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文字研究会版『論集文字』第1号は販売終了しました

販売終了のご挨拶

2011年5月9日に文字研究会によって発行された『論集文字』第1号は、2012年6月27日に販売を終了し、新たな版元であるポット出版によって内容を一部改訂の上販売することになりました。改訂内容については下記序言をご参照ください。

現在のところ紙版だけですが、近日中に同じ版元からPDF版、EPUB3版でも販売される予定です。これらも販売され次第掲載します。

ポット出版本への序

※以下はポット出版本に掲載された、編者による経緯の説明です。

 本書は2011年5月に文字研究会を版元として刊行された『論集文字』第1号(以下、文字研本)の再版である。文字研本そのものの成り立ちは、「はじめに」をご参照いただくとして、ここではポット出版から再版されるに至った経緯を短く述べておきたい。

 2010年は電子出版元年が喧伝された年だが、この文字研本もそれと無縁ではなかった。人もすなる電子書籍といふものを、我もしてみむとてするなり……という訳で、友人の大石十三夫氏他とともに、てんやわんやで繰り広げたEPUB制作は、今でも楽しい思い出である。

 しかし無情にも結果は惨めなものであった。販売総数は、この執筆時点でわずか34冊。原因は宣伝不足や、880円という価格設定、販売サイトが独立系のDL-Marketという良くも悪くも「なんでもあり」の場所であったこと等々、さまざまな要因が考えられるが、私の判断が甘かったことに変わりはない。深く責任を感じる次第である。

 わけても面目が立たないのは、寄稿してくださった執筆者諸氏に対してだ。版元の身びいきを割り引いても、収録された原稿は、決して34人だけが読んで終りにしてよいものと思えない。

 商売としては残念な結果におわったが、それはそれとして、これらの原稿を今後も多くの人が読める状態にしておく必要がある。そうした意味からは、はたしてこれまでのような不十分な形での販売をつづけることが、本書の原稿たちにとって幸せなことなのかどうか。
 この度の失敗を一言でいうと、「ものを作ることができるからといって、ものを売れるわけではない」ということのように思う。やはり餠は餠屋。ここは本売りのプロである出版社に丸ごと身請けしてもらい、きっちり売っていただくようにするのが一番ではないか。そう考えて旧知のポット出版、沢辺均社長に声をかけ、幸い快諾を得て成ったのが本書である。

 沢辺社長には落穂拾いを押し付けるような形になってしまったが、引き受けるにあたって「良い原稿にアクセスできるようにし続けるのも出版社の機能」と言ってくださったのが印象に残っている。さらに当初考えていた電子書籍の再版の他、「原稿料や印税は出せないが、それで良いなら」といって紙版による再版をも提案されたのは、この本の売れ行きが見込めないことを知っている私にとっては、むしろ「太っ腹!」であって感謝にたえない。

 そのような経緯で、このポット出版本は世に出ることになった。再版にあたって最も大きな変更があったのが、関口正裕氏の「改定常用漢字表で情報システムはどうなるのだろう?」であろう。文字研本ではスライド資料をそのまま掲載したが(詳細は「はじめに」参照)、ポット出版本ではシンポジウムでの発表を文字起こしして掲載した。結果としては、文字研本よりもレベルアップしたと言える。その他の原稿は文言を多少手直ししたが、初版と大きく異なるものではない。

 ポット出版本における、紙版と電子書籍版の違いも述べておく。紙版においてはページ数の都合により付録の改定常用漢字表は答申本文のみを掲載している。対して電子書籍版では文字研本そのままに、漢字表もふくめ答申全文を掲載している。その他の違いはない。なお、電子書籍版の刊行だが、紙版の発売と前後してまずPDF版を、ついで版元ドットコムストアでの体制が整い次第EPUB版を刊行する予定だ)。

 さて、この原稿を書いている今も、東日本大震災の爪痕は深く残っている。本書、ポット出版本と引き換えに文字研本は販売を終了させ、この時点の売り上げの一定額を東日本大震災への義援金として寄附する予定だ。このことは「はじめに」の追記で書いた。同様に寄付先や金額等については文字研ホームページで報告するつもりだ。ただし、前述した私の力不足により、寄附できるのは雀の涙ほどであろうことを情け無く思う。ただし、引き続きポット出版本の電子書籍版では売り上げの一部を寄附する予定だ(前述のとおり紙版は稿料等が発生しない)。その意味からも、出版社に販売を託したことが良い方向に転がればよいのだが。

