蝕 Eclipse 2007



太陽の明るさを月が隠すと、普段太陽本体の強い光のために見えないコロナやプロミネンスが、太陽周縁にはっきり姿をあらわします。たとえば目の前の机を机として見てしまうことを太陽の強い光にたとえるなら、それを月が遮蔽する日蝕は、日常のあたりまえの「見え」を、あえてそう「見ない」ことに相当します。カンブリアンゲームセッション「蝕eclipse」は、登崎榮一、中村理恵子、安斎利洋の3人が、机を机として見ないことによって姿をあらわす日常のプロミネンスにカメラを向け、切り取ってきた「反風景」の連鎖です。したがってここにある写真に人間や建物が写し込まれていても、それは人間や建物ではありません。登崎はウィトゲンシュタインの風景相盲、中村は神話的カオス、安斎は連鎖するクオリア、三者三様の思いを「蝕」に託したイメージのポリフォニーがここに成長しました。


コラボレーター
登崎榮一 Eiichi TOSAKI
アーティスト。メルボルン大学哲学科フェロー(イメージ論)、モナシュ大学アート&デザイン所属。メルボルン大学大学院にて抽象絵画に於けるリズムの説明と認識を研究。 PhD (哲学・美術史学 double degree)。アーティストとして、視覚的リズムを実践。リズムの表現を使ったドローイングによる左右脳・脳幹刺激プログラムをモナシュ大学で開発中。

中村理恵子 Rieko NAKAMURA
アーティスト 武蔵野美術大学油絵学科卒業後、美術研究所や商用パソコン通信会社勤務。1992年コラボレーッテッド・アート「連画」をはじめる。2002年、「連画」の進化系「カンブリアン・ゲーム」公開。100号の油絵キャンバスやパソコンと同居しながら創発的ネットワークを考える。ここ数年、日記@SNSや古武道にも意欲を燃やす。

安斎利洋 Toshihiro ANZAI
システムアーティスト1980年代より、セルオートマトンを応用したCG作品を発表し始める。MANDELNET1986、連画などのネットワークプロジェクト、Ramblers1993などの数理的作品、SuperTableau、カンブリアンマシンなどのソフトウェア、いずれも作動し続ける創発的システムの設計・実装に一貫して取り組んでいる。ワークショップ作品としての講義を模索中。

(『創発するネットワーク~安斎利洋・中村理恵子と仲間たち展』2008より。ちらしPDF






フロー1~10は、575葉の地図全体から抽出したハイライトです。



【メモ(安斎)】 「通常Aとして見るものを、Bとして見る」のが星座作用。『蝕』は、Aとしても、Bとしても見ない零点を求めた。多様な付け合いが交叉するSANPOに、蝕的な付合をもたらした。