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書籍)金融緩和の天国と地獄:改訂版


「金融緩和の天国と地獄」
 永遠に繰り返すバブルの膨張と崩壊
 国民の資産を守るため、政府通貨を導入せよ


<こんな方にお勧めします>

・金融緩和でバブルを心配の方へ・・・   バブルを防止する方法をご提案します
・消費税の増税に断固反対の方へ・・・   増税が完全に不要となる方法をご提案します
・おカネに疑問をお持ちの方へ・・・     金融制度の根本的な改革をご提案します
・バブルなき経済成長を望む方へ・・・   現金100%(政府通貨制度)をご提案します
・アベノミクスに反対だが、具体的な代案がわからない方へもお勧めします。


<本書の要旨>

・おカネを増やせば経済が回るのは事実です。
・一方で世の中のおカネはすべて「借金」から生み出されます(信用創造)。
・だから国債が増えるのもそのためです。
・経済を回すために世の中のおカネを増やせば増やすほど、世の中の借金も増えます。
・金融緩和すると景気回復するが、同時に借金も膨らみ(バブル)、やがてバブルは崩壊します。
・借金ではない通貨によってバブル問題を解決し、金融危機を防止します。
・借金ではない通貨を使って投資を増やし、経済成長を実現します。
・借金ではない通貨を使って国債を廃止し、財政再建を実現します。


<目次より抜粋>

第一章 金融緩和の天国
・バブル経済は虚妄ではなく「本物」
・生活に満足しているからおカネを使わないのか?
・「おカネを増やしたらインフレだけ起こる」という奇妙な説
・なぜ人はデフレよりインフレに過敏反応するのか?
・日銀の誤った独立性が歪めた金融政策
・米元財務長官サマーズ氏「バブルなくして成長なし」

第二章 金融緩和の地獄
・日本のアニメ「C」が描く地獄の輪転機
・銀行の成り立ちと仕組み 打ち出の小槌
・資本主義経済は借金に依存している
・バブル膨張は銀行が引き起こす
・バブルの実例 世界大恐慌
・バブル崩壊で焼け太りする資産家
・金融街の「マネーロンダリング」

第三章 奪い取る資本主義から奉仕する資本主義へ
・財務省の狙いは「国民の資産」を奪うこと
・政府通貨制度によって国民の財産を守る
・現金を政府通貨として再定義する
・貯蓄による通貨の退蔵問題を解決する
・インフレになっても貧しくならない社会
奪い取る資本主義から奉仕する資本主義へ

第四章 バランスシートからみた通貨と金融政策
・市中銀行とバランスシート
・通貨供給とバランスシート
・100%マネー案の事例:統治通貨


<本稿より「はじめに」の部分を転載>

改訂版 はじめに

 本書は2015年5月に初版本を発表いたしましたが、その後、いくぶん経済・政治状況が変化したこともあり、内容を若干修正し、より納得いただけるよう話の流れもいくぶん変更しました。また、金融とバランスシートを解説した記事については記述をさらに分かり易く、内容を充実させるための改定を行いました。

 さて、金融緩和と財政出動、そして規制緩和の3本の矢からなるアベノミクスが2013年にスタートしてから4年余りが経過し、その成否について様々な解釈があるものの、とりわけアベノミクスの第一の矢である日銀の金融緩和政策の効果がそれなりの結果をもたらしていることは事実です。もちろん経済政策はその時の世界の経済状況、政治状況によってその効果が大きく影響を受けるため、どこまでがアベノミクスの成果であるかを判別することはできませんが、輸出産業を中心とした企業、とりわけ大企業の利益が金融緩和に伴う円安によって明らかに拡大し、大企業に限られるものの賃金の引き上げも行われるようになりました。また企業の求人が増加し、失業率はバブル期並みにまで低下しており、新聞マスコミがさかんに人手不足を報道するようになりました。こうした状況を野党はまったく評価せずに「アベノミクスは失敗」と盛んに繰り返すものの、その評価は国民の評価と乖離しています。安倍政権の支持率の高さはアベノミクスの効果を国民が感じているからに他ならないでしょう。

 とはいえアベノミクスの効果が「十分だ」とはお世辞にも言えない状況です。金融緩和を4年間も継続しているにも関わらず、2014年の消費税増税後の経済成長率は低迷を続けており、日銀のインフレターゲット2%の達成見通しもまったく立っていません。国民の生活実感から言っても、アベノミクスの効果を肌で感じるまでには至っていません。国民の大多数を占める中小企業の従業員、非正規・パート社員の所得はほとんど伸びていないからです。これでは安倍首相の主張する「好循環」は望むべくもありません。まだまだ世の中のおカネを活性化する必要があるはずです。「カネは天下の回りモノ」とは昔からよく使われてきた表現ですが、まさにおカネを回さなければ経済は良くならないからです。ただし、これまでのような「日銀の金融緩和」によって本当に世の中のおカネを増やすことができるのか、再検討する必要があるかも知れません。日銀が金融緩和しても世の中のおカネが増えるとは限らないからです。

