20221007

107日 (金) 16:00-17:00  ハイブリット談話会

16:00-17:00, Friday, October  7 hybrid meeting by on-site and zoom


Speaker: 吉田 滋 / Shigeru Yoshida  (千葉大学ハドロン宇宙国際研究センター / International Center for Hadron Astrophysics, Chiba University )


Title: 高エネルギーニュートリノと電磁波観測のタッグで 解き明かす躍動する宇宙の起源 


Abstract:

宇宙を舞台とする極限現象は、例えば中性子内部やブラックホール近傍に代表される超高密度環境、 あるいは、可視光に比して20桁以上高いエネルギーをもつ宇宙線放射を引き起こすほどの超高エネ ルギープラズマ環境において繰り広げられる。しかし、こうした舞台は電磁波を遮蔽する宇宙の 「大奥」であることが多く、何がそこで起こっているかを理解する糸口を掴めないままであった。 しかし、南極点直下の深氷河内に莫大な容積のニュートリノ検出網を建設したIceCube 実験によっ て、弱相互作用素粒子であるニュートリノが TeV (1兆電子ボルト)から PeV (千兆電子ボルト)もの 超高エネルギー領域において放射されていることが発見され、ニュートリノを使って超高密度・超 高エネルギー現象を引き起こす天体を同定することが可能な時代に突入した。こうした天体候補は、 ブレーザーのフレア、コア崩壊型超新星、ジェット駆動形超新星、低輝度ガンマ線バースト、TDE などの突発天体である。 これらの天体の物理現象の研究は、強大な重力場が作り出すプラズマの成長過程から、超高エネル ギー宇宙線放射にまで至る、重力エネルギーの最終運命を統一的に理解することと同義である。本 講演では、これまでのニュートリノ観測の成果を概観したのち、透過力に優れ、(素)粒子衝突の物 理情報を持ち出せるニュートリノ観測と、角度・空間・波長分解能に優れた電磁波観測でタッグを 組むことで、未開の極限宇宙像を観測的に描き出す提案について解説する。