 では、再版によって本書が一人でも多くの読者に巡り会うことを祈りつつ筆をおきたい。


2012年5月22日

小形克宏(文字研究会)



なお、近日中に文字研本の売り上げと寄付先についてご報告する予定です。

※以下は販売開始時の告知であり、記録のために残すものです。

ごあいさつ

このたび文字研究会は、電子雑誌『論集文字』を創刊します(不定期刊)。第1号では昨年8月に開催した『第5回ワークショップ:文字―「現実」から見た改定常用漢字表―』を取り上げます。当日の発表をまとめた論文を収録、併せて付録として『改定常用漢字表』(文化審議会答申)の全文を収めました(下記「内容」を参照)。

29年ぶりになる常用漢字表の大改定が、どのように社会に影響を与えうるのか、さまざまな「文字の現場」から考察します。ぜひご購入ください!

  • 発売日:2011年5月9日
  • 発行:文字研究会
  • 発売:うさぱら有限会社
  • 価格:880円
  • ファイルフォーマット:EPUB2
    ※DRMはかけていません。EPUB2に対応していれば、どんな環境・機器でも閲覧可能です。

※本書の制作について「第6回ワークショップ:文字―電子書籍の夢、EPUBの現実―」で報告しました。

内容

  • はじめに/改定常用漢字表を考える意味【小形克宏(フリーライター)】
  • 第1章 「現場」から考える
    • 新聞表記と常用漢字表改定【比留間直和(朝日新聞社)】
    • 国語教育の現場から改定常用漢字表を考へる【前川孝志(都立若葉総合高校教諭)】
    • 改正常用漢字表で情報システムはどうなるのだろう?【関口正裕(富士通/ITSCJ SC2専門委員会)】
  • 第2章 「漢字調査」から考える
    • ウェブ上における使用実態統計から改定常用漢字表を考える【萩原正人(バイドゥ)】
    • [資料紹介]漢字出現頻度数調査【師 茂樹(花園大学)】
    • [付録]改正常用漢字表【文化審議会答申】

執筆者

  • 小形克宏(おがた・かつひろ):1959年生まれ。和光大学人文学部中退。フリーライター。「印刷文字から符号化文字へ」(共著『活字印刷の文化史』勉誠出版、2009年)、「常用漢字表の改定と「漢字政策の玉突き現象」」(共著『新常用漢字表の文字論』勉誠出版、2009年)
  • 比留間直和(ひるま・なおかず):1969年生まれ、早稲田大学第一文学部卒業、朝日新聞東京本社校閲センター次長兼用語幹事補佐。JISX0213の原案策定・改正に参画、社内では自社システムの漢字字体・文字コード担当も務める。
  • 前川孝志(まへかは・たかし):昭和34(1959)年生まれ、國學院大學文学部卒業、都立若葉総合高校国語科教諭。「漢字の『読み先習』を積極的に」(『TOSS高校通信』第9号、2005年)
  • 関口正裕(せきぐち・まさひろ):1961年生まれ。電気通信大学大学院(工学修士)卒業後、1985年から富士通株式会社。日本語文書処理、文字コード、ソフトウェア国際化などいろいろと担当。現在はISOの文字コードに関する委員会(ISO/IECJTC1/SC2)に対する日本の対応委員会の委員長でもある。
  • 萩原正人(はぎわら・まさと):1982年生まれ。名古屋大学大学院情報科学研究科にて博士号取得。楽天技術研究所。自然言語処理、とくに同義語獲得の研究開発に携わる。「モバイル検索システムのための絵文字に対する意味解析」(萩原正人、水野貴明『言語処理学会第16回年次大会予稿集』2010年)
  • 師茂樹(もろ・しげき):1972年生まれ。東洋大学大学院博士後期課程単位取得退学(文学修士)、花園大学准教授。「一般キャラクター論としての文字論の可能性」(共著『新常用漢字表の文字論』勉誠出版、2009年)、『情報歴史学入門』(共著、金壽堂出版、2009年)

制作者

  • 表紙写真:當山日出夫(文字研究会)
  • 表紙デザイン/編集:小形克宏(文字研究会)
  • EPUBデータ作成:大石十三夫(はあどわあく)
  • 外字フォント制作:内田明
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Kazuhiro Okada,
2011/05/01 9:37
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