」というサポートセンテンスが考えられる。

サポートセンテンスは、ひとつだけでは物足りないことが多い。2つ、3つと積み重ねていくことでパラグラフに厚みが増してくる。

 

(3) コンクルーディング・センテンス

パラグラフの最後にもってくる「まとめ」のセンテンスである。まったく新しい「結論」ではないので、気をつけてほしい。通常はトピックセンテンスを別のかたちで言い換えるかたちをとる。その際に「ようするに(In conclusion, Thus, Thereforeなど)」「まとめていえば(In brief, In short, To sum upなど)」といった前ふりとなる文句をつけることが多い。たとえば「政治の重要ポイントのひとつは選挙制度にある」ではじまるパラグラフであれば、その後にさまざまなサポートセンテンスを連ねた後、コンクルーディング・センテンスとして「以上のことから、選挙制度のあり方が政治にとってきわめて重要な要素であることがよくわかる」といったものをもってくればよい。

コンクルーディング・センテンスがあることで、特に長いパラグラフの場合には、パラグラフ内容に対する読者の理解が強化され、また次のパラグラフへの移行もよりスムーズになる。ただし、短いセンテンスの場合にはコンクルーディング・センテンスがあると逆にうるさく感じることも多い。過ぎたるは及ばざるが如しということだ。

 

(4) つながり

パラグラフ内のセンテンスはすべてつながっていなければならない。パラグラフ内でバラバラ感があるのが一番まずい。

ではどうやればセンテンス間に明確なつながりが生まれるのか。Writing Academic Englishでは、次のようなアドバイスをしている。(1)キーワードを繰りかえす。(2)適切な接続表現を使う。(3)論理的展開をはかる。くわしくは同書をみてほしいが、たとえば、(1)ではJapaneseがキーワードであれば、Japaneseについてはあまり代名詞化することなく繰り返して使うということである。ただしまったく代名詞に置き換えないということではないので注意。うまいめりはりが必要だ。(2)の接続表現については日本人がなかなかうまく使いこなせないのが現状だ。同書のなかで主要な接続表現が一覧表になっているのでそれをみていただきたい。(3)の論理的展開については『論理トレーニング』(野矢茂樹、教育図書)というすばらしい本があるので、それをぜひ参考にしていただきた。

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