銀行の基本的な仕組み 信用創造

2015.5.28

<信用創造と預金制度>
Q.
銀行が行っている信用創造って何なのにゃ?

A.
信用というのは、簡単に言うと「借金」のことじゃ。新聞などを読むと、信用創造、信用膨張、信用収縮、信用破綻などという単語を目にすることがある。それらすべての信用とは借金のことなんじゃ。だからそれらの言葉をすべて借金と言い換えても意味が通じる。ただし「借金創造」とか「借金膨張」と言うと聞こえが悪いので、美しい言葉に言い換えたのが「信用」じゃ。

じゃから、信用創造とは、誰かに借金を貸し付けることを意味しておる。そして、借金としておカネを作り出す行為を信用創造と呼ぶのじゃ。

Q.
ふ~ん、最初からややこしい話なのにゃ。ところで、銀行がおカネを貸すにはどうやるのにゃ。銀行が金庫に保管している現金を貸すのかにゃ?

A.
そうではない。銀行は保管している「現金」をまったく貸さない。そのかわりに銀行の帳簿上に「預金」を発生させ、それを会社などに貸し付けるのじゃ。つまり、何もないところから帳簿に預金をポンと発生させてこれをおカネとして貸すのじゃ。いわば打ち出の小槌でおカネを作り出しておる。ウソではない。銀行の帳簿を確認すると、そうなっておる。銀行は信用創造で預金(おカネ)を作り出しておるのじゃ。預金とは、そのようにして作られておる。

Q.
ふにゃ~、どうなってるのにゃ。どうして無いおカネを貸すことができるのにゃ。

A.
貸すと言っても紙幣で渡すわけではないからじゃ。おカネを借りる会社の預金通帳に銀行が「100万円」と書き込めばそれで貸したことになるから、おカネを用意しなくても貸し付けることが出来るのじゃ。銀行が会社の預金通帳に100万円と書き込めば、そのおカネを使って振り込みで支払いできるじゃろ。それを使って事務用品を買ったり、商品を仕入れたりできる。紙幣で渡す必要は無いのじゃ。じゃから、銀行が預金通帳に100万円と書き込めば、100万円を貸したことになり、100万円の預金が発生したことになる。

Q.
にゃー、そんなことしたら、保管しているおカネとは無関係に、いくらでもおカネ(預金)を貸すことができるのにゃ。大変にゃー。

A.
その通りじゃ。じゃから銀行は保管しておる現金の何倍もの預金を発生させて貸すことができるのじゃ。世の中のおカネには「現金」と「預金」があるが、預金とは銀行が信用創造でポンと発生させて貸し付けたおカネの事じゃ。ちなみに、2015年4月の世の中に出回っているおカネ(マネーストック)のうち、現金は85兆円で、預金は530兆円なのじゃ。

Q.
でも、銀行が好き勝手に預金を発生させて貸したら、無限に世の中のおカネが増えてしまうにゃ。

A.
その通りじゃ、そこで銀行の貸し付けには様々な規制がかけられておる。その中でも基本的な仕組みが「準備預金制度」と呼ばれるものじゃ。銀行が発生させた預金は、預金者の預金通帳に記載されておるが、同時に銀行の帳簿にも記載されておる。そこで、銀行の帳簿に記載されておる預金の金額に応じて、その金額の一定割合の現金を、銀行が日銀に預け入れなければならないルールになっておる。これを「準備預金制度」というのじゃ。そして、預け入れる割合を「預金準備率」と呼び、預ける現金を「準備金」と呼ぶのじゃ。

たとえば、預金準備率が2%の時に、銀行が1000万円の預金を発生させてある会社に貸したとする。すると銀行は1000万円の2%つまり20万円を、保管している現金から差し引いて日銀に、準備金として預けなければならないのじゃ。貸し出しをするたびに、その一定割合の現金を日銀に預け入れるため、やがて銀行が保管する現金が日銀にすべて預金されてしまう。そうすると、もはやそれ以上に預金を発生させることはできなくなるのじゃ。こうして預金準備率によって貸し出しの上限が決まる。

さて準備率が2%だとすると、保管しておる現金のおよそ50倍の預金を貸すことが出来る。もちろん銀行の貸し出し規制はこれだけではないから、実際にはそんな高倍率で貸すことはできん。しかしいずれにしろ、かなり膨らませて預金を貸すことができる。じゃから、この現象を「信用膨張」と呼ぶのじゃ。