 ところで野党の多くは金融緩和政策に反対しています。「金融緩和はバブルを引き起こす」と批判するのですが、ではバブルを起こさずに経済をデフレから脱却させる代案があるのかといえば、ほとんどの野党には有効な代案がありません。野党が代案として主張する政策は前世期から変わらず「労働者の賃上げ」や「大企業への課税強化」、あるいは失われた20年でさんざん行われてきたにも関わらずデフレ脱却には至らなかった「構造改革」や「グローバル化」というこれまでと同じ政策の繰り返しなのです。もし野党がもっと大胆にデフレ不況の脱却を検討するなら、経済システムそのものを改革・改善する方法論もあるはずなのですが、野党は決してその領域には踏み込もうとはしません。あくまでも「既存の経済システムの枠内」でのみ議論しています。だから野党の批判は常に「表面的でお約束」の域を超えないのです。彼らの主張は口調が勇ましいだけで「手詰まり状態」にあると思わざるを得ません。

 確かに金融緩和政策によって世の中のおカネが増えれば、経済がバブル状態になるでしょう。しかしその結果として景気は良くなり、国民の所得は増え、失業率は改善し、福祉は充実し、財政は健全化すると思われます。それは過去の日本におけるバブル経済を観察してみれば明らかです。逆にいま金融緩和を止めて、拡大しつつあるバブルを潰せばどうなるでしょうか?失われた20年のように、景気は低迷したまま、国民の所得は減少し、失業率は悪化し、福祉は損なわれて財政は破綻するでしょう。不本意なことですが、現代先進国の経済はバブルなしに立ち行かないと著名な経済学者も指摘しています。例えば元米国財務長官サマーズ氏は「バブルなくして経済成長はない」と分析しています。今の時代にバブルは必要悪なのかも知れません。だからと言ってバブル経済を賞賛しているのではありません。バブル経済は長続きしません。近年における世界経済はバブルとバブル崩壊を延々と繰り返しています。実際に過去を振り返ってみれば1990年代の日本のバブルの後にも、ITバブルがあり、米国の住宅バブルがあり、いずれもバブルのたびに経済は好調となりましたが、その後に崩壊して世界経済を混乱に陥れてきました。戦後の高度成長期が終ってからというもの、バブルを伴わない好景気は存在しなかったと思います。つまり好景気とは常にバブル崩壊へ向かう途中の状況に過ぎないと考えられるのです。ですからアベノミクスで日本経済が景気回復すれば間違いなくバブルが引き起こされ、それはやがて間違いなく崩壊するでしょう。つまりこれまでのバブル経済の歴史を振り返ると「景気回復のために世の中のおカネを増やす必要はあるものの、これまでのやり方でおカネを増やせばいずれ崩壊する」ことはほとんど間違いないのです。

 なぜ世界経済はバブルとバブル崩壊を延々と繰り返しているのか?納得のできる説明をしてくれる経済学者の先生は誰も居ません。偉い先生は国民そっちのけで、金融緩和推進派と反対派に分かれて綱引きを繰り返しているだけです。金融緩和をすれば景気が回復してバブルになるが、やがて崩壊するリスクがある。だからといってバブルの発生を恐れて金融緩和しなければ失われた20年の日本や現在のEUのようにデフレ不況から延々と抜け出せない。金融緩和は進むも地獄、戻るも地獄のジレンマなのです。「これは根本的に何かがおかしい」。そう思うのは当然だと思います。その根本的な元凶はどこにあるのか?現代の経済構造は金融システムの上に構築されており、金融システムが経済活動の成否を左右します。ですから金融システムに何らかの原因があるに違いないと考えることは当然のことでしょう。

 実際、金融システムとバブル経済には極めて密接な関係があります。むしろ「現代の金融システムはバブルそのもの」と言っても過言ではありません。金融システムの中にバブルが内包されているのです。しかも現代経済は「貯蓄の過剰と投資の不足」という致命的な問題に直面しており、もはや金融システムの改革なしに世界経済の健全化は望めないと思われます。ところが肝心の「金融システムの課題」に関しては与党も野党もまったく言及しません。金融緩和に賛成か反対かの論争を繰り返すばかりで、金融システムそのものに関しては与党も野党も完全スルーなのです。

 その一方で「将来世代にツケを回すな」として財務省と御用学者がさかんに財政再建を取り上げ、増税の必要性を叫んでします。しかしなぜ将来世代へのツケが貯まったのでしょうか?「政府が借金したからだ」と御用学者は言います。確かにそれは嘘ではありませんが、表面的な理由に過ぎないと考えられます。本当の理由は「国民が貯蓄しているおカネが、政府の借金によってできているから」なのです。つまり国民が貯蓄すればするほど将来世代のツケが大きくなるのです。これを普通の人が聞くと何か狐に摘まれた様な気分になるかも知れませんが、これは日本国全体の金融資産バランスシートを確認すればわかる事実です(後述)。ですから、財務省の主張するように将来世代のツケを本当になくしたなら、国民の資産もまた同時に消えてなくなるのです。なぜこんなおかしな理屈になるのか?それは現代の金融システムがそのように出来ているからです。「誰かの資産は必ず誰かの負債から成り立っている」。この金融システムが現代経済に様々な弊害をもたらしていると考えられるのです。

 本書は金融システムとバブル経済の密接な関連性について考察し、また負債として生み出されるおカネの問題点を検討し、そこから新たな金融システムの改革の方向性を提案することを目的としています。

本書へ続く