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桜の花粉

概要

春と言えば桜。

sakura sakura

いつもこの時期になると大量のフィルムを消費してしまいます。

さて、桜の花の写真を撮る方は多いのですが、顕微鏡で撮影している人はほとんどいない模様です。
というわけで、今回はサクラの花粉を見てみることにしましょう。


サクラの花の構造とサンプル作成

まずは花粉を見る前に、桜の花の構造を観察します。ソメイヨシノを見てみます。

桜の花は被子植物としてオーソドックスな形をしており、真ん中に柱頭もはっきりした1本の雌しべ、それを取り囲むようにたくさんの雄しべ、5枚の花びら、がく、があります。雄しべの先には黄色い花粉がたくさん詰まった葯が付いています。

雄しべを何本か切り取り、スライドガラス上で葯を突っついて砕きながら、中身の花粉をスライドガラスの表面に軽く擦りつけるようにしてサンプルを作成しました。


花粉観察

まずはじめに、水とカバーガラスで花粉を封入せず、直接観察してみました。スライドガラス上に剥き出しに花粉が乗っていますから、息で吹き飛ばさないように注意が必要です。

桜の花粉は、米粒の形にちょっと似ているかな? やや細長い楕円形のような形をしています。

表面には折りたたみジワのようなものが見えます。大きさは数十μmというところです。

こちらは暗視野照明……ではなく、顕微鏡のランプを消してほぼ真横からデスクライトを当てただけのものです。


水で封じたプレパラート

続いて、花粉を載せたスライドガラスに水を一滴垂らし、カバーガラスをかけてプレパラートを作成しました。

浸透圧の影響か、桜の花粉は水中では一気に水を吸って球状に膨れます。これを膨潤(ぼうじゅん)状態と言います。桜の花粉に限らず、一般に花粉は水に触れるとこうなります。

膨れあがった花粉を見ると……うーん、どうやらまん丸というわけではなく、一部突起があるおむすび型をしているのかな?

さて、こうしてしばらく観察していると、桜の花粉は浸透圧の差に耐えられなくなるのか「破裂」して、花粉内の物質(原形質)が外部に放出されます。これを原形質吐出と呼びます[1]。

この写真で、花粉の周りにあるもやもやっとした霧のようなものが、花粉内から放出された原形質です。(上部の黒い線は、ちょうどカバーガラスの境目あたりで撮ったのでその境界が写っただけですから気にしないでください)

どうやらよく見ると、破裂する際にはどこか割れる線があらかじめ決まっているようにも見えます。

破裂した花粉から放出されている原形質は、何かツブツブのように見えます。なんだろう?
花粉の成分は主に糖類、タンパク質、脂質だそうですが……糖類はこう見えないと思うので、おそらくタンパク質と脂肪球だと思うのですがあまり自信が無い。

破裂した花粉から内容物がどんどん出てくるのは、まるでトコロテンを押し出すときのように見えます。ちょうど動画にして撮ってみたのでご覧下さい。

中央やや左下の花粉から、内容物が飛び出てくる様子が見えます。(見えにくければ画質を上げて全画面で見てください)


参考文献

[1] 植田利喜造, 相見霊三 「植物形態学 植物生理学 新生物実験講座2」岩崎書店

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