Q.
保管している現金の何倍もの預金を貸すなんて、良いことなのかにゃあ。どうも納得できないにゃ。ところで、現金は何のためにあるのかにゃ?

A.
それは、時々預金者が「預金を引き出したい」と言ってくるからじゃ。現金は預金の引き出しに応えるために存在しておるのじゃ。というのも、預金とは銀行が信用創造で作り出した通帳上のおカネなので、預金には「紙幣」という実体が存在しておらん。預金とはそもそも帳簿にしか存在していないおカネなのじゃ。しかしそれでは手渡しで預金をやり取りできない。でも預金を手渡しでやり取りしたい。そこで預金の代用として現金つまり紙幣や硬貨を用いるのじゃよ。なぜそんなことが可能なのかといえば、現金と預金は同等に扱われることが法律で決まっておるからじゃな。じゃから、一時的に預金を現金と交換することにより、預金の代わりに現金を代用して取引に利用しておるのじゃ。この現金は預け入れると再び預金という数字だけの存在に戻る。つまり、みんなが持って歩いておる紙幣の元の姿は預金なのじゃ。

Q.
へえ~、預金を引き出すって、実際には預金を一時的に現金に交換しているだけなんだ。でも現金の何倍も預金を発生しているんだから、預金者がみんなでおカネを引き出しに来たら対応できないにゃ。

A.
その通り、それを「取り付け騒ぎ」と呼ぶのじゃ。普通は預金者が一斉に預金を引き出しに銀行へ来ることはないが、金融危機になるとおカネを引き出しに大勢の人が銀行に押し掛けるから、現金がたちどころに無くなって、引き出しは停止されてしまうのじゃ。もともと現金を何倍にも増やして貸しているから、仮に銀行が貸しているおカネが銀行に返済されたとしても、現金の引き出しに応じるには足りないわけじゃよ。

Q.
銀行が貸した預金が銀行に返済されるとどうなるのかにゃ?金庫に入るのかにゃ?でも数字だけのおカネだから、金庫には入らないし・・・・。別の帳簿につけるのかにゃ。

A.
貸した預金は銀行に返済されると消えてなくなる。消滅する。帳簿から消されるのじゃ。なぜなら預金は無から生まれたおカネなので、返済されると無に帰るのじゃ。ウソではない。だから、借金を返済する人がどんどん増えると、世の中のおカネ(預金)はどんどん消えてなくなる。これを「信用収縮」と呼ぶのじゃ。世の中の景気が悪くなると借金を返済する人が多くなるから信用収縮が起きる。すると世の中のおカネが減るため、デフレ不況になるのじゃ。

Q.
へえええ、それじゃあ、なんで世の中のおカネがなくなってしまわないのかにゃ。

A.
それは別の誰かが借金をして預金を生み出すからじゃ。つまり、毎日誰かが借金を返済して預金が消える一方で、別の誰かが借金することで預金が生まれておる。そのバランスで預金は保持されておるのじゃ。そのため、借金をする人よりも借金を返す人が多くなると「信用収縮」して世の中のおカネが減り、デフレとなる。逆に借金をする人がどんどん増えて返済する人より多くなると「信用膨張」して世の中のおカネが増えて、景気が良くなる。従って、いかに世の中の借金を増やすか、それが景気を左右するのじゃ。

Q.
・・・・銀行が信用創造で無から預金を発生させて貸し出すなんて、何か問題はないのかにゃ?

A.
問題かどうかについてはコメントを差し控えたい。銀行を批判すると何をされるか、わからんからな。しかし、こうした通貨制度の元では以下のような事態が考えられるじゃろう。

・景気が良くなるほど世の中の借金が増える。
・借金が増えれば増えるほど、経済は金利に敏感に反応し、金融は不安定化する。
・信用膨張でバブルが発生する可能性が高い。
・誰かの資産は誰かの借金が元になって作られる。
・だから国民の資産の大部分は国債によって支えられている。
・ムリに財政再建すると、国民の資産が消滅する。 などなど

以下は、金融制度の問題点と解決法についてワシが詳しく書いた本じゃ。もし興味が沸いたら、ぜひ購読いただけるとうれしいのう。



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